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遺言書情報証明書を遺言書の代わりに使用する

遺言書情報証明書
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亡くなった人が遺言書を法務局に預けている場合、相続手続きでは遺言書情報証明書を使用します。

遺言書情報証明書には遺言書の内容が記載されているので、遺言書と同じ効力になります。

相続人や受遺者は全国の遺言書保管所で、遺言書情報証明書を取得できます。

今回の記事では、遺言書情報証明書について説明しているので、相続手続きを進める際の参考にしてください。

1.相続手続きでは遺言書情報証明書が必要

亡くなった人が法務局に自筆証書遺言を預けていれば、相続人等は「遺言書情報証明書」を取得することができます。

遺言書情報証明書
遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面

亡くなった人の遺言書が法務局に保管されている場合、相続手続きでは遺言書情報証明書を使用します。

つまり、相続手続きを進めるには、あらかじめ遺言書情報証明書を取得しておく必要があります。

1-1.遺言書情報証明書の記載事項

遺言書情報証明書には、以下の内容が記載されています。

  • 遺言者の氏名・生年月日
  • 遺言者の住所・本籍地
  • 遺言書の作成日
  • 遺言書の保管日
  • 遺言書保管所の名称・保管番号
  • 遺言書の内容(遺言書のコピー)

遺言書によっては、以下も記載されます。

  • 受遺者の氏名・住所
  • 遺言執行者の氏名・住所
  • 不動産登記事項証明書や預貯金通帳のコピー

遺言書情報証明書には遺言書の内容も含まれているので、相続手続きで使用することができます。

1-2.遺言書情報証明書に検認は不要

自筆証書遺言を発見した場合、相続手続きをする前に検認手続きが必要です。

ですが、遺言書情報証明書に検認手続きは不要なので、そのまま相続手続きで使用することができます。

(遺言書の検認の適用除外)
第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。

出典:e-Govウェブサイト(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)

勘違いして検認の申立てをしないように気をつけてください。

 

2.遺言書情報証明書の交付請求

相続手続きには遺言書情報証明書が必要なので、遺言書保管所(法務局)で交付請求をします。

2-1.全国の遺言書保管所で取得できる

遺言書情報証明書は全国の遺言書保管所(法務局)で取得できます。

亡くなった人が遠方に住んでいても、お近くの法務局で取得することが可能です。

全国の遺言書保管所で取得

ただし、一部の法務局は遺言書保管所に指定されていないので、お近くの法務局が該当するか確認する必要があります。

法務省のホームページで遺言書保管所を確認できます。

全国の遺言書保管所の一覧』から法務省のホームページに移行できます。

2-2.相続人や受遺者は法律で認められている

遺言書証明情報を取得できる人は、法律により定められています。

当然ですが、遺言書に無関係な人は取得できません。

主な取得者は以下の人です。

  • 相続人
  • 受遺者
  • 遺言執行者

受遺者や遺言執行者に関しては、保管されている遺言書に記載されている場合のみです。

2-3.戸籍謄本等一式が添付書類として必要

遺言書情報証明書を取得するには、交付請求書だけでなく添付書類も用意する必要があります。

以下は、法務省令の条文です。

(関係相続人等による遺言書情報証明書の交付の請求書の添付書類)
第三十四条 法第九条第一項の請求に係る同条第四項の法務省令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 遺言者を被相続人とする法定相続情報一覧図の写し(廃除された者がある場合には、法定相続情報一覧図の写し及びその者の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書)又は遺言者(当該遺言者につき代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本若しくは全部事項証明書並びに相続人の戸籍の謄本、抄本又は記載事項証明書(遺言者又は相続人が外国人である場合には、これらに準ずるもの)
二 相続人の住所を証明する書類(官庁又は公署の作成したものは、その作成後三月以内のものに限る。)
三 請求人の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該請求人が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)
(省略)
2 前項の請求に係る遺言書について、既に遺言書情報証明書の交付がされ又は関係相続人等による閲覧がされている場合には、同項第一号及び第二号に掲げる書類の添付を要しない。

出典:e-Govウェブサイト(法務局における遺言書の保管等に関する省令34条)

上記を分かりやすくすると、以下の書類になります。

  • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票(作成後3カ月以内)
  • 請求人の住民票
    ※受遺者や遺言執行者が請求する場合
  • 収入印紙(1,400円分)

遺言者によっては、集める戸籍謄本の枚数が多くなるので、漏れが無いように気を付けてください。

ただし、下記の場合は戸籍謄本が省略されます。

  • 法定相続情報一覧図を提出した場合
  • 他の人が遺言書情報証明書を取得済み
    ※遺言書閲覧を含む

法定相続情報一覧図はその他の相続手続きでも使用できるので、作成しておいて損はありません。

2-4.遺言書情報証明書は郵送でも取得できる

遺言書保管所がお近くに無い人や、有っても行く時間が取れない人は、郵送でも取得することが可能です。

遺言書情報証明書を郵送で取得する場合は、交付請求書と添付書類以外に返送用の封筒と切手を同封します。

 

3.遺言書情報証明書の注意点

遺言書情報証明書を取得するなら、複数の注意点があるので確認しておいてください。

  • 窓口請求なら予約が必要
  • 保管所・保管番号が必要
  • 原本は返還されない
  • 他の相続人に通知
  • 預けていない遺言書

3-1.窓口で請求するなら予約が必要

遺言書情報証明書を窓口で請求する場合、前もって予約が必要になります。

予約はインターネットからも可能ですし、電話や窓口で予約することも可能です。

予約方法については、法務省のホームページで確認できます。

窓口請求の予約』から法務省のホームページに移行できます。

3-2.取得には保管所・保管番号が必要

遺言書情報証明書の請求書には、遺言書保管所と保管番号を記入する必要があります。

亡くなった人から保管証のコピー等を受け取っていれば問題ありませんが、受け取っていなければ保管所と保管番号が分からないこともあります。

保管所と保管番号が分からない場合は、先に「遺言書保管事実証明書」を取得してください。

遺言書保管事実証明書には保管所と保管番号が記載されています。

3-3.自筆証書遺言の原本は返還されない

亡くなった人が法務局に預けた自筆証書遺言は、相続人であっても返還されません。

遺言書情報証明書の交付請求をしても、遺言書の原本は法務局に保管されたままです。

つまり、自筆証書遺言を高価な紙で作成しても、相続人の手に渡ることはありません。

3-4.取得すると他の相続人に通知される

遺言書情報証明書を取得すると、他の相続人に「関係遺言書保管通知」が送付されます。

関係遺言書保管通知には、以下の内容が記載されています。

  • 遺言者の氏名
  • 遺言者の生年月日
  • 遺言書保管所の名称
  • 遺言書の保管番号

他の相続人に通知

他の相続人に遺言書の存在を黙っていても、関係遺言書保管通知が届くことで、他の相続人も遺言書の存在に気付きます。

遺言書の内容が自分に不利だからといって、遺言書が無かったと嘘をつかないように注意しましょう。

3-5.預けている遺言書以外の遺言書

亡くなった人が自筆証書遺言を法務局に預けていても、その他の遺言書が存在しないとは限りません。

遺言書は何度でも書き直すことができるので、法務局に預けた後で書き直している可能性はあります。

遺言書を複数枚作成している場合、後から書いた遺言書が有効となります。
※重複する部分。

遺言書を探す場合は、公証役場でも確認しておいた方が安全です。

法務局と公証役場で確認

 

4.さいごに

亡くなった人が遺言書を法務局に預けていれば、遺言書情報証明書が遺言書の代わりになります。

相続登記や銀行での手続きにも遺言書情報証明書を使用します。

遺言書情報証明書は全国の遺言書保管所で取得できるので、お近くの遺言書保管所で大丈夫です。また、郵送で取得することも可能です。

遺言書情報証明書は検認手続きをする必要がないので、取得後はそのまま相続手続きで使用できます。

遺言書情報証明書の取得について疑問があれば、お気軽にお問い合わせください。