不在者財産管理人の権限は保存行為と管理行為

不在者財産管理人に認められている権限は、保存行為と管理行為(利用・改良)の2つとなります。

ただし、管理行為をすることは少なく、不動産がある場合の保存行為をすることが多いです。

不在者財産管理人の選任を検討されている場合は、今回の記事を参考にしてください。

1.権限の定めのない代理人

不在者財産管理人は権限の定めのない代理人と同じです。

(管理人の権限)
第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

出典:e-Govウェブサイト

不在者財産管理人は言葉のとおり、不在者の財産管理を目的としています。
ですので、保存行為と管理行為(利用・改良)をすることが可能です。

保存行為と管理行為が具体的にどのような行為なのかを説明していきます。

 

2.保存行為とは現状を維持する行為

保存行為とは現状を維持する行為のことです。つまり、不在者の財産を維持する行為が保存行為となります。

不在者財産管理人が行う保存行為としては、主に以下があります。

  • 家屋の修繕
  • 清掃作業
  • 固定資産税の支払い
  • 不動産登記の変更
  • 期限の到来した債務の弁済

ほとんどが不動産を所有している場合の保存行為です。

【家屋の修繕】

不在者が家屋を所有している場合、保存行為として家屋の修繕をすることは多いです。

例えば、雨漏りや窓ガラスの修繕が考えられます。

【清掃作業】

誰も住んでいない家屋は定期的に清掃しなければ、すぐに傷んでいきます。庭の草むしりも清掃作業といえます。

【固定資産税の支払い】

不在者の建物や土地の固定資産税を支払うのも保存行為です。不動産を所有している限り、毎年固定資産税は発生します。

【不動産登記の変更】

  • 未登記の不動産を所有している
  • 相続により不動産を取得した

上記のような場合は、不動産登記も保存行為になります。

【期限の到来した債務の弁済】

期限の到来した債務の弁済は保存行為です。
ただし、その他に債務が無いかどうかは、しっかりと確認してから支払ってください。複数の債務が存在して債務超過の場合は、家庭裁判所に相談した方が良いです。

 

3.管理行為をすることは少ない

保存行為に比べると、不在者財産管理人が管理行為(利用・改良)をすることは少ないです。

一般的な管理行為には以下があります。

利用行為

  • 賃貸借契約の締結
  • 有利子での金銭貸付け

管理行為

  • 家屋に造作を施す
  • 使用貸借契約の解除

上記のような管理行為を不在者財産管理人がすることは少なく、実際は保存行為と処分行為をすることが多いです。

 

4.処分行為は許可が必要

不在者財産管理人を選任する理由としては、処分行為を前提にしていることが多いです。

特に以下の2つです。

  • 遺産分割協議の同意
  • 不動産の処分

亡くなった人が遺言書を残していなければ、遺産分割協議が必要になります。相続人の中に行方不明者がいると、遺産分割協議が成立しないので不在者財産管理人を選任します。

共有不動産の名義人に行方不明者がいると、不動産を処分することができません。不動産を処分するために不在者財産管理人を選任します。

不在者財産管理人が処分行為をするには、家庭裁判所に「権限外行為の許可の申立て」をして許可を得る必要があります。

権限外行為については、下記で詳しく説明しています。

 

5.さいごに

不在者財産管理人の権限は、保存行為と管理行為の2つです。

不在者財産管理人の権限

ただし、不在者財産管理人が実際に行うのは、保存行為と処分行為が多いです。管理行為(利用・改良)をすることは少ないです。

不在者の財産に不動産があると、雨漏りや窓ガラスの修繕、室内の清掃や庭の草むしり等の保存行為は多くなります。

処分行為は不在者財産管理人の権限に含まれていないので、家庭裁判所の許可を得てから行ってください。

自分の行う行為が権限内かどうか判断がつかない場合は、家庭裁判所に確認してから行った方が安全です。

相続人の中に行方不明の人がいると相続手続が進みません。

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