法改正により、不在者財産管理人も不在者の金銭を供託できます。
遺産分割協議や不動産売却により金銭を取得した場合、金銭を供託すれば管理する財産が無くなるので、不在者財産管理人の仕事も終了になります。
かつては、金銭が無くなるまで仕事も続きましたが、法改正により変わっているので注意してください。
今回の記事では、不在者財産管理人の供託について説明しているので、しっかりと確認しておいてください。
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1.不在者財産管理人も供託できる
令和5年4月1日より、不在者財産管理人も不在者の金銭を供託できます。
以下は、家事事件手続法の条文です。
(供託等)
第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。
2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。
かつては、不在者財産管理人の供託について規定されていなかったです。
そのため、不在者の財産(金銭)が存在する限り、不在者財産管理人の仕事も続くので、不在者の財産を減っていきました。
※不在者の財産から報酬が支払われる。
不在者の財産(金銭)を供託できれば、財産管理する必要がないので管理人も不要となります。不在者財産管理人が不要になれば、報酬を支払う必要もありません。
上記の問題を解決するため、家事事件手続法を改正して、不在者財産管理人と供託について新たな規定が設けられました。
関連記事を読む『不在者財産管理人の法律【民法25条から民法29条】』
2.不在者財産管理人が供託するケース
不在者財産管理人が金銭を供託するケースとしては、主に以下の2つがあります。
- 遺産分割協議により金銭を相続
- 不動産売却により金銭を取得
2-1.遺産分割協議により金銭を相続
遺産分割協議により不在者が金銭を相続した場合、不在者財産管理人は相続した金銭を供託できます。
被相続人の預貯金を相続する場合だけでなく、代償分割により金銭を取得する場合も含みます。
- 代償分割
-
特定の相続人が財産を取得する代わりに、代償として金銭を支払う分割方法。
例えば、被相続人の財産に不動産が含まれている場合、不在者以外の相続人が不動産を取得して、不在者には代償金を支払うケースが多いです。
遺産分割協議により相続(取得)した金銭を、不在者財産管理人は供託できます。
関連記事を読む『不在者財産管理人が遺産分割協議に参加して署名捺印』
2-2.不動産売却により金銭を取得
不在者の不動産(共有持分含む)を売却した場合、売却金額も供託できます。
例えば、不動産の管理に金銭が必要なので、売却して金銭に変えた場合です。
不動産であれば不在者財産管理人の管理が続きますが、金銭に変われば供託も可能になります。
ただし、不在者の不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要なので注意してください。
関連記事を読む『不在者財産管理人が不動産を売却するには許可が必要』
3.供託により管理財産が無くなれば業務終了
不在者財産管理人の終了事由は決まっています。
- 不在者が見つかる
- 財産管理人が選任された
- 管理財産が無くなった
- 不在者の死亡が確認された
- 不在者に失踪宣告がされた
上記のどれかに該当すると、不在者財産管理人の業務は終了します。
改正後の家事事件手続法では、供託により管理財産が無くなれば、不在者財産管理人の業務は終了となります。
以下は、家事事件手続法です。
(処分の取消し)
第百四十七条 家庭裁判所は、不在者が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったとき(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、不在者、管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、民法第二十五条第一項の規定による管理人の選任その他の不在者の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。
例えば、遺産分割協議のために不在者財産管理人を選任したとします。不在者が金銭だけを相続した場合、遺産分割協議後に金銭を供託すれば業務は終了となります。
法改正前であれば、相続した金銭が実際に無くなるまで、不在者財産管理人の業務は続いていました。
不在者の金銭が供託できるようになれば、不在者財産管理人の業務も短くなります。業務が短くなれば支払う報酬も少なくなるので、予納金の額も少なくなる可能性があります。
※不在者の財産が少ない場合は予納金で補っています。
関連記事を読む『不在者財産管理人の終了はいつなのか|5つの事由を知っておこう』
4.さいごに
家事事件手続法の改正により、不在者財産管理人も不在者の金銭を供託できます。
不在者の金銭を供託して管理財産が無くなれば、不在者財産管理人の業務は終了となります。不在者財産管理人の業務期間が短くなれば、不在者の財産も残りやすいです。
不在者財産管理人の金銭管理は大きく変わっているので、選任を検討しているなら気を付けてください。



