特別代理人の選任申立ての方法を知っておこう

特別代理人の選任申立て
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亡くなった人の遺産分割協議をしたいが、利益相反に該当するので特別代理人が必要と言われ困っていませんか。

「親権者と未成年者」や「後見人と被後見人」の間で利益相反に該当すると、特別代理人を選任する必要があります。

選任された特別代理人が未成年者や被後見人を代理して、遺産分割協議や相続放棄などを行います。

今回の記事では、特別代理人の選任申立てについて説明しているので、申立てをする際の参考にしてください。

1.家庭裁判所の確認から始める

特別代理人の選任申立ては家庭裁判所に対して行います。

ただし、どこの家庭裁判所でもいいわけではなく、管轄家庭裁判所が決まっています。また、申立てができる人も限られます。

1-1.選任申立てができる人は限られる

特別代理人の選任申立ては以下の人ができます。

  • 親権者
  • 後見人
  • 利害関係人

親権者と未成年者が利益相反に該当する場合は、親権者が特別代理人の選任申立てをすることができます。

後見人と被後見人(本人)が利益相反に該当する場合も同じです。

1-2.本人の住所地を管轄する家庭裁判所

特別代理人の選任申立て先は、本人(未成年者・被後見人)の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所を調べる場合は「裁判所ホームページ」をご覧ください。

家庭裁判所が遠方の場合は、郵送での申立ても可能です。

家庭裁判所に郵送で提出

申立書を郵送で提出する場合は、書留などで送った方が安全です。

 

2.申立をするのに必要な書類の準備

特別代理人の選任申立てをするには、申立書以外に複数の書類を準備する必要があります。

書類は戸籍謄本等と利益相反に関する資料に分かれます。

2-1.申立書は家庭裁判所で取得できる

特別代理人の選任申立書は家庭裁判所で取得できます。

お近くに家庭裁判所が無い場合や時間が取れない場合などは、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。

申立書の記載例もあるので、一緒に取得しておきましょう。

2-2.親権者や未成年者の戸籍謄本等

申立てに必要な戸籍謄本等は以下のとおりです。

  • 未成年者・被後見人の戸籍謄本
  • 親権者・後見人の戸籍謄本
  • 特別代理人候補者の住民票

親権者と未成年者が同じ戸籍謄本に記載されていれば、同じ戸籍謄本は1枚で大丈夫です。

特別代理人の候補者を記載する場合は、候補者の住民票も取得してください。

候補者については以下の記事をご確認ください。

2-3.利益相反に関する資料は事情により違う

利益相反に関する資料は、利益相反に該当する行為により違います。

  • 遺産分割なら遺産分割協議書案
  • 不動産の売却なら契約書案・登記事項証明書

どの行為により利益相反になるのかを、家庭裁判所に説明する資料となります。

遺産分割協議の内容が未成年者や被後見人に不利だと、原則として家庭裁判所は申立てを認めません。法定相続分の確保が求められます。

 

3.申立てに必要な収入印紙と切手を用意

特別代理人の選任申立てに必要な収入印紙と切手を用意します。

  • 収入印紙(800円)
  • 予納切手(家庭裁判所により違う)

ご自身で申立てをする場合は、収入印紙と切手の用意を忘れずにしましょう。

【収入印紙】

収入印紙はコンビニや郵便局で購入できます。

ただし、800円という収入印紙の額面はないので、200円×4枚または400円×2枚を購入してください。

収入印紙の組み合わせ

コンビニでは200円の額面しか売っていないことが多いです。

【予納切手】

予納切手は家庭裁判所ごとに違うので、管轄家庭裁判所に確認してください。

下記は大阪家庭裁判所の予納切手です。

84円×8枚
10円×6枚
合計732円

切手の内訳も指定されているので、購入する際は気を付けてください。

 

4.特別代理人の選任申立てをした後の流れ

特別代理人の選任申立てに必要な書類や収入印紙などが準備できれば、管轄家庭裁判所に申立書を提出します。

申立書を提出した後は、家庭裁判所からの連絡を待ってください。

特別代理人の候補者がいる場合は、候補者に家庭裁判所から書面が届きます。特別代理人についての質問のようなものです。

提出された利益相反に関する資料などに問題がなければ、特別代理人が選任されます。

特別代理人が選任されたら、選任審判書を確認してください。審判書には特別代理人の権限が記載されています。

 

5.さいごに

未成年者と親権者が利益相反に該当する場合や、被後見人と後見人が利益相反に該当する場合には、特別代理人を選任する必要があります。

特別代理人を選任申立ては、親権者や後見人から申立てができます。

戸籍謄本や利益相反に関する資料の準備や、収入印紙や予納切手の用意も忘れずにしておきましょう。

利益相反に該当する行為の内容が未成年者や被後見人に不利だと、家庭裁判所は原則として申立てを認めません。不利である理由を説明する必要があります。

特別代理人が選任された後は、審判書を確認して代理行為を実行してください。