相続財産清算人に関する官報公告に、何が記載されているかはご存知でしょうか。
官報公告は2回あり、それぞれ目的が違います。
- 相続財産清算人の選任・相続権主張の公告
- 相続債権者・受遺者への請求申出の公告
申立人が官報公告をするわけではないですが、公告の内容を知っておくと手続きが理解しやすいです。
今回の記事では、相続財産清算人に関する官報公告について説明しているので、申立てを検討しているなら参考にしてください。
司法書士から一言令和5年4月1日に相続財産管理人から相続財産清算人へ名称変更。
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1.相続財産清算人の選任・相続権主張の公告
1回目の官報公告は、相続財産清算人の選任および相続権主張の公告です。
家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合、遅滞なく公告をする必要があります。
以下は、民法の条文です。
公告は家庭裁判所がするので、相続財産清算人がする必要はありません。
家庭裁判所の行う公告については、家事事件手続規則により公告方法が決まっています。
- 官報
- 国が発行している新聞のようなもの
以下は、1回目の官報公告の記載例です。
相続財産清算人の選任及び相続権主張の催告
次の被相続人について、相続人のあることが明らかでないので、その相続財産の清算人を次のとおり選任した。被相続人の相続財産に対し相続権を主張する者は、催告期間満了の日までに当裁判所に申し出てください。
令和5年(家)第12345号
大阪府大阪市北区〇〇町1丁目2番3号
申立人 〇〇 〇〇
本籍大阪府大阪市中央区〇〇町2丁目3番地、最後の住所大阪府大阪市中央区〇〇町2丁目3番地、死亡の場所大阪府大阪市、死亡年月日令和2年5月5日、出生の場所大阪府大阪市、出生年月日昭和10年6月19日、職業無職
被相続人 亡 大阪 太郎
大阪府大阪市西区〇〇町3丁目2番1号
相続財産清算人 弁護士 〇〇 〇〇
催告期間満了日 令和5年○月○日
大阪家庭裁判所
法改正前は、選任の公告と相続権主張の公告を別の時期にしていました。
一方、法改正後は、選任の公告と相続権主張の公告を同じタイミングで行います。
したがって、1回目の官報公告を確認すれば、催告期間の満了日(相続人の不存在)がいつになるかも分かります
2.相続債権者や受遺者への請求申出の公告
2回目の官報公告は、相続債権者や受遺者に対する請求申出の公告です。
1回目の官報公告が行われたら、相続財産清算人は2回目の官報公告を行います。
以下は、民法の条文です。
2回目の公告の目的は、相続債権者と受遺者に対して請求申出の催告になります。請求を申し出なければ弁済から除斥されます。
請求申出の公告は相続財産清算人がするので、忘れずに公告の手続きをしてください。
以下は、2回目の官報公告の記載例です。官報には縦書きで掲載されます。
- 催告
- 一定の行為をすることを相手に要求する通知のこと
官報公告の文章はひな型があるので、掲載依頼をする際に困ることはないです。
ただし、2回目の公告期間は2ヶ月以上ですが、1回目の公告期間(6か月以上)内に満了する必要があります。
相続財産清算人は、1回目の公告期間満了日を確認して、2回目の公告期間満了日が超過しないように注意してください。
3.法改正により官報公告の期間満了までが短くなった
法改正により、相続財産清算人(旧相続財産管理人)に関する、公告期間の満了までが短くなりました。
【法改正前】
「選任の公告」→「請求申出の公告」→「相続権主張の公告」で、10ヶ月以上かかっていました。
※実際は1年ぐらい。
【法改正後」
「選任・相続権主張の公告」が6ヶ月以上で、「請求申出の公告」は1回目の公告期間満了日までに満了します。
相続人の不存在確定までの期間が短くなったので、特別縁故者の財産分与の申立てを予定されている人にとってはメリットです。
4.まとめ
今回の記事では「相続財産清算人の官報公告」について説明しました。
相続財産清算人に関する官報公告は2回あります。
- 1回目は相続財産清算人の選任および相続権主張の公告
- 2回目は相続債権者と受遺者への請求申出の催告。
相続人の不存在が確定するのは、1回目の官報公告から最低でも6ヶ月以上経過してからです。
官報公告は家庭裁判所や相続財産清算人が行うので、申立人がすることはありません。
相続財産清算人の選任を検討している人は、手続きの流れを知っておいてください。