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任意後見受任者も死亡届の届出人になれる

任意後見受任者と死亡届
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法改正により、任意後見受任者も死亡届の届出人になれるのは、すでにご存知でしょうか。

法改正前は任意後見人でなければ、死亡届の届出人になれませんでした。

そのため、任意後見契約を結んでいるだけでは、死亡届の届出人になることができず、別の人に届出人になってもらうなど不便でした。

今回の記事では、任意後見受任者と死亡届について説明しているので、まだ法改正をご存知なければ確認しておいてください。

1.法改正により任意後見受任者も届出人

法改正の前でも任意後見人は死亡届の届出人でしたが、任意後見受任者は届出人になれませんでした。

任意後見受任者
任意後見契約の効力が発生する前の受任者のこと

ですが、戸籍法が改正されたので、任意後見受任者も届出人になれます。
*令和2年5月1日施行

第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
② 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法87条)

今までは、他の届出人が死亡届に署名して提出していましたが、任意後見受任者も自分で署名して提出できます。

親族以外の人と任意後見契約を結んでいる場合は、今回の法改正は重要となります。

 

2.死亡届の届出人欄に記載する

一般的に死亡届と死亡診断書は1枚の用紙(A3)になっています。

病院で亡くなった場合は、右側の死亡診断書を記入して渡してくれます。

そして、届出人が死亡届を記載するのですが、一番下の部分に届出人を記載する欄があります。

以下は死亡届(左側部分)です。

死亡届の届出人欄

赤線で囲っている部分が届出人欄となります。

13の任意後見受任者にチェックを入れます。

そして、届出人(任意後見受任者)の住所・本籍・筆頭者の氏名を記載し、署名捺印をして生年月日も記載します。

死亡届に記入したら役所に提出しましょう。

 

3.死亡届を提出する際に気を付ける点は3つ

任意後見受任者が死亡届を提出する際に、気を付ける点は3つあります。

  • 提出先の役所は決められている
  • 資格証明書の提出が必要
  • 死亡診断書はコピーしておこう

3-1.提出先の役所は決められている

死亡届を提出できる役所は決まっています。

  • 死亡した人の本籍地
  • 死亡した場所
  • 届出人(任意後見受任者)の住所地

上記以外の役所に提出しても、死亡届は受理されません。死亡した人の住所地は除かれているのでご注意ください。

ちなみに、死亡した人の本籍地の役所に提出すると、戸籍謄本に死亡が記載されるのが早いです。本籍地以外の役所に提出すると、戸籍謄本に反映されるまで2週間ほどかかります。

3-2.資格証明書の提出も必要

任意後見受任者が死亡届を提出する際は、資格証明書の提出も必要となります。

資格証明書は以下のどちらかです。

  • 登記事項証明書
  • 任意後見契約書(公正証書)

どちらの書類も原本の提出が必要です。

ただし、原本還付の手続きをすれば、原本は返却してもらえます。

【原本還付の方法】

コピーに「原本と相違ない」と記載し、任意後見受任者が署名捺印します。

コピーを一緒に提出

そして、原本とコピーを両方窓口に提出します。チェックが済めば原本は返却されます。

3-3.死亡診断書はコピーをしておこう

死亡届を提出するということは、死亡診断書も提出するということです。

一度提出した死亡診断書は返却されません。また、原本還付もできません。

死亡診断書は他の場所でも使用することがあるので、必ずコピーを取っておきましょう。

コピーを取っていなかった場合は、医療機関で再発行できますが有料となります。

 

4.死後事務委任契約と一緒に結ぶメリットが増えた

任意後見契約と死後事務委任契約を、一緒に結ぶことは珍しくありません。

ただし、死後事務委任契約では死亡届の届出人にはなれません。

ですので、法改正前は任意後見契約と死後事務委任契約を結んでいても、任意後見の効力発生前なら死亡届の届出人は別の人に頼んでいました。

これからは、任意後見受任者も死亡届の届出人になれるので、余計な手間が省けるようになります。

 

5.さいごに

法改正により、任意後見受任者も死亡届の届出人になれます。

法改正があったことを知らなければ、今までどおり届出人になれないと勘違いするので気を付けてください。

任意後見受任者が死亡届を提出する際には、資格証明書の提出も必要となります。登記事項証明書または任意後見契約書のどちらかを用意しましょう。

任意後見契約と死後事務委任契約を一緒に結んでいる場合は、死亡届の届出人にもなれるので死後事務をする際にも役に立ちます。

任意後見契約を結んでいる場合は、法改正にも注意しましょう。