任意後見の費用は公証人手数料や専門家報酬等の4つ

任意後見の費用
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任意後見契約を検討するなら、費用がいくら必要かはご存知でしょうか。

任意後見の費用は4つに分けることができます。

  • 公正証書の作成手数料
  • 文案作成報酬(相談料含む)
  • 任意後見人の報酬
  • 任意後見監督人の報酬

上記の4つは絶対に必要な費用と任意の費用、あるいは効力発生前の費用と効力発生後の費用に分かれます。

今回の記事では、任意後見契約の費用について説明しているので、任意後見を検討する際の参考にしてください。

1.公正証書で作成する必要がある

任意後見契約書の作成費用

任意後見の費用1つ目は、公正証書の作成手数料です。

任意後見契約は必ず公正証書で作成します。

(任意後見契約の方式)
第三条 任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律3条)

費用を節約するために自分たちで作成しても、任意後見契約は成立していません。

したがって、公正証書の作成手数料は、任意後見にとって必要不可欠となります。

公正証書は公証役場で、公証人が作成してくれます。

1-1.公正証書の作成手数料

公正証書を作成する際の手数料は、「公証人手数料令」という政令で決まっています。

任意後見契約の公正証書作成料は、1契約につき1万1,000円です。

報酬額の目安
公正証書作成 1万1,000円
登記嘱託手数料 1,400円
印紙代 2,600円
郵便切手代 約600円
原本超過枚数加算 1枚250円
正本謄本の作成料 1枚250円

正本は本人と受任者に各1通、謄本は法務局への登記申請用として1通必要です。
ですので、契約書の枚数×3セットです。

たとえば、契約書の枚数が4枚なら4×3セットで12枚となります。

任意後見契約書の枚数

任意後見契約書を作成するのに、約2万円が必要になります。金額の違いは契約書の枚数の違いです。

1-2.出張費用も加算される

公証人に出張してもらい、任意後見契約書を作成してもらうことも可能です。

もちろん、別に出張費用などが発生します。

(日当及び旅費)
第四十三条 公証人は、その職務を執行するために出張したときは、次に掲げる日当及び旅費を受けることができる。
一 日当 一日につき二万円。ただし、四時間以内のときは、一万円
二 旅費 交通に要する実費の額及び宿泊を要する場合にあっては、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)第二十一条第一項の規定により一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項第十一号に規定する指定職俸給表の適用を受ける職員に支給される宿泊料に相当する額

出典:e-Govウェブサイト(公証人手数料令43条)

出張費用は日当が2万円(半日は1万円)と旅費が実費となります。

2.文案作成を専門家に依頼する

任意後見文案作成の報酬

任意後見の費用2つ目は、任意後見契約書の文案作成報酬です。

任意後見契約書の文案(内容)作成を、専門家に依頼すると報酬が発生します。

公証人は公正証書は作成してくれますが、具体的な相談には応じてくれません。任意後見の内容について相談するなら、専門家に依頼する必要があります。

2-1.自分で考えれば費用は発生しない

任意後見について専門家に依頼するかどうかは自由です。

自分で本を読んだりネットで調べたりすれば、費用を0円にすることもできます。

ですので、任意後見契約書の文案作成報酬は任意の費用となります。

2-2.専門家報酬は事務所により違う

任意後見の文案作成料(相談含む)は、各事務所の自由設定となります。

自由設定なので比較は難しいですが、5万円前後にしている事務所が多いような気がします。
*サービス内容が違うので参考程度。

財産管理契約や見守り契約とセットにすると、割安になっている事務所もあります。

3.任意後見人の報酬は契約で決める

任意後見人の報酬

任意後見の費用3つ目は、任意後見人の報酬です。

任意後見人の報酬額は、契約で自由に決めることができます。

家族を後見人にする場合は基本的に無報酬が多いです。もちろん、家族に報酬を払っても問題ないです。

任意後見人の報酬は任意の費用といえます。

専門家に任意後見人を依頼した場合は、法定後見人の報酬額が目安となります。

報酬額の目安
管理財産額 報酬額(月額)
1,000万円以下 2万円
1,000万円超
5,000万円以下
3万円~4万円
5,000万円超 5万円~6万円

目安としては年間で最低24万円ぐらいです。

ただし、各事務所により報酬額は違います。

4.任意後見監督人の費用は必須

任意後見監督人の費用

任意後見の費用4つ目は、任意後見監督人の費用です。

任意後見契約の効力発生には、任意後見監督人の選任が必要です。

4-1.任意後見監督人の選任申立て費用

任意後見監督人の選任申立て費用としては、専門家報酬と鑑定費用が高額になりやすいです。

任意後見監督人の選任申立てを専門家に依頼すると、専門家報酬が発生します。

また、家庭裁判所の判断によっては、鑑定費用が必要になります。

4-2.任意後見監督人の報酬は必ず発生

任意後見監督人には専門家が選任されるので、任意後見監督人の報酬は必要不可欠となります。

報酬額は家庭裁判所が決めるのですが、目安となる金額も公表されています。

報酬額の目安
管理財産額 報酬額(月額)
5,000万円以下 1万円~2万円
5,000万円超 2万5,000円~3万円

任意後見契約の効力が発生した後は、維持費として年間で最低12万円が発生します。

5.まとめ

任意後見契約の費用は4つに分かれます。

  • 公正証書の作成手数料
  • 文案作成報酬(相談料含む)
  • 任意後見人の報酬
  • 任意後見監督人の費用

任意後見の費用

絶対に必要な費用は、作成手数料(約2万円)と任意後見監督人の報酬(年額12万円~)となります。家族に頼めば後見人報酬は0円も可能ですが、文案作成は事務所により違います。

任意後見は便利な契約ですが、元気なうちに結ぶ必要があります。任意後見契約をするべきか迷われている方は、お気軽にご相談ください。