LGBT・同性婚と相続税|パートナーには厳しい税金のルール

同性パートナーが財産を取得した場合は、相続税の課税対象者となります。

同性パートナーが苦労して財産を引き継いでも、今度は相続税の問題が待ち構えています。LGBT・同性婚に対しては相続税のルールも厳しいです。

なぜなら、相続人には当然に認められている特例等が、同性婚では認められていません。その結果、相続税が高額になりやすいです。

相続税は亡くなった後、10か月以内に現金一括納付となります。納税資金を用意できないと、最悪の場合は引き継いだ財産を失うことになります。

相続税について知っておくことも対策の一つになります。

目次

  1. 同性パートナーも相続税の対象
    1. 基礎控除額を計算
    2. 配偶者控除は法律上の配偶者のみ
    3. 小規模宅地等の特例
    4. 2割加算の対象
    5. 相続税申告書の提出先
    6. 納付期限
  2. 生前贈与で対策
    1. 贈与税の基礎控除
    2. 贈与税の税率
    3. 生前贈与加算
  3. 生命保険金を受け取る
    1. みなし相続財産
    2. 非課税枠が使えない
    3. 税金の種類が変わる場合
    4. 生命保険金を受け取った後の対策
  4. 不動産に関係する税金
  5. まとめ

1.同性パートナーも相続税の対象

同性パートナーが遺言書により遺贈を受けると、取得した財産額に応じて相続税が発生します。
遺贈は贈与税ではなく、相続税になるので気を付けてください。

ただし、亡くなった人の相続財産が、基礎控除額を超えた場合のみ実際に発生します。
遺贈した額ではなく相続財産全体の額です。

1‐1.基礎控除額を計算

相続税の基礎控除

相続税の基礎控除額の計算式
3,000万円+600万円×法定相続人の数

同性パートナーは、相続人の数に含みません。

①法定相続人がいない場合

亡くなった人に法定相続人がいない場合は、3,000万円を超えた部分に相続税がかかります。

②法定相続人がいる場合

(例)亡くなった人に兄弟姉妹が2人いる場合。

3,000万円+600万円×2=4,200万円
4,200万円を超えた部分に相続税がかかります。

1‐2.配偶者控除は法律上の配偶者のみ

配偶者控除とは、配偶者が取得する財産が1憶6,000万円または法定相続分までは、非課税になる制度です。
実際の相続では、配偶者の相続税は非課税になることが多いです。

同性婚では相続税の配偶者控除が使えません。

1‐3.小規模宅地等の特例

不動産に関する重要な相続税の特例に、小規模宅地等の特例があります。

相続した土地の評価額を、最大80%減額する特例です。
残念ですが、同性婚では使うことができません。

同性パートナーが土地の遺贈を受ける場合は、相続税が発生する可能性が高いです。

1‐4.2割加算の対象

2割加算とは配偶者・親・子ども以外の人が、相続財産を取得する場合は相続税が2割増えます。

同性パートナーは、相続税の2割加算の対象です。

1‐5.相続税申告書の提出先

亡くなった人の住所地を、管轄する税務署です。
住所地は生活の本拠があった場所です。

税務署の管轄は、国税庁ホームページで確認できます。
国税庁ホームページ)はこちらです。

相続財産が基礎控除額を超えていなければ、相続税申告書の提出は不要です。

1‐6.納付期限

納付期限は亡くなった日から、10カ月以内です。
原則として、現金一括納付になります。

同性婚の相続税は高くなる可能性があるので、相続税への備えは必要です。

 

2.生前贈与で対策

同性婚の相続税対策には生前贈与が関係します。
なぜかというと、生前贈与をすることにより、財産額を下げることができるからです。財産額が基礎控除額を下回れば相続税はかかりません。

詳細は『同性婚と生前贈与|確実に渡せるが注意点もある』をご覧ください。

2‐1.贈与税の基礎控除

贈与税には年間110万円までの、基礎控除があります。
1月1日から12月31日までの贈与金額の合計が、110万円以下なら贈与税はかかりません。

1年間に110万円の贈与を10年間続けると、1,100万円を非課税で移すこともできます。

2‐2.贈与税の税率

贈与税の速算表です。

基礎控除後の
課税価格
税率控除額
200万円以下10%
200万円超
300万円以下
15%10万円
300万円超
400万円以下
20%25万円
400万円超
600万円以下
30%65万円
600万円超
1,000万円以下
40%125万円
1000万円超
1,500万円以下
45%175万円
1500万円超
3,000万円以下
50%250万円
3,000万円超55%400万円

贈与税の計算
基礎控除後の額に、税率を掛けて控除額を引く。

(例)1年間で500万円を贈与された場合

500万円-110万円=390万円(基礎控除)
390万円×20%=78万円(400万円以下の税率)
78万円‐25万円=53万円(400万円以下の控除額)
贈与税は53万円

2‐3.生前贈与加算

毎年贈与することにより、財産額を下げることができます。
ただし、生前贈与加算というルールがあります。

相続や遺贈により財産を取得した人が、亡くなる前3年以内に贈与を受けていた場合は、贈与金額は相続財産に含んで相続税を計算します。

贈与税の基礎控除に関係なく、相続税の計算に含めます。
すでに贈与税を払っている場合は、相続税から控除されます。

同性婚の相続対策として生前贈与する場合は、なるべく早めにするのがポイントです。

 

3.生命保険金を受け取る

2015年11月より、同性パートナーを生命保険の受取人に指定できるように、変更している保険会社もあります。
ただし、相続税の関係では、注意が必要です。

3‐1.みなし相続財産

同性パートナーが受け取った生命保険金は、みなし相続財産として相続税の対象です。
生命保険金は相続財産ではないのですが、相続税の計算上は相続財産として扱います。

同性パートナーが遺贈を受けていなくても、生命保険金を受け取っている場合は相続税が発生することもあります。

3‐2.生命保険の非課税枠

生命保険金をみなし相続財産として計算するときは、非課税枠を差し引いて計算します。
生命保険金の非課税枠は同性パートナーには適用されない
500万円×法定相続人の数が、生命保険の非課税枠になります。

残念ながら同性パートナーは、生命保険の非課税枠を使うことができません。
なぜなら、非課税枠が使えるのは、親族が受取人の場合だけです。

3‐3.税金の種類が変わる場合

同性パートナーが生命保険金を受け取った場合に、相続税以外の税金になる場合があります。
誰が保険料を払っていたかで、税金が変わります。
生命保険関係図

契約者税金
亡くなった人相続税
同性パートナー所得税
第三者贈与税

契約者=保険料を払っていた人
被保険者=保険の対象者=亡くなった人
受取人=同性パートナー

同性パートナーが自分で保険料を払い、生命保険金を受け取った場合は所得税です。

第三者が保険料を払い、生命保険金を受け取った場合は贈与税です。

3‐4.生命保険金を受け取った後の対策

せっかく生命保険の受取人に同性パートナーを指定しても、相続税の問題は残ってしまいます。保険会社は規約を変更してくれていますが、相続税法は変わっていないです。

これからは生命保険金を実際に受け取るパートナーも、増えてくると思いますので相続税対策は必要です。

同性婚と生命保険|パートナーを受取人にできる時代

 

4.不動産に関係する税金

不動産を取得した場合に、相続税以外に発生する税金があります。

不動産取得税と登録免許税です。遺贈、生前贈与どちらの場合も発生します。

同性パートナーに不動産を残す場合は、相続税以外の税金も発生することを知っておく必要があります。

詳細は『同性カップルと不動産|買うのも大変だが残すのも大変』をご覧ください。

 

5.さいごに

同性パートナーが財産を無事に相続しても、次は相続税が待っています。相続税についての知識も知っておく必要がありあます。

相続税は現金一括納付なので、備えがなければ払うことができません。不動産を遺贈により取得しても、相続税の支払いのために手放すことになるかもしれません。

今後は生命保険金を実際に受け取る人も増えてきます。相続税が発生する可能性は、今までよりも高いはずです。

対策の第一歩はルールを知ることです。知っていればできる対策はありますので、疑問等があれば悩まずに相談しましょう。

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