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共有物分割請求とは共有状態を解消する方法の1つ

共有物分割請求
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不動産の共有者は、いつでも他の共有者に対して共有物分割請求ができます。

不動産の分割方法は自由に決めれますが、共有者全員の同意が必要です。

主な分割方法は3つあります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割

それぞれの分割方法にはメリット・デメリットがあります。

今回の記事では、共有物分割請求について説明しているので、不動産を共有で所有しているなら解消の参考にしてください。

1.共有不動産の分割は請求できる

不動産を共有にしておくと、さまざまな問題が発生します。

  • 相続の発生により共有者の変更
  • 共有者の人数が増え続ける
  • 不動産の処分に共有者全員の同意

実際、不動産の共有状態を解消したくて相談に来られる方もいます。

共有状態を解消する方法の1つが、共有物の分割請求です。

意外と知られていないのですが、不動産の共有者はいつでも分割を請求することできます。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

出典:e-Govウェブサイト(民法256条1項)

不動産をどのように分割するかは、共有者同士の協議によって自由に決めることができます。

ただし、共有者全員の合意が必要です。共有持分が少ないからといって、共有物分割協議から除外することはできません。

 

2.共有物分割の主な方法は3つ

共有物分割請求により不動産をどのように分割するかは自由ですが、主な方法は以下の3つとなります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割

2-1.不動産を実際に分割する

分割方法の1つ目は現物分割です。

現物分割とは、不動産を共有者同士で実際に分割することです。

例えば、共有不動産が土地であれば、共有持分の割合に応じて土地を分筆して、各共有者が土地を単独所有します。

現物分割

共有不動産が土地であれば、現物分割が選びやすいです。

現物分割のメリット

共有不動産を実際に分割するので、分かりやすく公平になりやすいです。

現物分割のデメリット

共有不動産が建物の場合は、実際に分割することが難しいです。

また、共有不動産が土地であっても、分筆することにより著しく価値が下がることもあります。

2-2.代償を支払って持分を取得する

分割方法の2つ目は代償分割です。

代償分割とは、他の共有者に代償を支払って、他の共有者の持分を取得することです。

分かりやすく説明するなら、お金を支払って共有持分を取得します。


例えば、建物を2人(2分の1ずつ)で共有していて、建物の評価額が1,000万円の場合です。

1,000万円の2分の1は500万円なので、他の共有者に500万円を支払って持分を取得します。

代償分割

共有者の中に不動産を使用したい人がいて、かつ、代償が支払えるなら代償分割を利用します。

代償分割のメリット

共有不動産を使用したい共有者からすると、不動産を手放す必要がありません。

一方、共有持分を手放す共有者からすると、持分の代わりに金銭等を取得することができます。

代償分割のデメリット

共有不動産を使用したい共有者が、代償を用意する必要があります。共有者が代償を用意できなければ、代償分割は選びようがないです。

2-3.不動産を売却して金銭を分ける

分割方法の3つ目は換価分割です。

換価分割とは、共有不動産を売却して、売却代金を共有持分割合で分割することです。


例えば、建物を2人(2分の1ずつ)で共有していて、建物が1,000万円で売却できた場合です。

1,000万円を500万円(2分の1)ずつ分割して取得します。

換価分割

不動産を金銭に換えることができるなら、持分割合に応じて分割するのは簡単です。

換価分割メリット

共有不動産を金銭に換えることで、持分に従って公平に分割することができる。

換価分割のデメリット

不動産を手放すことになるので、不動産を使用したい共有者がいると選べない。

不動産の価値が低ければ、換価(売却)することが難しい。

 

3.協議がまとまらなければ分割訴訟

共有者が共有物分割請求をしても、共有者同士の協議がまとまるとは限りません。

共有物分割協議の成立には共有者全員の合意が必要なので、お互いの主張が食い違えば協議は不成立となります。

共有物分割協議がまとまらなければ、共有者は裁判所に分割請求をすることができます。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法258条1項)

裁判所に分割請求すると、最終的に裁判所が分割方法を決定します。

ただし、自分が望む結果になるとは限らないのと、裁判費用も必要になるのでご注意ください。

 

4.分割請求以外で共有状態を解消する方法

共有物の分割請求以外にも、不動産の共有状態を解消する方法はあります。

  • 共有持分の売却
  • 共有持分の贈与
  • 共有持分の放棄

4-1.共有持分の売却は共有者以外も可能

共有持分の売却は共有者以外にも可能です。

ですので、共有者が買い取ってくれなければ、共有者以外の人に売却することで共有状態を解消することもできます。

ただし、共有持分の売却金額は低くなりやすいですし、購入希望者がいなければ成立しません。

4-2.共有持分を贈与することもできる

代償分割で支払う金銭は持っていないが、不動産の持分は欲しいという共有者がいれば、共有持分の贈与も検討しましょう。

金銭を取得することはできませんが、共有状態からは抜け出すことができます。

共有持分を欲しい人がいるなら、気が変わる前に贈与しておくことをお勧めします。

4-3.共有持分は自由に放棄できる

不動産の共有持分は自由に放棄することができ、放棄した共有持分は他の共有者に移転します。

ただし、共有持分の放棄自体は単独の意思表示で成立するのですが、持分移転登記は共有者との共同申請となります。

共有者が不動産登記の申請に協力しない場合は、裁判で訴えることも可能です。

 

5.さいごに

不動産が共有状態なら、各共有者はいつでも分割を請求することができます。

不動産をどのように分割するかは自由に決めれますが、主な方法は以下の3つです。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割

それぞれの分割方法にはデメリットがあります。

建物を現物分割するのは難しいですし、支払う費用がなければ代償分割はできません。また、不動産を手放したくない共有者がいれば、換価分割も難しいです。

共有者同士の話し合いがまとまらなければ、裁判所に分割を請求することもできます。

ただし、希望の分割方法になる保障はありませんし、裁判費用も必要になります。

不動産の共有状態はいつか解消する時が来るので、できる限り早めに対策をしておきましょう。