遺贈により不動産の名義変更をするのに、登録免許税という税金が必要になるのはご存知でしょうか。
登録免許税の税率は、不動産の受取人によって違います。
- 相続人:0.4%
- 相続人以外:2%
遺贈により取得する不動産の評価額が高いと、2%であっても税金は高くなります。
今回の記事では、遺贈による登録免許税について説明しているので、まだ登記を済ませていない場合は参考にしてください。
目次
1.不動産の名義変更に必要な税金
遺贈により不動産を取得すると、法務局で不動産名義の変更をする必要があります。
具体的には、亡くなった人から受取人への所有権移転登記をします。所有権移転登記を申請する際に発生するのが、登録免許税という税金です。
1-1.登記は第3者対抗要件なので必須
遺贈により不動産を取得しても、登記名義を変更しなければ第3者に対抗することはできません。
不動産の所有権は登記をしなくても移転しているのですが、第3者に対して所有者であることを主張するには登記が必要ということです。
遺贈による所有権移転登記は、受遺者と遺贈義務者の共同申請となります。
1-2.登録免許税の計算式
所有権移転登記の計算式は以下になります。
- 遺贈による所有権移転登記
- 課税標準×税率=登録免許税
課税標準は固定資産課税台帳の価格
登録免許税の計算に必要な課税標準とは、固定資産課税台帳の価格です。
市町村役場から通知される固定資産課税明細書で確認できます。紛失している場合は、市町村役場で証明書を発行することも可能です。
遺贈を検討されている場合は、前もって価格を確認しておいてください。
固定資産課税標準額とは違います。
税率は受取人によって違う
税率は誰が受取人かによって違います。
- 相続人
- 相続人以外
詳しくは各項目でご確認ください。
2.受取人が相続人だと0.4%に軽減
遺贈による所有権移転登記の税率は、原則として贈与と同じ2%です。
ただし、受取人が法定相続人の場合は、0.4%に軽減されています。なぜかというと、相続を原因とする所有権移転登記の税率が0.4%なので、原因が遺贈であっても同じ税率にしているからです。
2-1.先順位相続人がいれば後順位は2%
税率が0.4%に軽減されるのは相続人です。ですので、先順位相続人がいれば、後順位相続人の税率は2%となります。
例えば、遺贈により不動産を受け取るのが兄弟姉妹であっても、亡くなった人に子どもがいれば相続人ではありません。
2-2.添付書類として戸籍謄本が必要
法定相続人が0.4%の税率で所有権移転登記を受けるには、添付書類として相続人であることを証する戸籍謄本を提出する必要があります。
戸籍謄本を確認することにより、法務局も相続人であることが確認できます。
3.受取人が第3者(相続人以外)
遺贈により不動産を取得した人が第3者(相続人以外)であれば、原則どおり税率は2%となります。
- 相続人以外の親族
- 事実婚の配偶者
- 同性パートナー
上記の人に不動産を遺贈すると、登録免許税の税率は2%です。
遺贈する不動産の課税標準が高額だと、2%であっても支払う税金は高額になります。
例えば、課税標準が1,000万円であれば20万円、2,000万円であれば40万円、3,000万円であれば60万円となります。
遺言書で無事に遺贈ができても、名義変更をするのに税金が発生します。思っているよりも金額は高額になるので、前もって計算しておいてください。
4.その他の税金にも注意
不動産を遺贈すると登録免許税以外にも、税金が発生する可能性があります。
- 相続税
- 不動産取得税
上記2つの税金について簡単に説明しておきます。
4-1.贈与税ではなく相続税
遺贈という言葉で贈与税と勘違いしやすいのですが、遺贈を受けるのが相続人以外であっても相続税です。
贈与税と相続税では計算方法も税率も違うので、税金を計算する際は気を付けてください。
4-2.不動産取得税が発生するケース
遺贈により不動産を取得すると、不動産取得税が発生するケースがあります。
不動産取得税が発生するのは、特定遺贈で第3者(相続人以外)が取得する場合のみです。
詳しくは下記の記事でご確認ください。
5.さいごに
遺贈により取得した不動産の名義を変更するには、登録免許税という税金が必要になります。
税率は取得した人によって違います。
- 相続人:0.4%
- 相続人以外:2%
同じ不動産を遺贈されても、税金で5倍の差が生まれます。
不動産の名義変更は第3者対抗要件です。したがって、登録免許税は絶対に必要となるので、遺贈を検討する際は頭に入れておいてください。