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遺贈でも不動産取得税は発生するのか?

遺贈により不動産取得税は発生するのか
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遺贈により不動産を取得すると、不動産取得税という税金が発生する可能性があります。受取人や遺贈の方法によって、税金の発生に違いが生じます。

不動産の価格が高額だと税金も高額になるので、あらかじめ発生するかどうかを確認しておいてください。

1.不動産の取得に対して課税

不動産取得税とは、言葉のとおり不動産の取得に対して課税される税金です。

不動産(建物・土地)を取得した際に一度だけ発生します。都道府県が課税する地方税であり、不動産を取得した人が支払います。

1-1. 売買・贈与・新築等で取得

主な不動産の取得には以下があります。

  • 売買
  • 贈与
  • 交換
  • 新築
  • 増改築

新たに不動産を取得すると有償・無償を問わず、課税される税金と思ってください。

1-2.相続による取得は非課税

相続により不動産を取得しても、不動産取得税は非課税となります。

(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
第七十三条の七 道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
一 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得

出典:e-Govウェブサイト(地方税法73条の7)

亡くなった人が取得した際に納めているので、相続人は非課税となっています。

遺贈ならどうなるかは、次の項目で説明しています。

 

2.遺贈の種類により不動産取得税の課税に違い

遺贈により不動産を取得した場合は、遺贈の種類により結論が違います。

遺贈は2種類あります。

2-1.特定遺贈なら受遺者によって不動産取得税の課税に違い

特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺贈することです。

例えば、「所在地〇〇の不動産を遺贈する」や「金100万円を遺贈する」等が特定遺贈となります。

特定遺贈により不動産を取得した場合は、誰が受取人かで分かれます。

  • 相続人
  • 第3者(相続人以外)

①相続人なら不動産取得税は発生しない

相続人が特定遺贈により不動産を取得しても、不動産取得税は非課税となります。

相続人が取得しているので、相続と同じ扱いとなっています。

②第3者(相続人以外)なら不動産取得税が発生

第3者が特定遺贈により不動産を取得すると、不動産取得税が課税されます。

2-2.包括遺贈なら不動産取得税は非課税

包括遺贈とは、割合を指定して遺贈することです。

例えば、「全財産の2分の1を遺贈する」や「全財産を遺贈する」等が包括遺贈となります。

包括遺贈により不動産を取得した場合は、誰が受取人であっても非課税となります。たとえ取得した人が第3者であっても、不動産取得税は発生しません。

遺贈と不動産取得税の関係

 

3.遺贈による不動産取得税の計算方法

簡単にですが、不動産取得税の計算についても説明しておきます。

不動産取得税の計算式
取得した不動産の価格×税率=不動産取得税

上記の計算式により不動産取得税を計算します。

3-1.遺贈により取得した不動産の価格

「取得した不動産の価格」とは、原則として固定資産課税台帳に記載されている価格です。

ただし、特例の要件を満たすことで価格が変更するので、確実な金額は税理士等に確認してもらってください。

3-2.不動産取得税の税率は3%に軽減

不動産取得税の税率は、地方税法で定められています。

(不動産取得税の税率)
第七十三条の十五 不動産取得税の標準税率は、百分の四とする。

出典:e-Govウェブサイト(地方税法73条の15)

原則として4%なのですが、令和6年3月31日までは土地と住宅は3%に軽減されています。
*住宅以外の建物は4%のままです。

税率の特例措置
住宅取得の負担軽減による住宅取得・流通の促進を図るため、住宅を取得した場合の不動産取得税の税率を3%に軽減(本則:4%)します。
(適用期限:令和6年3月31日)

出典:国土交通省ウェブサイト(不動産取得税に係る特例措置)

例えば、取得した不動産の価格が1,000万円であれば、不動産取得税は30万円となります。

第三者に不動産を特定遺贈するなら、不動産取得税についても知らせておきましょう。

 

4.その他の税金も発生する

遺贈により不動産を取得すると、不動産取得税以外の税金も発生します。

  • 相続税
  • 登録免許税

上記2つも簡単にですが説明しておきます。

4-1.遺贈は贈与税ではなく相続税

遺贈により取得した場合は、贈与税ではなく相続税となります。

相続税の計算は複雑なので省略しますが、遺産総額が3,000万円を超えていれば発生する可能性があります。
*遺贈により取得した金額ではないです。

4-2.不動産の名義変更には登録免許税

取得した不動産の名義を変更するには、登録免許税を支払う必要があります。

登録免許税の計算式
固定資産評価額×税率=登録免許税

税率は遺贈の受取人によって違います。
*特定遺贈・包括遺贈とも同じ。

  • 相続人:0,4%
  • 第3者:2%

例えば、1,000万円の不動産を第3者に遺贈すると、登録免許税が20万円発生します。

 

5.さいごに

遺贈により不動産を取得すると、不動産取得税が発生する場合があります。

不動産取得税の発生
相続人に遺贈 第3者に遺贈
特定遺贈 非課税 課税
包括遺贈 非課税 非課税

不動産取得税が発生するのは、第3者に特定遺贈をした場合のみです。相続人に遺贈しても発生しませんし、包括遺贈であれば第3者に遺贈しても発生しません。

第3者に対しては遺贈の方法により、不動産取得税の発生に違いがあるのでご注意ください。

遺贈により不動産を取得すると、名義変更の登録免許税も必要です。受取人によって税率が違います。

不動産を遺贈すると予期せぬ税金に困ることもあるので、税金の存在についても知っておいてください。