【遺贈と死因贈与】7つの項目で徹底比較

遺贈と死因贈与の違いはご存知でしょうか。

本人が亡くなって効力を発生する点は同じですが、遺贈と死因贈与では違う部分の方が多いです。

あなたの目的や希望によっては、遺贈または死因贈与では達成できないかもしれません。

今回の記事では、遺贈と死因贈与を比較して説明しているので、2つの違いをご存知なければ参考にしてください。

目次

  1. 遺贈と死因贈与では相手の意思表示に違い
    1. 遺贈は単独の意思表示で成立
    2. 死因贈与は相手方の意思表示が必要
  2. 遺贈と死因贈与では方式に違いがある
  3. 遺贈や死因贈与は撤回できるのか
    1. 遺贈の撤回は遺言者の自由
    2. 死因贈与の撤回は原則と例外がある
  4. 遺贈や死因贈与は放棄できるのか
    1. 遺贈の放棄は受遺者の自由
    2. 原則として死因贈与は放棄できない
  5. 遺贈と死因贈与に課税されるのは相続税
  6. 遺贈や死因贈与の相手が先に亡くなった
    1. 受遺者が先に亡くなると遺贈は失効
    2. 受贈者が先に亡くなると結論が分かれる
  7. 遺贈と死因贈与は生前に仮登記できるのか
    1. 生前に遺贈の仮登記は申請できない
    2. 生前に死因贈与の仮登記は申請できる
  8. さいごに

1.遺贈と死因贈与では相手の意思表示に違い

遺贈と死因贈与の比較1つ目は、相手の意思表示です。

遺贈と死因贈与では、相手方の意思表示の有無に違いがあります。

1-1.遺贈は単独の意思表示で成立

遺贈は遺贈者の意思表示だけで成立します。相手(受遺者)の意思表示は不要です。

相手が遺贈に反対していても成立しますし、相手が遺贈を知らなくても成立します。

1-2.死因贈与は相手方の意思表示が必要

死因贈与は契約なので、成立には相手方の意思表示が必要です。贈与者と受贈者が合意しなければ、死因贈与契約は成立しません。

贈与契約の成立

ですので、相手方が贈与に反対であれば、死因贈与は不成立となります。

遺贈と死因贈与に相手方の意思表示

 

2.遺贈と死因贈与では方式に違いがある

遺贈と死因贈与の比較2つ目は、方式が決まっているかどうかです。

当然ですが、遺贈は遺言書に記載しなければ成立しません。普通の書面に記載しても遺贈にはなりません。

また、遺贈を遺言書に記載していても、遺言書自体が無効になれば遺贈も無効です。

それに対して、死因贈与に決まりはありません。相手方の意思表示があれば、口約束でも死因贈与契約は成立します。

贈与契約の方式

ただし、口約束では第3者に証明するのが難しいので、証拠を残すためにも書面で作成した方が良いです。

遺贈と死因贈与の方式

 

3.遺贈や死因贈与は撤回できるのか

遺贈と死因贈与の比較3つ目は、撤回できるかです。

遺言書を作成した後や死因贈与契約を結んだ後で、気が変わることもあります。

遺贈と死因贈与は撤回できますが、死因贈与については例外もあるので気を付けてください。

3-1.遺贈の撤回は遺言者の自由

遺贈は本人の意思表示だけで成立するので、撤回するのも自由となります。

(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1022条)

遺言書を撤回するのに、受遺者の同意も必要ありません。遺言書の効力が発生するまでは、受遺者に何の権利もないからです。

3-2.死因贈与の撤回は原則と例外がある

原則として、死因贈与の撤回は自由にすることができます。

 死因贈与の取消については、民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。

出典:最高裁判所判例集(昭和47年5月25日最高裁判所第一小法廷)

死因贈与は遺贈の規定が準用されているので、民法1022条を準用して撤回ができるとしています。

ただし、死因贈与の撤回が認められない場合もあります。

下記は、撤回が認められなった判例です。

負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、民法一〇二二条、一〇二三条の各規定は準用されない。

出典:最高裁判所判例集( 昭和57年4月30日最高裁判所第二小法廷)

上記を簡単に説明すると、死因贈与が負担付の場合に受贈者が負担の履行をしていれば、特段の事情がない限り民法1022条は準用されません。

すでに受贈者が負担を履行しているのに、贈与者が自由に贈与を撤回できると不公平になるからです。

遺贈と死因贈与は撤回できるか

 

4.遺贈や死因贈与は放棄できるのか

遺贈と死因贈与の比較4つ目は、効力発生後に放棄できるかです。

遺言者(遺贈者)が亡くなった後に、遺贈(死因贈与)を放棄できるかには違いがあります。

4-1.遺贈の放棄は受遺者の自由

遺贈は遺言者の一方的な意思表示なので、受遺者はいつでも放棄することができます。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法986条)

受遺者は遺言書の内容を知らないこともあるので、内容を確認してから受けるのか放棄するのか決めれます。

ただし、遺贈が包括遺贈の場合は、遺贈を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必要です。

4-2.原則として死因贈与は放棄できない

死因贈与は契約なので、契約の効力発生後に一方的に放棄することはできません。

贈与者が亡くなった後で、受贈者が自由に放棄できると契約の意味がないからです。

ただし、死因贈与契約の内容に受贈者からの放棄を認める項目があれば、効力発生後に放棄することもできます。

遺贈と死因贈与の放棄

 

5.遺贈と死因贈与に課税されるのは相続税

遺贈と死因贈与の比較5つ目は、課税される税金です。

遺贈と死因贈与に課税される税金は、両方とも相続税となります。

(相続税の納税義務者)
第一条の三 次の各号のいずれかに掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した次に掲げる者であつて、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの

出典:e-Govウェブサイト(相続税法1条の3)

死因贈与は贈与税と間違えやすいですが、法律により相続税となっています。

受遺者や受贈者が相続人以外であっても、相続税が課税されるので気を付けてください。

遺贈と死因贈与は相続税

 

6.遺贈や死因贈与の相手が先に亡くなった

遺贈と死因贈与の比較6つ目は、相手方が先に亡くなった場合です。

遺贈や死因贈与を決めていても、受遺者や受贈者が先に亡くなることもあります。

先に亡くなった場合は、当然に相続人に引き継がれるわけではありません。

6-1.受遺者が先に亡くなると遺贈は失効

遺言者が亡くなる前に受遺者が亡くなると、法律の定めにより遺贈は失効します。

(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

出典:e-Govウェブサイト(民法994条)

間違えやすいのですが、受遺者の相続人が遺贈を受けるわけではありません。

受遺者の相続人に遺贈したい場合は、以下の方法となります。

  • 遺言書を新しく作成する
  • 遺言書に別段の定め

遺言書で別段の定めをしておくことで、受遺者の相続人に遺贈することは可能です。

6-2.受贈者が先に亡くなった場合は結論が分かれる

死因贈与の受贈者が先に亡くなった場合は、遺贈と同じく失効するという判例と、受贈者の相続人が承継するという判例に分かれています。

ですので、一律で判断するのではなく、個々の事例ごとに判断しているようです。

遺贈の場合と同じですが、受贈者の相続人に承継させたい場合は、契約書内で決めておいた方が良いです。

遺贈と死因贈与の相手方が先に亡くなる

 

7.遺贈と死因贈与は生前に仮登記できるのか

遺贈と死因贈与の比較7つ目は、生前に仮登記できるのかです。

遺言者や贈与者が生前している間に、仮登記を申請できるかには違いがあります。

7-1.生前に遺贈の仮登記は申請できない

遺言者が生存している間に、遺贈の仮登記は申請できません。

遺贈の効力は発生していませんし、受遺者は仮登記を請求する権利も持っていません。

たとえ遺言書を公正証書で作成したとしても、生前に遺贈の仮登記は認められません。

7-2.生前に死因贈与の仮登記は申請できる

死因贈与契約の締結後であれば、死因贈与の仮登記を申請できます。

死因贈与の効力は発生していませんが、仮登記を請求する権利は発生しています。

したがって、2号仮登記を申請することが可能です。

遺贈と死因贈与では生前の仮登記に違い

 

8.さいごに

以下は、遺贈と死因贈与の比較表です。

遺贈と死因贈与の比較
項目遺贈死因贈与
相手方の
意思表示
不要必要
方式遺言書自由
撤回自由原則自由
放棄自由原則不可
税金相続税相続税
先に死亡失効結論が
分かれる
生前に仮登記不可可能

遺贈と死因贈与は似ていますが、違う部分の方が多いです。

どちらを利用するかは目的によっても違うので、選ぶ前に必ず確認しておいてください。

遺贈と生前贈与の比較については、以下の記事を参考にしてください

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