包括遺贈の放棄には家庭裁判所の手続きが必要

包括遺贈を放棄するには、家庭裁判所での手続きが必要なのはご存知でしょうか。

相続人に意思表示をしただけでは、包括遺贈放棄の効力は発生しません。

亡くなった人の借金などを理由に包括遺贈を放棄する場合は、包括遺贈を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをしてください。

今回の記事では、包括遺贈の放棄について説明しているので、包括遺贈を放棄するか検討しているなら参考にしてください。

1.包括受遺者の権利義務は相続人と同じ

包括遺贈とは割合を定めて遺贈することです。

例えば、「財産の2分の1を遺贈する」や「全財産を遺贈する」等が包括遺贈となります。
*全財産は1分の1と同じです。

包括遺贈を受けた人は、相続人と同一の権利と義務を有することになります。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

出典:e-Govウェブサイト

包括受遺者とは包括遺贈を受ける人のことです。

相続人と同一の権利義務を有するので、包括受遺者にも以下が発生します。

  • 遺産分割協議に参加
  • 借金等も承継
  • 放棄に手続きが必要

放棄については【2.放棄するなら遺贈を知った日から3ヶ月以内】で説明しています。

1-1.遺産分割協議に参加する必要がある

相続人と同じ扱いになるので、包括受遺者も遺産分割協議に参加する必要があります。

包括受遺者も遺産分割協議に参加

包括受遺者が参加して同意しなければ、遺産分割協議は有効に成立しません。

1-2.借金などの負債も承継する

亡くなった人の相続財産には借金等の負債も含まれるので、包括受遺者も割合に応じて借金等を承継します。

意外と知られていないので、遺言者と受遺者の両方が知っておく必要があります。

 

2.包括遺贈を知った日から3ヶ月以内なら放棄できる

包括遺贈を受けた人は相続人と同一の権利義務を有するので、遺贈の放棄についても相続人と同じ手続きが必要になります。

相続人が相続放棄をするには、相続を知った日から3ヶ月以内に手続きをします。ですので、包括受遺者が遺贈を放棄する場合も、遺贈を知った日から3ヶ月以内に手続きをします。

2-1.相続放棄と基本は同じ

包括遺贈放棄の申立ては、相続放棄の申立てと基本は同じです。

①管轄家庭裁判所

申立先は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
*住民票上の最後の住所です。

②申立に必要な書類等

包括遺贈の申立てに必要な書類等は以下になります。

  • 包括遺贈放棄申述の申立書
  • 遺言者の戸籍謄本(除籍謄本)
  • 遺言者の住民票除票
  • 遺言書の写し
  • 包括受遺者の住民票

包括受遺者であることを証明するために、遺言書の写しを提出します。

③申立に必要な費用

申立に必要な費用は以下です。

  • 収入印紙(800円)
  • 予納郵券

予納郵券は家庭裁判所によって違うので、申立てをする前に確認しておいてください。

2-2.包括遺贈を放棄するなら行動に注意

包括遺贈を承認したとみなされると、包括遺贈を放棄することはできません。

以下の2つには気を付けてください。

  • 包括遺贈を知ってから3ヶ月経過
  • 遺贈された財産を消費

①包括遺贈を知ってから3ヶ月経過

包括遺贈を知った日から3ヶ月経過すると、包括遺贈を承認したとみなされます。放棄する場合は3ヶ月以内に手続きをしてください。

②遺贈された財産を消費

遺贈された財産を消費した場合も、承認したとみなされます。

なぜなら、遺贈された財産を消費する行為は、受遺者でなければ出来ないからです。

 

3.包括遺贈放棄には注意点もある

包括遺贈放棄にも注意点があります。

  • 相続人としての権利義務
  • 一部放棄はできない
  • 撤回はできない

3-1.相続人としての権利義務は残る

包括受遺者が相続人だった場合、包括遺贈を放棄しても相続人であることに変わりはないです。

借金等が原因で包括遺贈を放棄する場合は、合わせて相続放棄も必要になります。

相続放棄は相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。

3-2.一部だけ放棄することはできない

包括遺贈の一部だけを放棄することはできません。

包括遺贈を放棄すると、遺言者の財産および負債等をすべて放棄します。当然ですが、借金だけ放棄することはできません。

亡くなった人の財産を調べてから、包括遺贈を放棄するか決めた方がいいです。

特定遺贈については、特定の財産だけ放棄することも可能です。

3-3.事情が変わっても撤回はできない

包括遺贈放棄が認められた後に、事情が変わっても撤回することはできません。

例えば、包括遺贈放棄をした後に預貯金等が見つかっても、放棄を撤回することは認められません。

ただし、相続人に騙されて包括遺贈を放棄した場合には、放棄を取消すことも可能です。

4.さいごに

包括遺贈を受けた人は、遺言者の借金等も承継します。借金等を承継するつもりがないのなら、包括遺贈放棄をする必要があります。

包括遺贈があったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述書を提出することで放棄ができます。

ただし、提出する前に3ヶ月が経過すると、包括遺贈を放棄することはできません。

遺贈が包括遺贈だった場合は、放棄するにも手続きが必要だということを知っておいてください。

包括遺贈を放棄するには、家庭裁判所の手続きが必要となります。

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