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遺族年金は孫でも受給できるのか?基礎年金と厚生年金で結論が違う

遺族年金と孫
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亡くなった人の孫は、遺族から除外されているので、遺族基礎年金を受給できません。

それに対して、遺族厚生年金については、条件を満たせば受給できます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金では、遺族の範囲が違うので結論も違います。

今回の記事では、遺族年金と孫について説明しているので、祖父母が亡くなっているなら参考にしてください。

1.孫は遺族基礎年金の遺族に含まれない

遺族年金は受給要件を満たした遺族に支給されます。

ただし、亡くなった人の孫は、遺族基礎年金の遺族に含まれません。

以下は、国民年金法の条文です。

(遺族の範囲)
第三十七条の二 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。(後略)

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法37条の2)

遺族基礎年金の受給権者

遺族基礎年金を受給できる遺族とは、受給要件を満たした「配偶者」または「子」です。

ですので、孫は遺族基礎年金の受給権者になりません。

1-1.孫が代襲相続人でも遺族には含まれない

孫が代襲相続人でも遺族基礎年金は受給できない

亡くなった人よりも子(孫の親)が先に亡くなっていると、孫は代襲相続人です。孫は代襲相続人として、祖父(祖母)の財産を相続できます。

ですが、代襲相続人であっても、孫は遺族基礎年金の遺族に含まれません。

なぜなら、代襲相続が発生していても、孫であることに変わりはないからです。

どうしても孫を遺族基礎年金の受給者にしたいのであれば、孫と養子縁組を結んでおく必要があります。

1-2.孫が養子なら子として遺族に含まれる

孫が亡くなった祖父(祖母)の養子なら、子として遺族基礎年金を受給できます。

法律上は養子と実子に違いはないので、養子(孫)が受給要件を満たしていれば、遺族基礎年金を受け取れます。

被保険者である祖父(祖母)が孫を養育しているなら、養子縁組しておくのも方法の一つです。

 

2.遺族厚生年金の遺族に孫は含まれる

遺族基礎年金と遺族厚生年金では遺族の範囲が違う

遺族基礎年金と遺族厚生年金では遺族の範囲が違うので、遺族厚生年金では孫も遺族に含まれます。

以下は、厚生年金保険法の条文です。

(遺族)
第五十九条 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。(後略)

出典:e-Govウェブサイト(厚生年金保険法59条)

ただし、孫が遺族厚生年金を受給するには、「孫の受給要件」と「優先順位の高い遺族」の2つをクリアする必要があります。

孫が遺族厚生年金を受給する条件

2-1.孫が遺族厚生年金を受給する要件は3つ

孫が遺族厚生年金を受給するには、被保険者の要件だけでなく、孫自身の要件も満たす必要があります。

以下は、厚生年金保険法の条文です。

第五十九条 (前略)
二 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか、又は二十歳未満で障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

出典:e-Govウェブサイト(厚生年金保険法59条1項2号)
  • 生計維持
  • 孫の年齢
  • 孫が独身

被保険者との生計維持要件だけでなく、年齢や婚姻の有無も受給要件です。

そして、孫自身の要件を満たすだけでなく、優先順位の高い遺族が存在しないことも条件となります。

2-2.孫よりも配偶者・子・父母の優先順位が高い

孫が受給要件を満たしていても、優先順位の高い遺族が存在すると、孫は遺族厚生年金を受給できません。

以下は、厚生年金保険法の条文です。

第五十九条 (前略)
2 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。

出典:e-Govウェブサイト(厚生年金保険法59条2項)

被保険者の配偶者や子または父母が遺族厚生年金の受給権を取得すると、孫は遺族厚生年金の遺族となりません。

孫が遺族厚生年金を受給できるかは、優先順位の高い遺族も関係します。

 

3.死亡一時金は孫も受給できるが順位は低い

死亡一時金の受給順位は孫が4位

死亡一時金を受給できる遺族には、亡くなった人の孫も含まれています。

ただし、死亡一時金には受給順位が定められているので、孫が受給できるとは限らないです。

以下は、国民年金法の条文です。

第五十二条の三 死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする。(中略)
2 死亡一時金(前項ただし書に規定するものを除く。次項において同じ。)を受けるべき者の順位は、前項に規定する順序による。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法52条の3)

死亡一時金の受給順位は、以下のとおりです。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

孫が祖父母と生計を同一にしていても、優先順位の高い遺族がいれば受給できません。

【例題1】
祖父母と孫が生計を同一にしている場合。

祖父が亡くなっても配偶者(祖母)がいるので、孫は死亡一時金を受給できません。

【例題2】
祖父と孫が生計同一で、子は生計を別にしている場合。

祖父と子は生計が同一ではないので、孫が死亡一時金を受給します。

孫が死亡一時金を受給するには、「生計同一」と「受給順位」を満たす必要があります。

 

4.まとめ

今回の記事では「遺族年金と孫」について説明しました。

孫は遺族基礎年金の遺族に該当しません。

一方、遺族厚生年金と死亡一時金に関しては、孫が遺族に該当するケースもあります。

 
遺族給付 孫の受給可否
遺族基礎年金 ×
遺族厚生年金
死亡一時金

遺族厚生年金と死亡一時金についても、優先順位の高い遺族が存在すると、孫は受給できません。

孫が遺族年金等を受給するケースは少ないですが、亡くなった祖父(祖母)と孫が2人暮らしだった場合等は、該当する可能性があるので忘れずに確認してください。

 

遺族年金と孫に関するQ&A

Q.優先順位の高い遺族が亡くなると孫が受給できますか?
A.遺族厚生年金の受給権者が亡くなっても受給権は移転しません。
Q.遺族厚生年金を受給中に孫が婚姻した場合どうなりますか?
A.孫が婚姻すると受給権は消滅します。