包括遺贈は債務も承継するので借金の額には注意

包括遺贈は債務も承継することは、ご存知でしょうか。

包括遺贈は遺言者の財産を割合で受け取るので、債務も受け継ぐことになります。財産には預貯金等だけではなく、借金等の負債も含まれるからです。

包括受遺者は負債も受け継いでいることを、知っておいてください。

1.割合で受けとるのが包括遺贈

遺言書による遺贈には2種類あります。

  • 特定遺贈
  • 包括遺贈

特定遺贈は財産を指定して遺贈する方法です。

それに対して、包括遺贈は割合を指定して遺贈する方法です。

例えば、「全財産を遺贈する」「財産の全てを遺贈する」等の全部包括遺贈や、「財産の3分の1を遺贈する」「全財産の半分を遺贈する」等の一部包括遺贈があります。

遺贈を受け取る人は特定の財産を受け取るのではなく、遺言者の遺産を割合で受け取ることになります。

 

2.包括受遺者は相続人と同じ扱い

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します。
*包括受遺者とは包括遺贈の受取人です。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

出典:e-Govウェブサイト(民法990条)

相続人と同一の権利義務を有するので、遺言者の負債等も引き継ぐことになります。

2-1.相続財産には借金等も含む

相続財産には預貯金等のプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産も含まれます。

(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法896条)

主なマイナス財産には以下があります。

  • 金銭債務
  • 損害賠償債務
  • 保証債務

①金銭債務

金銭債務には借金だけではなく、未払金等も含まれます。

家賃の滞納分や病院の入院費等が未払金として、相続人等に引き継がれやすいです。

②損害賠償債務

遺言者が交通事故により亡くなっていると、損害賠償債務が発生している可能性があります。

例えば、電柱等の公共物に衝突していれば、修理費用等が債務となります。

③保証債務

遺言者の保証債務も引き継ぐことになります。

遺言者が連帯保証人になっていれば、相続人等が連帯保証人として債務を引き継ぎます。

2-2.遺贈の割合に応じて負債を負担

包括受遺者が負担する負債額は、包括遺贈の割合に応じた額です。

「遺産を4分の3遺贈する」であれば、遺言者の負債も4分の3承継します。「全財産を遺贈する」であれば、負債も全部承継します。

(例)遺言者の財産が1,000万円の預貯金と500万円の負債。

全財産の2分の1を遺贈すると、包括受遺者は500万円の預貯金と250万円の負債を承継します。

 

3.相続人が包括受遺者なら注意

相続人に対しても包括遺贈をすることができます。ただし、財産の承継割合を計算する際には注意が必要です。

包括受遺者として承継する分と、相続人として承継する分があるからです。包括遺贈を受けても相続人であることに変わりはありません。

相続人が包括受遺者だった場合、相続人としても債務を承継することになります。

(例)相続人は子ども2人(長男・次男)で、包括受遺者が次男の場合。

次男に2分の1を遺贈すると、残りの2分の1は2人で相続します。

  • 長男:4分の1
  • 次男:包括受遺者として2分の1、相続人として4分の1

相続人と包括受遺者

次男は受け取れる財産は増えるのですが、負担する負債額も増えることになります。

 

4.放棄するには手続きが必要

遺言者の財産を調べると、負債等の方が多いことも当然あります。

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するので、遺贈を放棄をするにも手続きが必要になります。

包括遺贈を放棄する場合は、家庭裁判所に包括遺贈放棄の申立てをします。

ただし、包括遺贈を知った日から3ヶ月以内となるので、後回しにすると放棄することが出来なくなるのでご注意ください。

5.さいごに

包括遺贈を受けると、遺言者の負債も引き継ぐことになります。

なぜなら、包括遺贈者は遺言者の財産を割合で受け取るからです。財産にはプラスの財産だけではなく、マイナスの財産(借金等)も含みます。

預貯金だけ遺贈したいのであれば、特定遺贈を選ばれる方が良いと思います。

包括遺贈を検討している人や包括受遺者になった人は、財産には負債等も含まれていることを知っておいてください。

包括遺贈を放棄するには、家庭裁判所の手続きが必要となります。

包括遺贈放棄を検討されている場合は、下記のボタンより料金について確認できます。

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