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秘密証書遺言の作成費用を3つに分類【検認費用も必要】

秘密証書遺言の費用
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秘密証書遺言の作成費用は、公正証書遺言に比べると圧倒的に安くなります。

必ず発生する費用は公証人手数料(1万1,000円)だけです。証人手配料や専門家報酬は節約すれば0円にできます。

ただし、作成費用とは別に、相続開始後に検認費用は発生するので注意してください。

今回の記事では、秘密証書遺言の費用について説明しています。遺言書を検討する際の参考にしてください。

1.公証人費用は秘密証書遺言の内容を問わず定額

秘密証書遺言の費用1つ目は、公証人に支払う費用です。

秘密証書遺言の公証人手数料は、遺言書の内容に関係なく1万1,000円になります。

以下は、公証人手数料令です。

(秘密証書遺言)
第二十八条 秘密証書による遺言の方式に関する記載についての手数料の額は、一万千円とする。

出典:e-Govウェブサイト(公証人手数料令28条)

なぜ、秘密証書遺言の公証人手数料が定額なのかというと、遺言書の内容に関わらず公証人の仕事は一緒だからです。

公証人は遺言書の存在を確認するのが仕事になります。遺言書に記載されている財産額は関係ありません。

秘密証書遺言の公証人手数料は1万1,000円

極端な話、遺言書に記載されている財産が1万円でも1億円でも、公証人の仕事は一緒です。

ちなみに、以下も公証人手数料には影響しません。

  • 相続人の人数
  • 不動産の個数
  • 預貯金口座の数

秘密証書遺言の公証人手数料は、遺言書の内容に関わらず1万1,000円です。

 

2.秘密証書遺言の証人費用(2人分)

秘密証書遺言の費用2つ目は、証人(2人)を手配する費用です。

公正証書遺言だけでなく秘密証書遺言を作成する場合でも、証人が2人必要になります。

以下は、民法の条文です。

(秘密証書遺言)
第九百七十条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
(省略)
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

出典:e-Govウェブサイト(民法970条1項3号・4号)

証人を公証役場や専門家に手配してもらうと、証人手配料が発生します。相場は1人当たり1万円です。

証人は自分で用意しても大丈夫ですが、法律で証人になれない人も決まっています。

  • 未成年者
  • 推定相続人
  • 受遺者
  • 推定相続人・受遺者の配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

遺言者の関係者は証人になれないと覚えておきましょう。

証人については、下記の記事も参考にしてください。

 

3.秘密証書遺言の専門家費用は事務所により違う

秘密証書遺言の費用3つ目は、専門家に相談(依頼)する費用です。

秘密証書遺言の内容を自分で考えるのであれば、専門家費用は発生しません。内容を自分で考えれば完全に秘密となります。

ですが、秘密証書遺言の内容を公証人が確認しない以上、仮にミスがあっても気付くことができません。よほどの事情があれば別ですが、専門家に相談することをお勧めします。

専門家費用は事務所ごとに違います。遺言書の内容によっても違うので、依頼する前に確認しておいてください。

 

4.相続開始後に秘密証書遺言の検認費用が発生

秘密証書遺言の費用は作成費用と検認費用

秘密証書遺言の作成費用とは違うのですが、相続開始後の検認費用についても説明しておきます。

秘密証書遺言を相続手続きで使用するには、家庭裁判所での検認を済ませておく必要があります。

以下は、民法の条文です。

(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法1004条1項)

遺言書の検認をするにも費用がかかるので、秘密証書遺言を作成するなら注意してください。

ちなみに、検認の申立人(相続人)は検認期日に出席する必要があります。時間が取れず出席できない場合は、弁護士に代理を依頼する費用も発生します。

 

5.作成費用で秘密証書遺言を選ぶのは危険

秘密証書遺言の費用は安いがデメリットも多い

秘密証書遺言の作成費用は公正証書遺言に比べると安いです。

ただし、秘密証書遺言を作成費用で選ぶのは危険なので、デメリットも考慮したうえで判断してください。

  • 内容に問題があっても気付きにくい
  • 作成後に遺言書を紛失する恐れあり
  • 相続発生後に検認手続きが必要

秘密証書遺言は内容を秘密にできることがメリットです。一方、誰にも相談していなければ、遺言書の内容に問題があっても気付きにくいです。最悪の場合、遺言書が無駄になる可能性もあります。

作成した秘密証書遺言は公証役場や法務局に保管できません。そのため、秘密証書遺言の保管方法を考える必要があります。万が一、遺言書を紛失してしまうと、遺言書の内容は誰にも分からないままです。

秘密証書遺言にすると相続発生後に検認手続きが必要です。一方、公正証書遺言や自筆証書遺言(法務局に保管)なら検認は不要です。

秘密証書遺言の作成費用は安いですが、デメリットも多いので注意してください。

 

6.さいごに

今回の記事では「秘密証書遺言の費用」について説明しました。

秘密証書遺言の費用は3つに分かれます。

  • 公証人手数料
  • 証人手配料
  • 専門家報酬

公証人手数料は1万1,000円で定額です。

証人は自分で手配するなら無料ですが、法律で除外されている人もいるので気を付けてください。

専門家に相談するなら、事務所により専門家報酬は違います。

秘密証書遺言の作成費用は安いですが、安さだけで選ぶと危険なので十分に注意してください。