【限定承認の相続財産管理人】相続人が複数人だと選任する

限定承認の際にも相続財産管理人を選任するのはご存知でしょうか。

ただし、常に選任するのではなく、相続人が複数人だと選任します。相続人が単独の場合は選任できません。

間違えやすいのですが、相続人がいない場合の相続財産管理人と、限定承認の相続財産管理人は別です。限定承認の相続財産管理人は、清算手続きをするために選任します。

今回の記事では、限定承認の相続財産管理人について説明しているので、限定承認を検討する際の参考にしてください。

1.相続人がいない場合の相続財産管理人とは違う

相続財産管理人と聞くと、相続人がいない場合に選任される相続財産管理人を思い浮かべる人が多いです。

紛らわしいのですが、「相続人がいない場合の相続財産管理人」と「限定承認の相続財産管理人」は違います。

  • 相続人がいない場合の相続財産管理人:民法952条
  • 限定承認の相続財産管理人:民法936条

簡単にいうなら、民法952条の相続財産管理人は、相続人がいないので相続財産を管理する人。それに対して、民法936条の相続財産管理人は、清算手続きをするために相続人を代表する人になります。

限定承認の相続財産管理人は、相続人がいない場合の相続財産管理人とは違うという点だけ覚えておけば大丈夫です。

相続財産管理人の違い

 

2.相続人が複数人で限定承認なら相続財産管理人を選任

限定承認の申述が認められた後は、相続財産の清算手続きに移ります。

  • 官報に掲載依頼
  • 知れている債権者への催告
  • 相続財産の換価手続き
  • 債権者に支払い

上記の手続きを誰がするのかは、相続人の人数により違います。

  • 相続人が1人:限定承認者
  • 相続人が複数人:相続財産管理人

相続人が複数人存在する場合は、相続人の中から相続財産管理人(代表者)を選任します。

以下は、民法の条文です。

(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法936条1項)

相続人が複数人いる場合、全員で清算手続きをするのではなく、相続財産管理人(代表者)が清算手続きを行います。

 

3.限定承認申述書に相続財産管理人の候補者を記載

一般的には、限定承認申述書を作成する際に、相続財産管理人の候補者(相続人から選ぶ)も記載します。

相続財産管理人の候補者は、申し立ての理由欄に記載しておけば大丈夫です。

申立ての理由

(省略)

なお、相続財産管理人には、申述人の○○を選任されるよう希望します。

基本的には候補者として記載された人が、限定承認の相続財産管理人に選任されます。

ちなみに、限定承認申述書に候補者を記載していない場合、家庭裁判所から誰を相続財産管理人にするのか問い合わせがあるはずです。

 

4.相続財産管理人が清算手続きの権限を有する

相続人が複数人存在する場合、相続財産管理人が清算手続きに必要な一切の権限を有しています。相続財産管理人以外の相続人は、清算手続きについて権限がありません。

以下は、民法の条文です。

(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条 (省略)
2 前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。

出典:e-Govウェブサイト(民法936条2項)

相続財産管理人が一切の権限を有しているので、清算手続きで債権者に損害を与えた場合、責任は相続財産管理人が負うことになります。

限定承認の相続財産管理人には責任が発生するので、誰を相続財産管理人にするかは注意して決めてください。

 

5.相続財産管理人の報酬は相続財産から支払えない

相続人が複数人の場合、清算手続きは相続財産管理人(代表者)が行います。

ただし、清算手続きは複雑なので、具体的な行為は弁護士等に任せる人がほとんどです。
※相続財産管理人から弁護士等に委任。

では、弁護士等に委任した場合の報酬は、相続財産から支払えるのでしょうか。

結論から言えば、弁護士等の報酬を相続財産から支払うことはできません。

相続財産管理人に対して相続財産から報酬を支払える決まりがないので、相続財産管理人から委任を受けた弁護士等にも支払えません。

したがって、委任した弁護士等に対する報酬は、相続財産管理人個人の財産から支払うことになります。

 

6.限定承認者と相続財産管理人の比較

限定承認者と相続財産管理人では違う部分があるので、以下の表で確認しておいてください。

限定承認
限定承認者相続財産管理人
相続人の人数1人複数人
官報公告5日以内10日以内
清算手続き限定承認者相続財産管理人
他の相続人は権限が無い

相続人が1人であれば、自動的に限定承認者となります。一方、相続人が複数人であれば、相続人の中から相続財産管理人を選任します。

限定承認の官報公告は、限定承認者は5日以内、相続財産管理人は10日以内にしてください。

相続人が1人なら限定承認者が清算手続きを行います。一方、相続人が複数人なら相続財産管理人が清算手続きを行います。

 

7.さいごに

今回の記事では「限定承認の相続財産管理人」について説明しました。

限定承認の相続財産管理人は、相続人がいない場合に選任する相続財産管理人とは違います。

相続人が複数人の場合に、相続財産の清算手続きを相続人を代表して行う人です。相続財産管理人は相続人の中から選任します。

清算手続きをする権限は、相続財産管理人が有していません。他の相続人は権限がないので注意してください。

相続財産管理人が具体的な手続きを弁護士等に依頼するのは可能ですが、弁護士等の報酬を相続財産から支払うことはできません。

相続人の人数によって限定承認の手続きに違いがあるので、限定承認を検討する際は気を付けてください。

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