同性パートナーシップ合意契約書|呼び方は色々あるけど目的は同じ

同性パートナーシップ合意契約書
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同性カップル間で契約を交わすことにより、共に暮らしていくうえでの権利や義務を発生させることができます。

書面の名称は色々ありますが基本的に目的は同じです。2人が婚姻関係に相当することを誓います。

契約書の提出を求められることもありますし、暮らしていく中で作成する同性カップルもいます。

一度は耳にすることがあるので、読むことでお役に立てると幸いです。

1.合意契約書の名称による違いは特にない

目的は基本的に同じなので、名称による違いは特にないです。人によって呼び名が違います。

渋谷区の同性パートナーシップ証明書を発行するために必要な合意契約公正証書と、住宅ローンを組む際に銀行によっては提出を求められる合意契約に関わる公正証書は同じです。

主な目的は、2人が婚姻関係に相当することを誓い、共同生活のルールを決めること。

必須事項として以下の記載が要ります。

  • 2人が愛情と信頼に基づく真摯な関係であること。
  • 2人が同居し、共同生活において互いに責任を持って協力し、およびその共同生活に 必要な費用を分担する義務を負うこと。

同性パートナーシップ契約書と準婚姻関係契約書も目的は同じです。

2人が共に人生を歩んでいく上で必要なことを、お互いが契約することで婚姻に準じた関係を作ることが目的です。同居義務や貞操義務等を定めることが多いです。

 

2.合意契約書の記載事項は2人で決める

同性パートナーシップ合意契約書の記載事故は、2人で自由に決めることができます。

ただし、公序良俗に反すると無効になります。

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法90条)

そもそも、公序良俗に反する内容だと、公証人が公正証書の作成を認めないです。

2-1.医療行為に関する権限をパートナーに付与する

同性パートナーが病気や怪我をした際に、本人に代わって医師から診断結果や医療方針を聞く権限の付与します。

あるいは、「入院時の付き添い」「面会謝絶時の面会」「手術同意書への署名」等を、本人の親族より優先する権限を付与します。

医療行為に関する意思表示については、別の書面で作成する場合もあります。

ただし、手術の同意については明確なルールが無いので、最終的な判断をするのは医療機関となります。

医療機関については『同性婚と医療機関|相手を納得させるには準備が必要』もご覧ください。

2-2.契約締結前に取得している財産の帰属先

同性パートナーシップ合意契約締結前に取得している財産が、誰の財産なのか決めておきます。

なぜかというと、合意契約を結ぶ前から一緒に暮らしている場合、財産の帰属先が不明瞭になっていることが多いからです。

ちなみに、同性パートナーシップ合意契約締結後の財産については、共同財産にすることが多いです。

2-3.同性パートナーシップ解消時の財産分与

同性パートナーシップ関係を解消する際の、財産分与について決めておくことができます。

特に住宅ローンを組んでいる場合は、取り決めがないと負担割合等で困ります。

例えば、単独名義で契約していて、同性パートナーが資金援助していた場合は金額で揉めることもあります。

不動産や自動車等を購入している場合は、財産分与について考えておいてください。

住宅ローンについては『同性婚と住宅ローン|高い買い物をする前にパートナーと勉強』をご覧ください。

 

3.同性パートナーシップ合意契約を公正証書で作成

同性パートナーシップ合意契約自体は口頭(口約束)でも成立しますが、トラブルの元になるので書面で作成してください。

書面は私文書で作成しても契約の効力は発生しますが、証明力を高めるために公正証書で作成することが多いです。提出先によっては公正証書での作成を求められます。

ただし、同性パートナーシップ合意契約書を公正証書で作成するなら、以下の2つを知っておいてください。

  • 公正証書の作成料が発生する
  • 公証人の対応が悪いこともある

それぞれ説明していきます。

3-1.合意契約書を公正証書にするなら作成料が発生

同性パートナーシップ合意契約書を公正証書にするなら、作成手数料が発生します。

作成手数料は合意契約書の内容によっても違うのですが、基本は1万1,000円です。

同性カップルは公正証書を作成する機会が多いので、以下の記事も参考にしてください。

3-2.同性カップルへの対応が悪い公証人もいる

同性パートナーシップ合意契約書を公正証書にするなら、公証人に依頼する必要があります。

ただし、公証人の中には、同性カップルへの対応が悪い人もいます。

かつては、同性パートナーシップ合意契約書の作成依頼を断る公証人もいたそうです。
※今は少なくなっています。

公証人の対応が悪いと感じたら、迷わず別の公証役場に依頼先を変えましょう。

 

4.同性パートナーシップ合意契約書の注意点

同性パートナーシップ合意契約書には注意点もあるので、作成前に確認しておいてください。

4-1.合意契約は勝手に破棄できない

合意契約なので一方的に破棄することはできません。勝手に破棄できるなら契約になりません。

同性パートナーシップ合意契約を取消すには、原則として2人の同意が必要になります。

ただし、契約を解除する条件を2人で決めておくこともできます。

例えば、同性パートナーが浮気した場合は、相手方は契約を解除できる等です。

別れ際に揉めるのは、同性愛も異性愛も変わりません。

4-2.合意契約を結んでも第3者に強制はできない

同性パートナーシップ合意契約書は、第3者に2人の関係を説明するのに使えます。

ただし、強制力があるわけではないので、相手によっては一切考慮しない可能性が有ります。

あくまでも、2人の間で交わしている合意契約です。

4-3.合意契約で全部決める必要はない

契約事項は自由に決めれますが、細かく決めすぎて生活しにくくなると意味がないです。

あくまでも、2人が共に暮らしていくための取り決めです。2人にとっての妥協点を見つけるのも重要です。

全部決めようとして喧嘩になるカップルもいるので、相手が嫌がる項目は外すことも必要になります。

 

5.まとめ

同性パートナーシップ合意契約書とは、婚姻関係を結ぶと当然に発生する権利や義務を、契約により同性カップル間に発生させます。

書面の名称は色々ありますが、目的は同じなので特に気にする必要はないです。

取り決め事項では、医療行為に関することや、財産の帰属先に関すること等があります。同性カップルにとっては重要なことなので、決める際には必ず確認をしてください。

契約は公正証書で作成するのがベストですが費用も発生します。注意点もありますので、作成する前にアドバイス等を貰ってください。