養子縁組を解消すると親子関係も解消されます。
ですが、養子縁組解消後であっても養親と養子は結婚できません。民法736条で結婚が禁止されているからです。
養親と養子以外でも結婚が禁止されている組み合わせはあります。
ただし、実子と養子の結婚は禁止されていないので、間違えないように注意してください。
今回の記事では、養子縁組の解消による結婚について説明しているので、悩みを解決する参考にしてください。
目次
1.養親と養子は直系血族なので結婚できない
養子縁組により養親と養子は親子となります。
直系血族には法律上の親子関係も含まれるので、養親と養子の関係も直系血族です。
そして、直系血族間の結婚は禁止されています。
以下は、民法の条文です。
養親と養子が結婚できないのは、法律を知らなくても何となく知っているはずです。
では、養子縁組を解消した後なら結婚できるのかと、疑問を持たれる人もいます。
結論としては、養子縁組を解消しても養親と養子は結婚できません。
関連記事を読む『養子縁組を解消すると相続はどうなるのか?』
2.養子縁組解消後も結婚は禁止されている
養子縁組を解消すると、養親と養子の間の親子関係は解消されます。
親子関係が解消されるので結婚できると考えるかもしれませんが、法律により養子縁組解消後も結婚は禁止されています。
以下は、民法の条文です。
民法729条の規定とは、養子縁組離縁のことです。
つまり、養子縁組離縁により親族関係が終了しても、養親と養子は結婚できません。
2-1.養子縁組解消後に結婚できない組み合わせ
養子縁組解消後に結婚できないのは、養親と養子以外にもいます。
以下の①と②の組み合わせは、養子縁組を解消しても結婚できません。
①養親・養親の直系尊属
②養子・養子の配偶者・養子の直系卑属・養子の直系卑属の配偶者
【事例1】
養子縁組を解消した後に養子が離婚しても、養親と養子の配偶者は結婚できません。
【事例2】
養子縁組を解消しても、養親の親と養子は結婚できません。
意外と知られていない組み合わせもあるので、間違えないように注意してください。
2-2.同性カップルが養子縁組するなら注意
同性カップルが相続対策等のために、養子縁組を利用するのは昔からよく聞きます。
しかし、民法736条と同性婚の関係には注意が必要です。
将来、法改正により同性婚が認められたとしても、養子縁組をしていると民法736条があるので結婚できません。
同性カップルが養子縁組を利用するメリットは多いですが、将来的にデメリットが発生する可能性はあります。
関連記事を読む『同性カップルと養子縁組|相続対策にはリスクもある』
3.民法736条を無視して婚姻届けは提出できるのか?
養子縁組を解消した後に、民法736条を無視して婚姻届けは提出できるのか?
その答えは、以下の条文に記載されています。
市役所等でチェックがあるので、民法736条に違反している婚姻届けは受理されません。養子縁組や家族関係は戸籍に記載されているので、チェックすれば分かるようになっています。
ですので、黙って婚姻届けを提出しても、婚姻届けは受理されません。
4.実子と養子は養子縁組を解消しなくても結婚できる
養親と養子は養子縁組を解消しても結婚できません。
それに対して、実子と養子は養子縁組を解消しなくても結婚できます。
意外と知らない人も多いのですが、実子と養子の結婚は法律で禁止されていません。実子と養子は法律上の兄弟姉妹なのですが、血縁関係も無いですし倫理的な問題もありません。
ちなみに、婿養子を考えると分かりやすいですが、実子と養子は結婚しています。実子の結婚相手だから養子にできるのではなく、そもそも実子と養子の結婚が禁止されていないからです。
ですので、実子と養子が結婚するために、わざわざ養子縁組を解消する必要はありません。
5.さいごに
養子縁組解消しても、養親と養子は結婚できません。
なぜなら、民法736条で養子縁組解消後であっても、結婚が禁止されているからです。
市役所等の窓口で婚姻届けを提出しても、法律違反で受理されません。
一方、実子と養子は養子縁組を解消しなくても、結婚することができます。実子と養子の結婚は法律で禁止されていません。
養子縁組により結婚できなくなる組み合わせもあれば、結婚できる組み合わせもあるので注意してください。