特別養子縁組の成立には、法律上の条件があるのはご存知でしょうか。
条件を満たさなければ、特別養子縁組が成立することはありません。
令和2年4月1日の法改正により、条件の1つである養子の年齢が変更されています。特別養子縁組を検討されている方にとっては重要です。
今回の記事では、特別養子縁組の成立条件について説明しているので、特別養子縁組を検討されているなら参考にしてください。
目次
1.家庭裁判所の審判により特別養子縁組が成立する
特別養子縁組の成立には、家庭裁判所の審判手続きが必要となります。
特別養子縁組は普通養子縁組とは違い、市役所に養子縁組届を提出しても成立しません。
法律で定められた条件を満たしたうえで、養親となる人が家庭裁判所に特別養子縁組の申立てをします。
法律上の条件は以下になります。
- 配偶者と共に養子縁組
- 養親の年齢
- 養子の年齢
- 実親の同意
- 6ヶ月以上の監護期間
それぞれの条件を説明していきます。
2.養親となる人の条件は2つある
特別養子縁組により養親となる人の条件は2つあります。
- 配偶者がいる
- 25歳以上である
2-1.配偶者がいる人に限られる
特別養子縁組の養親になるには、配偶者がいることも条件となります。
また、配偶者と共に養親となることも条件です。
法律上の配偶者が必要になるので、事実婚(内縁関係)や同性カップルは特別養子縁組を利用することができません。
2-2.養親の年齢は25歳以上
養親の年齢は25歳以上でなければなりません。
ただし、夫婦の一方が25歳以上なら、もう一方は20歳以上で大丈夫です。
法律上は年齢の上限は設定されていないのですが、自治体や団体によっては子どもとの年齢差を40歳ぐらいまでに制限しています。
3.養子の年齢は引き上げられている
法改正により養子の上限年齢が引き上げられています。
3-1.養子の年齢は15歳未満まで可能
令和2年3月31日以前は養子になる子供の年齢は原則6歳未満でした。法改正により、令和2年4月1日以降は原則15歳未満まで可能となります。
家庭裁判所に審判の申立てをするときに、子どもが15歳未満であれば問題ありません。
ただし、特別養子縁組が成立するまでに、養子となる者の年齢が18歳に達した場合は不成立となります。
3-2.養子の年齢には例外規定もある
養子となる者の年齢には、例外規定が設けられています。
例外は下記の2つを満たす場合です。
- 子どもが15歳に達する前から養親となる者に監護されている
- やむを得ない事由により15歳までに申立てができなかった
上記に該当する場合は、子どもが18歳未満であれば審判を請求することができます。
注意やむを得ない事由かどうかを判断するのは、家庭裁判所となります。
3-3.養子が15歳以上なら同意が必要
養子となる子どもが15歳以上の場合は、養子となる子どもの同意が必要となります。
15歳以上であれば普通養子縁組を自分ですることができるので、特別養子縁組の成立にも同意を必要としています。
もちろん、15歳未満であっても子どもの意思を考慮しなければいけません。
4.特別養子縁組の成立には実親の同意が条件
養子となる子供の実親(父母)の同意が必要となります。
ただし、以下の場合は不要となることがあります。
- 父母が意思表示できない場合
- 父母による虐待、悪意の遺棄がある場合
- その他養子となる子供の利益を著しく害する事由がある場合
裁判所の期日等においてした父母の同意は、2週間経過後は撤回することができません。
5.6ヶ月以上の監護期間が特別養子縁組の成立要件
特別養子縁組を成立させるためには、養親となる人が養子となる子供を6ヶ月以上監護していることが要件となります。
なぜ6ヶ月以上の監護が必要かというと、養親と養子の相性や本当に育てることが出来るのかを判断するためです。
監護期間は特別養子縁組の請求時から起算されますが、請求前からの監護状況が明らかであれば遡って計算されます。
一度成立した特別養子縁組を解消するのは非常に難しいので、監護期間は養親にとって重要な期間といえます。
関連記事を読む『特別養子縁組の解消は非常に難しい【原則無理】』
6.さいごに
特別養子縁組が成立するには、条件を満たしたうえで家庭裁判所が適切であると判断する必要があります。
法改正により養子となる子どもの年齢が引き上げられている点は重要です。
なぜなら、過去に特別養子縁組を検討した際は年齢要件を満たしていなくても、今の法律なら満たしている可能性があるからです。
まずは、条件に該当しているかをチェックしてみてください。
関連記事を読む『特別養子縁組により相続関係にも変更がある【徹底解説】』