ペットも財産として、遺言書で第3者に遺贈することができます。
あなたの相続人がペットの世話をできない場合は、世話をしてくれる人に遺贈するのも方法の一つです。
ただし、遺言書でペットを遺贈するなら、注意点もあるので気を付けましょう。
今回の記事では、ペットの遺贈について説明しているので、ペットの相続を検討しているなら参考にしてください。
目次
1.ペットも財産なので遺言書で遺贈できる
ペットは財産という扱いなので、遺言書で遺贈の対象とすることが可能です。
遺贈の相手は第3者(相続人以外)でも問題ないので、ペットを託す人がいるなら遺言書を作成しておきましょう。
1-1.ペットだけを遺言書で遺贈
ペットだけを第3者に遺贈するなら、遺言書にペットが特定できるように記載すれば大丈夫です。
以下は、遺言書の記載例です。
遺言書
遺言者は、A(生年月日、住所)に愛犬の〇〇(犬種チワワ・性別オス)を遺贈する。
ペットの記載方法に決まりはないので、名前・種類・性別等を記載しておけば特定可能だと思います。
ちなみに、ペットを複数飼っているなら、別々の人に遺贈することも可能です。
遺言書
遺言者は、A(生年月日、住所)に愛犬の〇〇(犬種チワワ・性別オス)を遺贈する。
遺言者は、B(生年月日、住所)に愛猫の〇〇(猫種アメリカンショートヘアー・性別メス)を遺贈する。
犬なら飼えるが猫は無理という人もいますし、反対に猫なら飼えるが犬は無理という人もいるので、複数人の人にそれぞれ遺贈することもあります。
1-2.ペットと財産をセットで負担付遺贈
ペットと財産をセットで遺贈する理由は、ペットの世話を頼むことの対価だと思います。
つまり、ペットの世話をするという負担付の遺贈になります。
以下は、遺言書の記載例です。
遺言書
遺言者は、下記の財産をA(生年月日、住所)に遺贈する。
記
(預貯金)
〇〇銀行〇〇支店 普通預金
口座番号 〇〇〇〇〇〇〇
(犬)
犬種 フレンチブルドッグ
性別 オス
名前 〇〇
Aは、上記遺贈を受ける負担として、愛犬〇〇を大切に世話しなければならない。
負担の部分をどのように記載するかは、相談する専門家によって違います。
2.ペットの遺贈には注意点が3つある
ペットを遺贈する場合、主な注意点が3つあります。
遺言書を作成する際は、以下に気を付けてください。
- 遺言者よりも先にペットや受遺者が亡くなる
- 受遺者がペットの遺贈を放棄する
- 負担付遺贈をするなら財産額に注意
2-1.遺言者よりも先にペットや受遺者が亡くなる
当然ですが、遺言書を作成しても、遺言者よりも先にペットや受遺者が亡くなる可能性もあります。
ペットが先に亡くなった場合
ペットが先に亡くなった場合、遺贈が負担付だと問題が発生します。
なぜなら、ペットの遺贈は履行不能になりますが、財産(預貯金や現金)の遺贈をどうするのか曖昧だからです。
受遺者に財産を遺贈しないなら、遺言書に記載しておく必要があります。
遺言書
(省略)
ただし、遺言者よりも先に愛犬〇〇が亡くなった時は、上記の預貯金は遺贈しない。
ペットの受遺者が先に亡くなった場合
ペットの受遺者が先に亡くなると遺贈は無効です。
したがって、ペットの世話をしてくれる人がいなくなります。
受遺者が先に亡くなることを防ぐことはできないので、できる限り自分よりも若い人に遺贈するしかありません。
2-2.受遺者がペットの遺贈を放棄する可能性
遺贈の受遺者は自由に遺贈を放棄することができます。
遺言書は遺言者の一方的な意思表示なので、遺贈がペットであっても放棄することは自由です。遺贈が放棄されるとペットは相続人の財産となります。
遺言書でペットを遺贈するなら、受遺者とは念入りに話し合っておいてください。
関連記事を読む『遺贈は拒否できる|不要な財産は断っても大丈夫です』
2-3.負担付遺贈の財産額によっては問題発生
ペットとセットで遺贈する財産額によっては、複数の問題が発生します。
財産額が高すぎると相続人の遺留分を侵害する
遺言者に相続人が存在する場合、財産額が高すぎると遺留分を侵害する可能性があります。
相続人から受遺者に対して遺留分侵害額請求がされると、受遺者は金銭を支払う必要があります。
結果として、ペットの世話をする人が取得する金銭は減ることになります。
財産額が低すぎると負担と釣り合わない
遺言書で負担付遺贈にしても、財産額と負担が釣り合わなければ負担に制限がかかります。
例えば、遺言書に「ペットが病気になった際は最先端の治療を受けさせる」という負担を記載していても、財産額が低すぎれば負担と釣り合っていません。
ペットの受遺者は遺贈の財産額を超えない限度で、負担した義務の履行責任を負います。
3.さいごに
ペットも財産なので、遺言書で遺贈することができます。
ペットだけを遺贈するのではなく、財産とセットで遺贈することも可能です。
ただし、ペットを遺贈するなら注意点もあります。
- 遺言者よりも先にペットや受遺者が亡くなる
- 受遺者がペットの遺贈を放棄する可能性
- 負担付遺贈の財産額によっては問題発生
相続人や受遺者の事情も考慮したうえで、ペットの相続対策を考えていきましょう。