独身のいとこが亡くなると、相続がどうなるかはご存知でしょうか。
いとこ同士は相続人ではないので、他に相続人がいれば財産を取得します。
ただし、遺言書で受遺者になっていれば、いとこ同士でも財産は取得できます。あるいは、特別縁故者に該当するなら、財産分与により財産を取得することも可能です。
今回の記事では、独身のいとこが亡くなった際の相続について説明しているので、疑問を解消する手助けになれば幸いです。
目次
1.いとこ同士は相続人にならない
独身の従兄弟(従姉妹)が亡くなっても、あなたは相続人にはなりません。
相続人の範囲は法律で決められています。
- 常に相続人:配偶者
- 第1順位:子ども(養子も含む)
- 第2順位:親(直系尊属)
- 第3順位:兄弟姉妹
いとこは上記に該当しないので、法定相続人ではありません。
ちなみに、独身者の相続人は、兄弟姉妹(甥・姪)になることが多いです。
*親は亡くなっている可能性が高い。
関連記事を読む『法定相続人|誰がなるかは法律により定められている』
1-1.養子縁組を結んでいれば相続人
いとこの立場では相続人になれませんが、養子縁組を結んでおけば相続人になれます。
いとこ同士でも養子縁組は可能です。年長者が養親で、年少者が養子となります。養子も実子と同じく法定相続人として相続できます。
市区町村役場で養子縁組の届出を提出するだけなので、相続人がいなくて困っていれば検討してみてください。
1-2.相続人がいなければ国に帰属
いとこに相続人がいなければ、最終的に財産は国に帰属します。
以下は、相続人不存在で国に帰属した財産額です。
2015年 | 420億3,553万9,689円 |
2016年 | 439億4,756万6,624円 |
2017年 | 525億5,713万9,961円 |
2018年 | 627億912万344円 |
2019年 | 604億6,448万6,000円 *法人解散等を含む |
〈出典:裁判所「歳入予算概算見積額明細表(雑収)」より〉
毎年、数百億円が相続人不存在で国に帰属しています。
ただし、あなたが特別縁故者に該当するなら、財産を取得できる可能性があります。詳しくは【3.特別縁故者なら財産分与の可能性】で説明しています。
2.遺言書で受遺者になっている
いとこが遺言書で財産を遺贈していれば、財産は相続人ではなく受遺者が取得します。
遺言書は亡くなった人の意思表示なので、法定相続人よりも優先されます。
遺贈を受ける人に決まりはありません。当然ですが、いとこも受遺者になれます。亡くなった人が遺言書で、あなたを受遺者にしていれば財産を取得できます。
従兄弟(従姉妹)が遺言書を残しているかどうかは、しっかりと確認しておいてください。
3.特別縁故者なら財産分与の可能性
相続人に該当せず、かつ、遺言書も残されていなければ、基本的には財産を取得することはできません。
ただし、いとこ同士の関係が特別な縁故に該当するなら、特別縁故者として財産分与の可能性が残されています。
3-1.特別な縁故に該当する要件
特別縁故者と認められるには、以下のどれかに該当する必要があります。
- 亡くなった人と生計を同じにしていた人
- 亡くなった人の療養看護に努めた人
- 上記以外で亡くなった人と特別な縁故があった人
例えば、いとこ同士で一緒に暮らしていれば、生計を同じにしていた人に該当する可能性は高いです。あるいは、いとこの通院に付き添ったり、入退院の手続きを代わりにしていると、療養看護に努めた人に該当する可能性はあります。
3-2.申立をしなければ取得できない
あなたが特別縁故者に該当していても、申立てをしなければ財産を取得することはできません。
まずは、相続人が存在しないことを確定させるために、相続財産管理人の選任申立てをしてください。
関連記事を読む『いとこも特別縁故者として財産を取得できる可能性がある』
4.さいごに
独身のいとこが亡くなっても、いとこ同士は相続人になりません。
誰も相続人がいなければ、いとこの財産は最終的に国が取得することになります。
ただし、遺言書で受遺者になっていれば、財産を取得することができます。遺言書が残されていないかは、しっかりと確認しておいてください。
相続人にも該当せず、かつ、遺言書も残されていなければ、基本的には財産を取得することはできません。ですが、いとこ同士の関係が特別な縁故に該当するなら、特別縁故者として財産を取得できる可能性が残っています。
相続人の存在と遺言書を残しているかは重要なので、独身の従兄弟(従姉妹)がいるなら確認しておいてください。