代償分割で贈与税は原則かからない|例外的に課税される3つのケース

代償分割による支払いに贈与税
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「代償分割により金銭を支払うと贈与税がかかるのか」と不安に感じる人も少なくありません。

結論から言うと、代償分割により贈与税が課されるのは例外的なケースであり、原則として贈与税は課税されません。

多くの場合、代償金の計算方法や遺産分割協議書の記載内容を誤った結果、贈与税が問題になっているだけです。

本記事では、贈与税が発生する3つのケースを説明しているので、代償分割を検討しているなら、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

1.代償分割であると証明できないと贈与税

1つ目のケースは、代償分割による支払いであると証明できない場合です。

原則として、代償分割により代償金を支払っても、贈与税は課税されません。

ただし、代償分割により支払った金銭だと証明できた場合です。単なる贈与だと判断された場合は、贈与税の課税対象になります。

1-1.遺産分割協議書に代償分割の記載がない

遺産分割協議書には遺産分割の内容を記載するので、代償分割の内容も記載されているはずです。

もし、遺産分割協議書に代償分割の記載がなければ、税務署は単なる贈与と判断するしかありません。

例えば、亡くなった人の財産が不動産だけで、Aが不動産を取得する代わりに代償金をBに支払った場合です。


遺産分割協議書

Aは下記の不動産を取得する。

所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○○番
地目 宅地
地積 ○○㎡

令和○年○月○日

住所 ○○○○○○
氏名 A      

住所 ○○○○○○
氏名 B      


遺産分割協議書に代償分割の記載がなければ、代償分割があったのか分かりません。

代償分割があったか分からなければ、単なる贈与と判断するしかないでしょう。

1-2.遺産分割協議書は代償分割を証明する書面

代償分割による支払いをするなら、遺産分割協議書に金額等をしっかりと記載しておきましょう。

万が一、税務署から贈与を疑われた場合は、遺産分割協議書が代償分割を証明する書面となります。


遺産分割協議書

1 Aは下記の不動産を取得する。

所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○○番
地目 宅地
地積 ○○㎡

2 Aは、前項に記載された遺産を取得する代償として、Bに対して金○○万円を令和○年○月○日までに、以下の口座に振り込む方法により支払う(振込手数料はA負担)。

○○銀行  ○○支店  普通預金
口座番号  ○○○○○○○
口座名義  B


上記のように、「遺産を取得する代償」という言葉を使って、代償分割による支払いであると分かるようにします。

代償分割の書き方については、下記の記事を参考にしてください。

2.取得した相続財産を超える代償金は贈与税

2つ目のケースは、取得した相続財産を超える代償金を支払った場合です。

遺産分割協議書に代償分割による支払いであると記載しても、支払った財産額によっては贈与税が課税されます。

以下の図をご覧ください。

代償分割による支払いが遺産の価格を上回る

亡くなった人の不動産(2,000万円)を取得する代わりに、代償金として3,000万円を支払っています。

不動産の価格が2,000万円なのに3,000万円も支払うと、1,000万円については贈与と判断されます。

なぜなら、相続財産を取得する代わりに金銭を支払うので、相続財産を上回る金額は遺産分割とは無関係だからです。

遺産の価格を上回る部分に贈与税が課税

お礼の意味を込めて代償金を多めに支払うと、贈与税が課税されるので気を付けてください。

3.生命保険金を相続財産に含めて計算すると贈与税

3つ目のケースは、生命保険金を相続財産に含めて計算した場合です。

相続人が受取人になっている生命保険金は相続財産に含まれません。

しかし、相続財産だと誤解して代償金の計算をしてしまうと、結果的に支払い過ぎた部分が贈与だと判断される可能性があります。

3-1.生命保険金は遺産分割の対象ではない

受取人が相続人になっている生命保険金は、受取人の固有財産であり、遺産分割の対象に含まれません。

したがって、相続財産に組み込んで代償金を計算してしまうと、正しい金額が求められないです。


▼家族構成

被相続人|父親
相続人 |長男・二男(2人)

▼相続財産

不動産|1,000万円

▼生命保険金

長男|500万円

長男が不動産を単独所有にする場合、不動産の価格までは贈与と判断されません。

ですが、生命保険金も長男が取得したと判断すると、間違えて多く支払う可能性があります。

正しい間違い
相続財産不動産不動産
生命保険金
財産額1,000万円1,500万円
代償金1,000万円1,500万円
贈与発生しない500万円

生命保険金を相続財産に組み込んでしまうと、計算がズレるので正しい代償金が求められません。

支払った金額が多すぎると、税務署からは多すぎた部分が贈与だと判断される可能性があります。

3-2.生命保険金で代償金を支払うのは問題ない

遺産分割協議で不動産等を取得して、代償金を生命保険金で払うのは問題ありません。

生命保険金は受取人の財産なので、取得した不動産等の代償金として払っても問題ないからです。

ただし、取得した不動産等の価格よりも多く払うと、上回る金額については贈与税が課税される点は同じになります。

4.代償分割と贈与税で理解しておくポイント

前章までで、代償分割により贈与税が発生するケースを3つ説明しました。

4章では、代償分割と贈与税で理解しておくべきポイントを説明します。

  • 贈与税は贈与と判断された部分のみ
  • 贈与税が発生しても代償分割は有効

4-1.贈与税は贈与と判断された部分のみ

代償金を多めに支払ったにせよ、間違えて多く支払ったにせよ、贈与税が問題になるのは贈与と判断された部分です。

代償金全額に対して贈与税が発生するわけではありません。


▼家族構成

被相続人|父親
相続人 |長男・二男(2人)

▼法定相続分

長男|2分の1
二男|2分の1

▼遺産分割協議

長男|不動産|2,000万円
二男|代償金|2,500万円

長男が不動産を取得する代わりに、二男に代償金として2,500万円を支払った場合です。

不動産が2,000万円であれば、代償金の額は高くても2,000万円になります。

したがって、「2,500万円ー2,000万円=500万円」が贈与と判断される可能性がある部分です。


贈与税が発生する場合であっても、代償金全額に発生するわけではないので、しっかりと理解しておいてください。

4-2.贈与税が発生しても代償分割は有効

代償分割によって贈与税が発生しても、遺産分割協議の効力に影響はありません。

代償分割は相続人全員の合意により成立しており、結果的に贈与税が発生したからといって、効力が無効になるわけではないです。

遺産分割協議の成立と贈与税の発生は、別問題だと理解しておいてください。

ちなみに、贈与税が発生すると分かっているなら、多く支払っても法律上は問題ありません。

5.代償分割と贈与税に関するQ&A

代償分割と贈与税について、よくある質問と回答を説明します。

代償金を支払う期限を決めていない場合、贈与と判断されますか?

直ちに贈与と判断されるわけではありません。ただし、後日のトラブルを防ぐためにも、支払い期限は定めた方が良いです。

代償金を現金ではなく、不動産で支払うことはできますか?

相続人全員の合意があれば可能です。代償として不動産を譲渡する場合も、遺産分割協議書に分かるように記載してください。

代償金に贈与税が発生する場合、いつまでに納める必要がありますか?

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、申告・納付する必要があります。

6.さいごに

亡くなった人の遺産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払うなら贈与税に注意してください。

  • 遺産分割協議書に記載がない
  • 遺産を上回る金額を支払った
  • 生命保険金は相続財産ではない

代償分割による支払いも遺産分割協議の内容なので、しっかりと遺産分割協議書に記載します。

遺産を取得する代わりに代償金を支払うなら、遺産の価格を上回る金額は遺産分割とは無関係になります。

生命保険金は相続財産ではないので、代償分割の対象ではありません。

相手側が贈与税の課税を知っているなら別ですが、知らずに課税されるとトラブルになるので気を付けてください。

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