遺産分割協議書には代償分割による支払いであると記載する

遺産分割協議書に代償分割を記載
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亡くなった人の財産が不動産だけであれば、代償分割することは珍しくありません。

ただし、遺産分割協議書には代償分割による支払いであると、はっきりと記載しておきましょう。

代償分割による支払いであると記載しなければ、単なる贈与と判断される可能性もあります。

今回の記事では、遺産分割協議書への代償分割の書き方について説明しているので、遺産分割協議書を作成する際の参考にしてください。

1.遺産分割協議書には代償分割により支払う財産も記載

遺産分割協議書には遺産分割協議の内容を記載するので、代償分割により支払う財産も記載します。

代償分割により支払う財産を記載しなければ、単なる贈与と判断される可能性があるので注意してください。

1-1.代償分割により金銭を支払う場合の書き方

代償分割で支払う財産は金銭が一番多いはずです。

不動産を取得する代償として金銭を支払う

以下は、代償分割により金銭を支払う場合の記載例です。

遺産分割協議書

(省略)

2 Aは、前項に記載された遺産を取得する代償として、Bに対して金○○万円を令和○年○月○日までに、以下の口座に振り込む方法により支払う(振込手数料はA負担)。

○○銀行  ○○支店  普通預金
口座番号  ○○○○○○○
口座名義  B

上記は、相続人Aが遺産を取得する代償として、相続人Bに対して金銭を支払うという内容です。

一般的に代償金は振り込みで支払うので、振込口座や振込手数料の負担者も記載しています。

1-2.代償分割により不動産を譲渡する場合の書き方

代償分割で相続人所有の不動産を渡すこともできます。

代償分割による不動産を譲渡

以下は、代償分割により不動産を譲渡する場合の記載例です。

遺産分割協議書

(省略)

2 Aは、前項に記載された遺産を取得する代償として、Bに対してA所有の以下の不動産を譲渡し、令和○年○月○日までに所有権移転登記手続きをする。

所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○○番
地目 宅地
地積 ○○㎡

上記は、相続人Aが遺産を取得する代償として、相続人Bに対してA所有の不動産を譲渡するという内容です。

不動産を譲渡するなら、所有権移転登記の時期についても記載しておきましょう。

ちなみに、代償分割により不動産を譲渡する場合、登記原因は「遺産分割による贈与」です。

 

2.遺産分割協議書に代償分割を複数記載する書き方

亡くなった人の相続人が多ければ、代償分割により支払いを受ける相続人が多くなることもあります。

代償金を複数人の相続人に支払う

遺産分割協議書への記載方法に決まりはありませんが、誰に対する支払いか分かるように記載しましょう。

以下は、複数の相続人に対して代償金を支払う場合の記載例です。

遺産分割協議書

(省略)

2 Aは、前項に記載された遺産を取得する代償として、Bに対して金○○万円を、Cに対して金○○万円を、それぞれ令和○年○月○日までに、以下のそれぞれの口座に振り込む方法により支払う(振込手数料はA負担)。

○○銀行  ○○支店  普通預金
口座番号  ○○○○○○○
口座名義  B

○○銀行  ○○支店  普通預金
口座番号  ○○○○○○○
口座名義  C

上記は、相続人Aが遺産を取得する代償として、相続人BとCに対して金銭を支払うという内容です。

ちなみに、相続人に対する支払期限が違う場合は、BとCで別々に分けて記載した方が分かりやすいです。

 

3.代償分割を分割払いにする場合の書き方

代償分割により支払う金銭が高額であれば、当事者の合意により分割払いにすることも可能です。

当然ですが、代償金を分割払いにするなら、遺産分割協議書にしっかりと記載しておきましょう。

遺産分割協議書

(省略)

2 Aは、前項に記載された遺産を取得する代償として、Bに対して金○○万円を次のとおり分割して、以下の口座に振り込む方法により支払う(振込手数料はA負担)。

令和○年○月から令和○年○月まで、毎月末日までに金○○万円を支払う。

○○銀行  ○○支店  普通預金
口座番号  ○○○○○○○
口座名義  B

上記は、相続人Aが遺産を取得する代償として、相続人Bに対して代償金を分割払いするという内容です。

遺産分割協議書には、分割払いの期間と支払日が分かるように記載してください。

注意分割払いの回数が増えると、支払いで揉める可能性も高くなります。

 

4.さいごに

遺産分割協議書に代償分割を記載するなら、代償分割であると分かるように記載してください。あいまいな書き方をしてしまうと、単なる贈与と判断される可能性があります。

代償分割により支払うのが金銭であれば、支払い期限や振込手数料の負担者も記載した方が、後からトラブルになる可能性も低くなります。

また、代償分割により不動産を譲渡するなら、所有権移転登記の時期について記載しておきましょう。

代償分割は後から揉めやすいので、しっかりと遺産分割協議書に記載しておきましょう。