亡くなった人に相続人がいない場合には、生前に特別の縁故があった人に財産分与の可能性があります。
特別縁故者として財産を取得するには申立てが必要です。
手続きについては『特別縁故者とは』で説明しています。
家庭裁判所に特別縁故者と認められて、無事に財産を取得すると相続税の課税対象者となります。
相続人でなくても相続税は発生しますので、申立てをする段階で相続税が発生するかどうかを注意しておく必要があります。
目次
- 相続税が発生するライン
- 基礎控除額
- 特別縁故者は割増し
- 相続税が2割加算
- 控除や特例が不適用
- 相続税の基本的な計算
- その他の注意点
- 申告先
- 相続税の計算に含める財産
- まとめ
1.相続税が発生するライン
特別縁故者は相続人ではないですが、遺産を受け取っているので相続税の対象になります。
ただし、財産分与を受けても、すべての人に相続税が発生するわけではないです。
相続税には基礎控除があるので、取得した財産が基礎控除額を超えた場合のみ相続税を支払います。
1‐1.基礎控除額
相続税の基礎控除額は下記の計算式で求めます。
【3,000万円+600万円×法定相続人の数】
特別縁故者の基礎控除額は、基本的に3,000万円です。
なぜなら、特別縁故者が財産を取得している場合は、法定相続人は0人だからです。
*例外はありますが、可能性は低いので除外しています。
財産分与により取得した財産が、3,000万円を越えなかった場合は相続税は発生しません。
相続税申告書の提出も不要です。
2.特別縁故者は割増し
特別縁故者が相続税を計算する際の注意点です。
2‐1.相続税が2割加算
相続税の計算をする際は、配偶者と1親等以外の人は相続税が2割加算されます。
したがって、特別縁故者は2割加算の対象です。
2‐2.控除や特例が不適用
特別縁故者は相続税法上の、控除や特例が適用されません。
- 配偶者控除
- 小規模宅地等の特例
- 相次相続控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
特別縁故者が不動産を取得すると、控除が適用されないので相続税が発生しやすいです。
3.相続税の基本的な計算
相続税の基本的な計算です。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
①基礎控除額3,000万円を、超えた部分が課税価格です。
②課税価格に税率を掛けます。
③控除額を引きます。
④特別縁故者は2割加算です。
(例)財産分与の額は5,000万円
5,000万円-3,000万円=2,000万円(基礎控除)
2,000万円×15%=300万円(3,000万円以下の税率)
300万円-50万円=250万円(3,000万円以下の控除額)
250万円×1,2倍=300万円(相続税の2割加算)
相続税は300万円
4.その他の注意点
特別縁故者と相続税に関して細かい注意点です。
4‐1.申告先
相続税の申告先は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する税務署です。
あなたの住所地ではないので、ご注意ください。
管轄税務署は(国税庁のホームページ)で確認できます。
申告期限は財産分与を受けたことを、知った日から10ヶ月以内です。
原則として、現金一括納付です。
4‐2.相続税の計算に含める財産
財産分与で取得した財産以外にも、相続税の計算に含める財産があります。
- 生命保険金
- 亡くなる前3年以内の贈与
実際に財産を取得している場合は、相続税専門の税理士に相談してください。
5.まとめ
特別縁故者も相続税の課税対象者になります。
- 基礎控除額は3,000万円
- 相続税は2割加算
- 不動産を取得する際は注意
- 相続税は現金一括納付
特別縁故者の申立てを検討されている方は、相続税が発生するかどうかも考慮しておいてください。