相続登記は代位申請することも可能【債権者代位権】

債務者である相続人が相続登記を申請していない場合、債権者は代位により相続登記できます。

たとえ遺産分割協議により債務者以外が不動産を取得していても、相続登記が未了であれば法定相続分で代位登記可能です。

代位により相続登記を申請されると、相続人に登記識別情報は通知されません。

今回の記事では、相続登記の代位申請について説明しているので、相続登記が未了であれば参考にしてください。

1.債権者による相続登記の代位申請

相続人が相続登記を申請しない場合、債権者は相続登記を代位申請できます。

なぜなら、債権者は自分の債権を保全するために、債務者(相続人)の権利を代わりに行使できるからです。

以下は、民法の条文です。

(債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。(後略)

出典:e-Govウェブサイト(民法423条)

通常は、債務者の不動産を差し押さえる前提として、相続登記により債務者名義に変更します。

不動産の差押え後は、競売により債権を回収します。

1-1.代位による相続登記は債務者以外も含む

債務者が相続人の1人であっても、代位による相続登記は相続人全員分になります。

なぜかというと、特定の相続人の分だけ相続登記できないからです。

結果として、他の相続人についても、代位により法定相続分で相続登記されることになります。

1-2.代位により登記されると登記識別情報が通知されない

代位申請により相続登記がされても、相続人に登記識別情報は通知されません。

以下は、不動産登記法の条文です。

(登記識別情報の通知)
第二十一条 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。(後略)

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記法21条)

代位申請により相続登記をしても、代位者(債権者)は登記名義人になりません。

また、相続人(債務者)は申請人ではないので、相続登記がされても登記識別情報は通知されません。

結局、代位申請により相続登記がされると、誰にも登記識別情報は通知されないです。

 

2.代位による相続登記の申請書には代位事項も記載

相続登記を代位申請する場合、一般的な相続登記の記載事項だけでなく、代位に関する事項も申請書に記載します。

以下は、不動産登記令の条文です。

(申請情報)
第三条 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記令3条4号)

代位に関する事項とは、以下の3つです。

  • 代位者である旨
  • 代位者の氏名・住所
  • 代位原因

登記申請書に記載すると、以下のようになります。

登記申請書

(省略)

代位者

大阪府大阪市〇〇町1丁目2番3号
〇〇 〇〇

代位原因

〇年〇月〇日金銭消費貸借の強制執行
※個々の事例により違う

添付書類

代位原因証明情報

代位により相続登記を申請する場合、添付書類として代位原因証明情報も必要です。

 

3.相続登記を代位登記する主なケース

相続登記を代位登記するのは、相続人の債権者が差押えるケースだけではありません。

以下は、代位登記の主なケースです。

  • 担保権実行の前提として相続登記を代位
  • 判決による所有権移転の前提として相続登記を代位
  • 時効取得の前提として相続登記を代位

それぞれ簡単に説明していきます。

3-1.担保権実行による競売の前提として相続登記を代位

亡くなった人の不動産に抵当権が設定されている場合です。

抵当権者(債権者)が担保権を実行して競売するには、現在の所有者(相続人)に名義変更されている必要があります。

したがって、担保権実行の前提として、抵当権者は相続登記を代位申請できます。

3-2.判決による所有権移転の前提として相続登記を代位

亡くなった人の相続人から不動産を取得したが、所有権移転登記に協力しない場合です。

不動産の取得が判決により認められると、取得者は単独で所有権移転登記を申請できます。

ただし、判決により所有権移転登記をする前提として、相続人に名義変更が必要です。

したがって、不動産の取得者は、所有権移転登記の前提として相続登記を代位申請できます。

3-3.判決による時効取得の前提として相続登記を代位

判決により不動産の時効取得が認められた場合です。

不動産の時効取得が判決により認められると、時効取得者は単独で所有権移転登記を申請できます。

ただし、時効取得の起算日(占有開始日)よりも前に不動産の名義人が亡くなっていた場合、相続人に名義変更しておく必要があります。

したがって、不動産の時効取得者は、所有権移転登記の前提として相続登記を代位申請できます。

 

4.相続登記を申請しないと代位登記されるリスク

相続登記を申請しないで放置していると、法定相続分で代位登記されるリスクがあります。

例えば、共同相続人の1人に借金があった場合です。

債権者は相続人の持分を差押える前提として、法定相続分で相続登記を代位申請できます。

たとえ遺産分割協議が終了していても、相続登記を申請していなければ債権者の差押え登記が優先されます。

あるいは、共同相続人全員が不動産の売却に合意していても、代位登記後に持分を差押えられると売却できません。

相続登記を放置していると、法定相続分で代位登記されるリスクが常にあります。

 

5.さいごに

相続人の債権者は、債権者代位権により相続登記を代位申請できます。

相続人の1人だけ相続登記できないので、相続人全員を法定相続分で登記します。

相続登記が代位申請されても、相続人に登記識別情報は通知されません。

相続登記を申請せずに放置していると、債権者に代位申請されるリスクがあります。

相続開始後は、できる限り早めに相続登記を申請しましょう。

相続登記の義務化も決定しているので、後回しにするメリットがありません。

後回しにすると相続が複雑になり費用も増えるので、できる限り早めに登記をしましょう。

相続登記に関する記事も複数ありますので、悩みを解決するための参考にしてください。

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