あなたが亡くなった後の事務を委任する場合、費用はどのようにして支払うのでしょうか。
死後事務委任契約の支払い方法は誰に頼むかによって違います。事務所や事業所によって支払い方法は決まっているからです。
最初に預けておく方法もあれば、亡くなってから支払う方法もあります。頼む相手がどのような支払い方法を採用しているかは、最初に確認しておいてください。
1.預託金清算方式
預託金清算方式とは、契約を結ぶ際に必要な費用と報酬を預けておく方法です。あなたが亡くなると預かり金を使って死後事務を行います。
死後事務委任契約を扱っている事務所等で、多く採用されている方法だと思います。
1‐1.保管方法にも違いがある
死後事務の為に預かったお金は、自分の金銭とは別に管理しなければなりません。管理方法も事務所等により違います。
別口座を開設する
預かったお金の管理用に別口座を開設して預けておく方法です。口座開設費用等も発生しませんが、預かった金銭を使い込まれる可能性は残ります。
信託銀行に信託する
信託銀行と信託契約を結び信託口座に預けておく方法です。預かった金銭を信託財産にすると、死後事務の費用にしか使えなくなります。
注意点は、口座開設費用や保管料等が発生することになるので、初期費用が増えることになります。
1‐2.支払いで揉める可能性が低い
最初に必要な費用と報酬を預けておくので、後から支払いで揉める可能性は低いです。死後事務委任契約を解約した際も、手数料は引かれるかもしれませんが金銭は戻ってきます。
1‐3.最初に高額な金銭が必要
死後事務の範囲や内容にもよるのですが、最初に高額な金銭を用意する必要があります。金銭に余裕がなければ依頼するのは難しいでしょう。
預託金の額は死後事務の範囲や内容によっても違います。
2.遺産清算方式
遺産清算方式とは、亡くなった時の財産から死後事務の費用を支払う方法です。遺言書を併せて作成するのが特徴となります。遺言書により受任者に死後事務の費用を渡します。
遺産清算方式を採用している事務所は、契約を結ぶ際に条件等を設けていることが多いです。
2‐1.契約時に高額な金銭は必要ない
遺産から支払うので契約時に高額な金銭を用意する必要はありません。一括で支払うことに不安がある人も多いので、遺産清算方式のメリットと言えます。
2‐2.遺言書の作成も必要
死後事務委任契約と遺言書の作成がセットになっているので、遺言書を書きたくない人には合わないです。
遺言書は公正証書遺言になるので、公正証書作成手数料が発生します。結果として、トータルで必要になる費用は増えることになります。
2‐3.金銭の確保は自己責任
死後事務に必要な金銭は自分で管理することになります。したがって、亡くなった際の遺産が少なければ、死後事務を行ってもらえない可能性はあります。
3.保険金清算方式
保険金清算方式とは、保険会社と生命保険契約を結んで、保険金で死後事務の費用を支払う方法です。
死後事務を取り扱っている会社や社会福祉協議会等で、採用している所もあります。
3‐1.月々の支払いが死後事務の費用
保険会社に支払う月々のお金が死後事務の費用になります。初期費用は死後事務委任契約の作成料ぐらいですし、遺産が少なくても問題ありません。
3‐2.保険会社の審査がある
保険金清算方式の最大のデメリットは、保険会社の審査に通る必要があることです。年齢制限や過去の病歴によっては、審査に通ることができません。
4.支払い方法の注意点
死後事務委任契約の支払い方法は、受任者(事務所等)が決めています。1つしか用意していない所もあれば、複数用意していて選ぶ所もあります。
私の感覚ですが預託金清算方式が一番多いような気がします。死後事務の費用を確実に確保できるのが、採用されている理由ではないでしょうか。
あなたの生活状況と支払い方法が合わなければ、死後事務委任契約を結ぶことはできません。契約相手を探す際は支払い方法にも気を付けてください。
5.さいごに
死後事務費用の支払い方法を3つ紹介しました。
- 預託金清算方式
- 遺産清算方式
- 保険金清算方式
細かい点はそれぞれの契約によって違いますので、基本的な説明として参考にしてください。
死後事務を委任する際は、「取り扱っている死後事務の範囲」「死後事務の費用」「死後事務費用の支払い方法」の3点を確認してください。
死後事務について相談する事務所等がお近くになければ、社会福祉協議会に相談してみるのも良いと思います。