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【離縁の際に称していた氏を称する届】苗字の使用条件は2つ

離縁の際に称していた氏を称する届
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養子縁組を解消すると、養子の名字は元の名字に戻ります。

ただし、2つの条件を満たせば、離縁後も養親の名字を使用できます。

  • 養子縁組の期間が7年以上
  • 養子離縁の日から3ヶ月以内に届出

上記の条件を満たさなければ、養親の名字は使用できません。

今回の記事では、離縁後に養親の名字を称するについて説明しているので、離縁を検討しているなら参考にしてください。

1.養子は離縁により縁組前の名字に戻る

離縁により縁組前の苗字に戻る

養子縁組を解消すると、養子の名字は縁組前の名字に戻ります。

以下は、民法の条文です。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条1項)

養子縁組により養親の名字を称しているので、養子縁組を解消すると元の名字に戻るのは当然といえます。

ただし、養親の配偶者とも養子縁組を結んでいる場合は、どちらか一方とだけ離縁しても名字は変わらないです。

養子縁組と名字については、下記の記事で詳しく説明しています。

 

2.条件を満たせば同じ名字を使用できる

養子離縁後に同じ苗字を使用

養子縁組を解消すると、養子の名字は縁組前の名字に戻ります。

ただし、2つの条件を満たせば、養子は離縁後も養親の名字を使用できます。

以下は、民法の条文です。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 (省略)
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条2項)
  • 養子縁組の期間が7年以上
  • 養子離縁の日から3ヶ月以内に届出

上記の2つを満たさなければ、養親の名字は使用できません。

2-1.養子縁組の期間が7年以上必要

養子縁組の期間が7年以上

名字使用の条件1つ目は、養子縁組の期間が7年以上です。

養子離縁後に養親の名字を使用するには、養子縁組の期間が7年以上必要になります。養子縁組の期間が7年に満たなければ、養親の名字は使用できません。

養子離縁後も養親の名字(現在の名字)を使用するつもりなら、養子縁組の期間を確認してください。場合によっては、養子離縁の時期を遅らせましょう。

2-2.養子離縁の日から3ヶ月以内に届出

養子離縁の日から3ヶ月以内

名字使用の条件2つ目は、養子離縁の日から3ヶ月以内に届出です。

養子縁組の期間が7年以上あっても、3ヶ月以内に届出をしなければ、養親の名字は使用できません。

たとえ養子縁組の期間が20年以上でも、3ヶ月の期間経過後は届出ができません。

養子離縁後も養親の名字(現在の名字)を使用するつもりなら、届出についても確認しておいてください。

 

3.離縁の際に称していた氏を称する届を届出

養子離縁の後に養親の名字(離縁前の名字)を称する場合、「離縁の際に称していた氏を称する届」を届出する必要があります。

以下は、戸籍法の条文です。

第七十三条の二 民法第八百十六条第二項の規定によつて離縁の際に称していた氏を称しようとする者は、離縁の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法73条の2)

ちなみに、「離縁の際に称していた氏を称する届」という名称は長いので、「戸籍法73条の2の届」とも呼ばれます。

届書は全国共通で、市区町村役場にて取得可能です。

3-1.届出人は離縁した養子(制限あり)

離縁の際に称していた氏を称する届の届出人は、離縁した養子です。

ただし、離縁する養子が15歳未満の場合、法定代理人は届出ができません。

以下は、通達です。

なお、この届出は、法定代理人が十五歳未満の者に代わってすることはできない。

出典:昭62.10.1.民2-5000号通達第3.1

養子離縁の届出は法定代理人ができる点とは違うので、間違えないように注意してください。

3-2.届出先は本籍地または住所地

離縁の際に称していた氏を称する届の届出先は、届出人の本籍地または住所地の市区町村役場です。

どちらに出しても効力に違いはありません。ですが、添付書類に違いがあります。

届出人の住所地(本籍地以外)に出す場合は、戸籍謄本が添付書類です。本籍地が遠方なら、前もって戸籍謄本を請求しておきましょう。

 

4.養子離縁届と戸籍法73条の2の届を同時に提出

養子離縁届と同時に提出できる

養子離縁届と離縁の際に称していた氏を称する届 (戸籍法73条の2の届)は、同時に提出可能です。

条文上は「縁組前の氏に復した者」と記載されていますが、実務上は養子離縁届と同時に提出できます。

以下は、大阪市のホームページです。

養子離縁届と同時に届出することもできます。

出典:大阪市ウェブサイト(離縁の際に称していた氏を称する届)

養子離縁届と同時に提出すると、新しい戸籍も現在の名字(養親の名字)で作成されます。

養親の名字を引き続き使用するのであれば、同時に提出する方が良いでしょう。

 

5.3ヶ月経過してから養親の名字を称したい

養子離縁の日から3ヶ月経過すると、離縁の際に称していた氏を称する届は提出できません。

理由があって養親の名字を称したい場合は、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

以下は、戸籍法の条文です。

第百七条 やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法107条1項)

家庭裁判所がやむを得ない事由であると判断すれば、離縁前の名字に変更できます。

ただし、家庭裁判所の判断基準は厳しいので、認められない可能性も高いです。あくまでも、最後の手段として覚えておきましょう。

 

6.まとめ

今回の記事では「離縁後に養親の名字を称する」について説明しました。

養子縁組を解消すると、養子は縁組前の名字に戻ります。

ただし、2つの条件を満たすことで、養子は離縁前の名字を使用できます。

  • 養子縁組の期間が7年以上
  • 養子離縁の日から3ヶ月以内に届出

「養子離縁届」と「離縁の際に称していた氏を称する届」は同時に提出できるので、引き続き同じ名字を使用するなら、前もって準備しておきましょう。

養子離縁の日から3ヶ月経過すると、養親の名字を使用するのは難しいので、期間の経過には注意してください。