養子縁組と苗字の関係について図を用いて分かりやすく説明

養子縁組による重要な変更には、相続関係だけでなく苗字も含まれます。

相続関係は死後に関係しますが、苗字の変更は養子縁組直後から生涯にわたり関係するからです。

ですが、養子縁組による苗字の変更については、意外と知られていません。

  • 成人していても養親の苗字に変わる
  • 結婚していても養親の苗字に変わる

苗字の変更について知らなければ、養子縁組によりトラブルも発生します。

今回の記事では、養子縁組と苗字の変更について説明しているので、養子縁組をする際の参考にしてください。

1.原則として養子は養親の苗字に変わる

まず初めに、養子は養親の苗字(氏)を使うのが原則となります。

以下は、民法の条文です。

(養子の氏)
第八百十条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法810条)

法律上、養親の苗字を称すると決まっているので、養子縁組をすると養親の苗字に変わります。

1-1.養子が成人していても養親の苗字に変わる

養子縁組により苗字が変わるのは、養子が成人していても同じです。

成人している人が養子縁組をしても、苗字が変わらないと勘違いしている人も多いです。

実際、養子縁組後に苗字の変更を知って、慌てて養子縁組を解消する人もいます。

また、養子が結婚していると、配偶者の苗字も関係するので注意が必要です。

 

2.結婚後に養子縁組しても苗字は変わる

結婚後に養子縁組をしても、原則どおり養親の苗字に変わります。

ただし、結婚の際にどちらの苗字を名乗っているかで、苗字の変更に違いがあります。

2-1.配偶者がいても筆頭者なら養親の苗字に変わる

養子になる人が婚姻により苗字を変えていない場合、養子縁組により養親の苗字に変更します。

例えば、佐藤さんが婚姻により苗字を変えていない場合、養子縁組により養親の苗字(高橋)に変わります。

結婚していても養親の苗字に変わる

注意が必要なのは、養子の配偶者も苗字が変わる点です。

養子の配偶者も苗字が変わる

苗字が変わるのは養子だけでなく、養子の配偶者も養親の苗字に変わります。

例えば、山田さんが婚姻により佐藤に苗字を変えていれば、配偶者の養子縁組により高橋に変わります。

配偶者の養子縁組により苗字が変わる

養子縁組をすると配偶者の苗字にも影響があるので、養子縁組の前に確認しておいてください。

2-2.配偶者の苗字に変えているなら苗字は変わらない

養子になる人が婚姻により苗字を変えている場合、養子縁組をしても苗字は変わりません。

以下は、民法の条文です。

(養子の氏)
第八百十条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法810条但し書き)

例えば、山田さんが婚姻により佐藤に苗字を変えているなら、養子縁組をしても苗字は佐藤のままで変わりません。

配偶者の苗字に変えていれば養親の苗字に変わらない

イメージとしては、養親の苗字よりも配偶者の苗字を優先するような感じです。

養子縁組後に離婚すると苗字はどうなるのか?

養子縁組後に離婚した場合、養子の苗字は以下のどちらかになります。

  • 養親の苗字
  • 婚姻の際の苗字

離婚することにより元の苗字に戻るのですが、養子縁組をしているので養親の苗字になります。

ただし、離婚の日から3か月以内に戸籍法の届出をすると、婚姻の際の苗字を使うことができます。

養子縁組後に離婚して再婚すると苗字はどうなるのか?

養子縁組後に離婚して再婚した場合は、上記の苗字または再婚相手の苗字になります。

 

3.養子に子どもがいても苗字は変わらない

子どものいる人が養子縁組により苗字が変わっても、子どもの苗字は変わりません。

意外に思われるかもしれませんが、養子縁組により親と子の苗字は分かれます。

例えば、子どものいる佐藤さんが、山田さんの養子になったケースです。

苗字
養子縁組前養子縁組後
養親山田山田
養子佐藤山田
養子の子ども佐藤佐藤

簡単にですが、仕組みについて説明します。

民法810条により、養子は養親の苗字に変わります。

ですが、養子縁組した人の子どもの苗字については、法律上の定めがないので苗字は変わりません。

親の苗字が変わったからといって、子どもの苗字が自動的に変わるわけではありません。

ただし、子どもの苗字を親の苗字に変えることは可能なので、子どもの苗字を変えるのであれば手続きを忘れずにしましょう。

 

4.実親と養親の苗字が同じだと見た目は変わらない

養子縁組の当事者が同じ苗字だと、養子縁組をしても見た目の苗字は変わりません。

ただし、戸籍の手続き上は、養子縁組により実親から養親の苗字に変わっています。

分かりにくいので、下記の図で説明します。

実親と養親の苗字が同じでも別の苗字

漢字は同じ山田ですが、別の苗字(山田)になります。

養子の苗字は養子縁組により、実親の苗字(山田)から養親の苗字(山田)に変わっています。

例えば、親族間で養子縁組をすると、苗字は変わらないのに新戸籍を編纂することがあります。

なぜかというと、養子縁組により別の苗字に変わっているからです。

実親と養親の苗字が同じであれば、見た目の苗字は変わりませんが、戸籍の手続き上は別の苗字に変わっています。

 

5.養子縁組を複数回すると苗字はどうなるのか?

あまり知られていないのですが、養子縁組に回数制限はありません。同時に複数人と養子縁組をすることも可能です。

では、複数人と養子縁組をすると、苗字はどうなるのでしょうか。

結論から言うと、最後の養親の苗字に変わります。

例えば、山田さんが佐藤さんと養子縁組をした後に、高橋さんとも養子縁組を結んだ場合です。

養子縁組を複数回すると苗字も複数回変わる

養子縁組をするたびに、養子の苗字は養親の苗字に変わります。

養子縁組を複数人とする予定があるなら、順番を変えることで苗字も調整することができます。

 

6.養子縁組を解消すると苗字は元に戻る

原則として、養子縁組を解消すると、養子の苗字は元の苗字に戻ります。

養子縁組の解消方法は複数ありますが、苗字の変更については同じです。

以下は、民法の条文です。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条1項)

例えば、山田さんが養子縁組により佐藤に苗字を変えていれば、養子離縁により苗字は山田に戻ります。

養子離縁により養子の苗字は変更

ただし、例外により養親の苗字を名乗るケースがあります。

  • 片方の養子縁組は継続している
  • 戸籍法の届出をしている

それぞれ説明していきます。

6-1.片方の養子縁組が継続中なら苗字は変わらない

養子縁組を解消しても片方の養子縁組が継続しているなら、養子の苗字は変わりません。

例えば、祖父母と孫が養子縁組をしていたケースです。

片方の養子縁組だけ解消

祖父との養子縁組を解消しても、祖母との養子縁組が継続していれば、養子の苗字は変わらないです。

養子の苗字を元に戻したいなら、両方の養子縁組を解消する必要があります。

6-2.条件を満たせば養親の苗字を使用できる

養子縁組を解消しても、法律の条件を満たせば養親の苗字を使用できます。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 (省略)
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条2項)
  • 養子縁組の期間が7年以上
  • 養子離縁の日から3か月以内に届出

上記を2つとも満たすと、養子縁組解消後も養親の苗字を使用できます。

養子離縁後に戸籍法の届出すれば苗字は変わらない

ちなみに、3か月以内と書いていますが、養子離縁届と同時に「離縁の際に称していた氏を称する届」を提出することが多いです。

 

7.さいごに

養子縁組により養子は養親の苗字に変わります。

養子が成人であっても養親の苗字に変わりますし、結婚していても養親の苗字に変わります。

ただし、結婚の際に配偶者の苗字に変えていれば、養親の苗字には変わりません。

原則として、養子縁組を解消すると、養子の苗字は元に戻ります。

養子縁組をすると苗字が変わるだけでなく、相続関係も変わるので十分に気を付けてください。

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