事実婚契約書|雛形を例にしながら内容を説明

事実婚の契約書
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事実婚夫婦の間で契約書を交わすことがあるのは、ご存知でしょうか。

事実婚契約書の内容は法律上決まっていないので、夫婦ごとに契約書の内容も違います。

ですが、他の事実婚夫婦がどのような契約を結んでいるかは、参考になる部分もあります。

今回の記事では、事実婚の契約書について説明しているので、契約書の作成を検討しているなら参考にしてください。

1.事実婚契約で必ず定める意思確認

事実婚契約で初めに定めるのは、事実婚であることの意思確認です。

2人の関係が単なる同棲ではなく、婚姻意思を持ったうえで生活しているという確認になります。

契約書にしっかりと記載することにより、婚姻意思があることが確認できます。当事者間でしっかりと確認しておかなければ、事実婚なのか同棲なのか2人の意見が違う可能性もあるからです。

事実婚であると認められるには、大前提として当事者間に夫婦であるという認識が必要です。

当事者間に夫婦の認識

以下は、契約書の例文です。文言は作成する人によって変わります。

第1条(目的)

甲及び乙は、婚姻の届出をしていないが、婚姻の意思をもつ事実婚であることを確認し、法律上の婚姻に相当する関係を築くことを目的として本契約を締結する。

事実婚契約書を作成するなら、第1条は事実婚の確認になることが多いです。

2.事実婚夫婦間においてのルール

事実婚の夫婦間においてのルールを定めておくのも、事実婚契約書においては重要です。

2人のルールなので、何を定めるのかも夫婦ごとに違います。ですので、参考程度に留めておいてください。

2-1.取得財産の帰属先について

事実婚を継続している間に取得した財産の帰属先についてです。財産の帰属先を曖昧にしておくと、事実婚を解消するときに困ることが多いです。

不動産を購入した際に共有にするのか、あるいは単独にするのか等が考えられます。

以下は、契約書の例文です。

第〇条(財産の帰属)

1.本契約中に自己の名で得た財産は、各自の特有財産とする。

2.甲又は乙のいずれに帰属するか明らかでない財産は、甲及び乙の共有財産とする。

特有財産
財産分与の対象から除外される財産のこと

財産の帰属先を決めておけば、後から揉める可能性が低くなります。

2-2.生活費等の分担割合

事実婚夫婦が共働きであれば、生活費等の分担割合はしっかりと決めておきましょう。

家賃・光熱費・食費等は毎月発生するので、半分ずつにするのか担当を決めるのかを確認しておいてください。

2-3.慰謝料の支払いについて

分かりやすく説明するなら、浮気をした際の慰謝料についてです。どこからが浮気なのかを決めておく夫婦もいます。

契約書でしっかりと決めておくことが抑止力にもなりますし、後から慰謝料で揉める可能性も低くなります。

以下は、契約書の例文です。

第〇条(誓約事項)

甲又は乙が第三者と性的関係を持ったときは、相手方に対して慰謝料〇〇万円を支払う義務を負う。

ただし、事実婚契約書で慰謝料を高額に設定しても、実際に支払えるかどうかは別問題です。

3.事実婚夫婦の子どもに関すること

子どもに関することで決めるのは、認知と親権の2つが多いです。

以下は、契約書の例文です。

第〇条(子に関わる事項)

甲及び乙の間に子どもを授かった場合は、以下のとおりにする。

1.乙が妊娠したときは、甲は乙の同意を得て胎児認知をする。

2.子どもの親権者は〇とするが、甲及び乙は協力して監護教育をする。

3-1.認知が無ければ父子関係が成立しない

事実婚夫婦の間に子どもが生まれると、母親と子どもの親子関係は出生の事実により成立します。問題になるのは、父親と子どもの親子関係です。

なぜかというと、父親と子どもの親子関係は当然には成立しないからです。父親の認知が無ければ親子関係は成立しません。

事実婚では父親の認知が必要

事実婚契約書で子どもが生まれたときに、認知することを決めておくこともできます。ちなみに、認知は妊娠期間中(胎児認知)もできるので、どのタイミングで認知するのかを決めておくと良いでしょう。

3-2.共同親権は認められていない

事実婚夫婦の子どもに対しては、共同親権が認められていません。

そのため、父親または母親のどちらかが親権者となります。

何も決めておかなければ母親が親権者です。将来的に父親が親権者になりたいのであれば、契約書で定めておくこともできます。

4.事実婚解消時の取り決め

事実婚解消時に関しては、タイミングと財産の分け方を決めることが多いです。

4-1.事実婚解消時のタイミング

事実婚には法律婚のように離婚届けがありません。そのため、どのタイミングで事実婚が解消されたのかが曖昧になりやすいです。

例えば、法律婚をしている夫婦が別居中であっても、婚姻関係が破綻しているかどうかは分からないです。お互いの意見が違うこともあるので、揉めている話等を聞かれたこともあるはずです。

事実婚は法律婚以上に婚姻関係の破綻が分かりにくいです。ですので、解消のタイミングで揉めやすくなります。

事実婚契約書でどのタイミングで関係終了となるのかを、具体的に決めておく方が良いです。一般的には、同居が解消されたタイミングで事実婚関係も解消とすることが多いです。

4-2.財産の行方を決めておく

事実婚を解消する際に財産分与をするのかも決めておきましょう。

法律婚と同じように事実婚期間中に築いた財産は、半分ずつ分けるという考え方もあります。あるいは、特定の財産(不動産等)の行方のみ決めておくこともできます。

5.色々定めておくこともできます

事実婚契約書の内容は法律に反しない限り、2人で自由に決めることができます。

  • 住民票の世帯主をどちらにするか
  • 家事の分担割合
  • 親との同居
  • 遺言書の作成タイミング
  • お墓はどうするのか

上記以外にも2人で決めておきたいことがあれば、事実婚契約書で定めることができます。

6.さいごに

事実婚夫婦で契約書を交わすこともできます。

契約で定めることにより、法律婚と同じような権利や義務を発生させることも可能です。

また、事実婚契約書を作成しておくことで、事実婚を証明する証拠としても使えます。

事実婚契約書に興味がある方や作成を検討されている方は、どのような事を決めているのか参考にしてください。