遺産分割協議も詐害行為に該当すれば取消しが可能

遺産分割協議が詐害行為に該当するなら、詐害行為取消権の対象となります。

ただし、遺産分割協議が詐害行為に該当するには、法律上の要件を満たす必要があります。

また、遺産分割協議が詐害行為に該当する場合でも、訴訟を提起しなければ詐害行為取消権は行使できません。

今回の記事では、遺産分割協議と詐害行為について説明しているので、遺産分割協議の参考にしてください。

1.遺産分割協議も詐害行為取消権の対象になる

債務者が詐害行為をした場合、債権者は詐害行為を取り消すことができます。

詐害行為
債務者が債権者を害することを知りながら自己の財産を減らす行為

詐害行為取消権の仕組み

そして、債務者が相続人として参加した遺産分割協議も、詐害行為取消権の対象となります。

以下は、判例です。

共同相続人の間で成立した遺産分割協議は、詐害行為取消権行使の対象となる。

出典:裁判所ウェブサイト(平成11年6月11日最高裁判所第二小法廷判決)

遺産分割協議は相続財産を目定とする法律行為なので、債務者が詐害行為をすれば債権者は取消しが可能です。

例えば、亡くなった人の預貯金が1,000万円で、債務者の法定相続分が2分の1だった場合。

本来であれば、債務者は500万円を取得することができます。

遺産分割協議で債務者が財産を取得しなければ、自分の財産を500万円減らしているのと同じことです。

遺産分割協議が詐害行為取消権の対象になることは、債務者と債権者の両方が知っておきましょう。

 

2.遺産分割協議が詐害行為に該当するには一定の条件

債務者が参加する遺産分割協議は、詐害行為取消権の対象となります。

ですが、債務者が財産を取得しないからといって、すべての遺産分割協議が詐害行為に該当するわけではありません。

遺産分割協議が詐害行為に該当するには、一定の条件を満たす必要があります。

以下は、主な条件となります。詳細な条件は弁護士に確認しましょう。

  • 債務者が無資力
  • 債務者に詐害意思
  • 受益者が悪意

それぞれ簡単に説明します。

2-1.債務者が無資力なのに遺産分割協議で財産を取得しない

遺産分割協議が詐害行為に該当するには、債務者が無資力であることも条件になります。

なぜかというと、相続財産を取得しなくても、自分の財産で負債を支払えるなら、債権者に何の影響もないからです。

例えば、亡くなった人の預貯金が1,000万円で、債務者の法定相続分が2分の1だった場合。

債務者に500万円の負債があっても、自分の預貯金が500万円以上あるなら、遺産分割協議で財産を取得しなくて問題ありません。

自分の預貯金で負債は支払えるので、遺産分割協議は詐害行為に該当しません。

遺産分割協議の結果により、債務者が無資力になるなら注意してください。

注意無資力とは0円という意味ではなく、弁済するのに十分な資産が無い状態のことです。

2-2.債務者が債権者を害することを知っていた

債務者が遺産分割協議の結果によって、債権者を害することを知っていたことも条件になります。

「害することを知っていた」とは、積極的に損害を与える意思があったかではなく、損害が発生する認識があったかです。

例えば、相続財産を取得しなければ、借金の支払いができないと分かっているなら、債権者を害することを知っていたになります。

借金が支払えないのに、遺産分割協議で相続財産を取得しなければ、詐害行為に該当する可能性があります。

2-3.受益者(共同相続人)が債権者を害することを知っていた

遺産分割協議が詐害行為に該当するには、受益者(共同相続人)が債権者を害することを知っていたことも条件になります。

共同相続人が債権者を害することを知らなかった場合は、債務者が財産を取得しなくても遺産分割協議を取消すことはできません。

ただし、「債権者を害することを知らなかった」については、共同相続人に立証責任があります。立証できなければ、共同相続人は知っていたと判断されます。

例えば、疎遠になっていた債務者(相続人)から、「親とは縁を切っているから相続財産は取得しない」と言われたら、相続財産を取得しないことに疑問は持たないでしょう。

一方、債務者(相続人)と共同相続人が同居していたなら、債務者の生活状況を知っているので、相続財産を取得しないことに疑問を持つはずです。正当な理由を説明できなければ、債権者を害することを知っていたと判断されます。

受益者(共同相続人)が債権者を害することを知っていた点については、立証する人が違うので注意してください。

 

3.遺産分割協議を取り消すには詐害行為取消訴訟を提起

遺産分割協議が詐害行為に該当したとしても、自動的に取り消されるわけではありません。

また、受益者(共同相続人)に対して、口頭や書面で取消しの意思表示をしても効力は発生しません。

詐害行為取消権を行使するには、受益者を相手に訴訟を提起する必要があります。

以下は、民法の条文です。

(詐害行為取消請求)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。(省略)
(被告及び訴訟告知)
第四百二十四条の七 詐害行為取消請求に係る訴えについては、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者を被告とする。
一 受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え 受益者
二 転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴え その詐害行為取消請求の相手方である転得者

出典:e-Govウェブサイト(民法424条1項・424条の7)

※転得者というのは、受益者から財産を取得した人のことです。

遺産分割協議で債務者が相続財産を取得していないなら、弁護士に詐害行為取消権について相談してみてください。

 

4.相続放棄は遺産分割協議と違い詐害行為に該当しない

遺産分割協議で相続財産を取得しないのと、相続放棄により相続財産を取得しないことは別ものです。

そして、相続放棄は遺産分割協議と違い、詐害行為取消権の対象となりません。

以下は、判例です。

 相続の放棄は、民法四二四条の詐害行為取消権行使の対象とならない。

出典:裁判所ウェブサイト(昭和49年9月20日最高裁判所第二小法廷判決)

相続放棄は財産を目的とする法律行為ではなく、相続に関する身分行為だからです。相続するかどうかは、相続人が自由に決めれます。

詐害行為取消権の対象
遺産分割協議
相続放棄×

債務者が相続放棄したからといって、相続放棄を取り消すことはできないので注意してください。

 

5.さいごに

今回の記事では「遺産分割協議と詐害行為」について説明しました。

債務者が相続人として参加した遺産分割協議も、詐害行為に該当するなら詐害行為取消権の対象になります。

ただし、債権者が詐害行為取消権を行使するには、裁判上の請求(訴訟)をする必要があります。口頭や書面では取消しの効力は発生しません。

詐害行為の取消しを検討しているなら、相続に詳しい弁護士に相談してみてください。

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