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遺産分割協議書に金額を書かないけど大丈夫なのか?

遺産分割協議書に金額を書かない
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遺産分割協議書を作成しようと思ったが、金額を書くのか分からず手が止まっていませんか。

遺産分割協議書の記載方法は決まっていないので、金額が書かれていなくても有効です。相続人の取得する財産が分かれば大丈夫。

ただし、金額を書いていた方が、後から相続人同士で揉める可能性は低くなります。

今回の記事では、遺産分割協議書の金額について説明しているので、作成する際の参考にしてください。

1.遺産分割協議書に金額を書かなくても有効

遺産分割協議書に金額を書かなくても、遺産分割協議は有効に成立します。

遺産分割協議書は遺産分割協議が成立したことを証する書面なので、書き方に法律上の決まりはありません。

1-1.現金が少額なら書かないことが多い

現金を遺産分割するのに相続手続きは不要なので、現金の額を書くかどうかは相続人の自由です。

以下は、現金の額を記載しない場合です。

遺産分割協議書

Aは、被相続人が保有する現金をすべて取得する。

上記の書き方であっても、相続人Aが現金を取得することは分かります。

一般的には、高額な現金を持っている可能性は低いので、わざわざ金額を書かないことが多いです。

1-2.預貯金の残高を書かなくても口座は特定できる

預貯金口座を遺産分割するのに相続手続きは必要なので、銀行が求める情報を遺産分割協議書に記載します。

ただし、預貯金の残高を記載しなくても、銀行は相続手続きに応じてくれます。
※すべての銀行が応じるかは不明。

遺産分割協議書

Aは、次の遺産を取得する。

○○銀行 ○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 被相続人

Bは、次の遺産を取得する。

○○銀行 ○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 被相続人

遺産分割協議書に以下の5つが記載されていれば問題ありません。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 種類
  • 口座番号
  • 口座名義

預貯金の残高が記載されていなくても、相続人の取得する口座は特定できます。

 

2.遺産分割協議書に金額を記載した方が安全

遺産分割協議書に金額を記載しなくても有効ですが、金額を書いた方が安全です。

2-1.現金が高額なら金額を記載した方が良い

相続人が取得する現金の額を記載しておけば、後から揉める可能性は低くなります。

以下は、現金の額を記載する場合です。

遺産分割協議書

Aは、現金500万円を取得する。

相続人が取得する現金の額が高額なら、遺産分割協議書に記載しておいた方が安全です。

ちなみに、細かい端数を記載するかは、相続人の性格によります。

2-2.預貯金の残高を遺産分割協議書に記載する

遺産分割協議書に預貯金口座の残高を記載するなら、基本の特定事項とセットで記載すれば分かりやすいです。

遺産分割協議書

Aは、次の遺産を取得する。

○○銀行 ○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 被相続人
○○万円(令和○年○月○日現在)

Bは、次の遺産を取得する。

○○銀行 ○○支店 普通預金
口座番号 ○○○○○○○
口座名義 被相続人
○○万円(令和○年○月○日現在)

遺産分割協議書に残高を記載するなら、いつの時点かを記載した方が良いです。
※引き落としや振込により増減があるため。

遺産分割協議書に預貯金の残高も記載しておけば、相続人同士で残高を確認していると分かります。

 

3.記載の有無に関わらず金額の認識を一致させる

遺産分割協議書に金額を書くかは相続人同士の自由です。

ただし、記載の有無に関わらず、金額について相続人同士の認識は一致させてください。

3-1.現金の額は相続人同士で確認しにくい

相続財産の中でも、現金の額は相続人同士で確認しにくいです。

家の中に現金がいくらあったかを証明する方法は無いので、最初に見つけた相続人を信じるかどうかの問題になります。

現金が少額なら揉める可能性は低いですが、現金が高額だと揉める可能性も高いです。

注意高額な現金があると相続人が揉めやすいので、できる限り避けてください。

3-2.預貯金の残高は通帳などで確認する

預貯金口座については、相続人同士の認識を一致させやすいです。

遺産分割協議前に記帳しておけば、預貯金口座の残高は分かります。

相続人同士で預貯金口座の残高を確認してから、遺産分割協議書を作成すれば、後から揉める可能性は低いでしょう。遺産分割協議書に金額を記載するなら、記帳日も記載してください。

 

4.相手を騙すつもりで金額を書かない相続人もいる

遺産分割協議書に金額を書かなくても、遺産分割協議は有効に成立します。

ただし、相手(他の相続人)を騙すつもりで、遺産分割協議書に金額を書かない相続人もいます。

例えば、預貯金口座が2つあり、長男が口座Aを次男が口座Bを取得する内容で、遺産分割協議を成立させた場合。

相手を騙すつもりで遺産分割協議書に金額を書かない

長男は口座の残高を知っていて、次男に口座の残高は同じぐらいだと伝えた。次男は口座Bの残高が300万円なので、口座Aの残高も300万円ぐらいだと勘違いしている。

遺産分割協議書に口座の残高を記載すると、次男に気付かれるので、遺産分割協議書には残高を記載しなかった。

上記の場合、後から遺産分割協議の無効を主張しても、認められる保障はありません。
※口座の残高を確認しない相続人にも責任がある。

遺産分割協議書に金額を書かなくても問題ありませんが、悪用する相続人もいるので十分に注意してください。

 

5.さいごに

今回の記事では「遺産分割協議書に金額を書かない」について説明しました。

遺産分割協議書に金額を書かなくても、遺産分割協議は有効に成立しています。金額を書くかどうかは、相続人同士の自由です。

ただし、金額を書かない場合、後から揉めないように気を付けてください。

相続人同士で揉めないようにするには、金額をお互いに確認しておくことが重要です。預貯金口座であれば、記帳して残高を確認しましょう。

遺産分割協議書は証拠としても使用するので、作成する際は十分に注意してください。