遺留分放棄に手続きが必要になるのは、相続開始前に行う場合です。相続開始後は何もしなければ遺留分放棄となります。
相続開始前に行う場合は、家庭裁判所に遺留分放棄の許可申立書を提出します。家庭裁判所の許可を得なければ放棄することはできません。
今回の記事は、相続開始前の遺留分放棄の手続きについてです。
1.家庭裁判所等の確認
相続開始前の遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要となります。申立書の提出先は決まっていますので、初めに確認しておいてください。
1-1.管轄家庭裁判所
遺留分放棄の許可申立書の提出先は、被相続人(財産を残す側)の住所地を管轄する家庭裁判所です。
遺留分を放棄する側ではないのでご注意ください。
1-2.申立てができる時期
家庭裁判所に申立てができるのは、被相続人(財産を残す側)が生存している間です。
亡くなった後は家庭裁判所での手続き等は不要です。
1-3.遺留分を放棄できる人
遺留分を放棄できるのは、遺留分を有する相続人です。
兄弟姉妹は遺留分を有していないので、申立てをすることはできないです。
誰が相続人になるのかは『法定相続人|誰がなるかは法律により定められている』で確認できます。
2.提出に必要な費用と書類
家庭裁判所の窓口に行って、口頭で伝えても遺留分の放棄はできません。
手続きに必要な書類等を用意する必要があります。
- 収入印紙
- 連絡用の郵便切手
- 家事審判申立書
- 戸籍謄本
2-1.収入印紙
収入印紙(800円)を申立書に貼付します。
収入印紙は郵便局でも購入することができます。
2-2.連絡用の郵便切手
家庭裁判所に提出する郵便切手が必要です。
家庭裁判所によって必要となる郵便切手が違いますので、管轄家庭裁判所に確認してみてください。
たとえば、大阪家庭裁判所では84円切手×10枚となっています。
2-3.家事審判申立書
申立書は家庭裁判所のホームページから、ダウンロードすることもできます。
2-4.戸籍謄本
戸籍謄本は以下を用意します。
- 被相続人(財産を残す側)の戸籍謄本
- 遺留分の放棄をする人の戸籍謄本
戸籍謄本は本籍地の役所で取得できます。遠方の場合は郵送請求も可能です。
3.許可申立書の記載事項
遺留分放棄の許可申立書には、放棄する理由を記載します。
なぜなら、相続開始前の遺留分放棄は、合理的な理由が無ければ認められないからです。
個人的な感情や資産が多いからでは、合理的な理由とはならないです。
家庭裁判所の判断基準は3つあるので『遺留分の放棄は相続の前後で方法が違う』にて確認しておいてください。
4.審判結果と証明書
家庭裁判所から遺留分放棄の申立てに対して、許可または却下が郵送で通知されます。
被相続人(財産を残す側)が許可されたことを確認したいときは、遺留分放棄許可証明書を取得することも可能です。
申立人に郵送された通知書を見せてもらえない場合や、証拠として手元に置いておきたい場合です。
遺留分放棄許可証明書の交付は、審判を下した家庭裁判所に請求することができます。
5.さいごに
相続開始前の遺留分放棄は、相続対策をしている人以外はすることがないです。
なぜなら、遺留分放棄と相続対策はセットで行う必要があるからです。
遺留分を放棄しても相続人であることに変わりはないので、何もしなければ財産を相続します。
ですので、遺留分放棄だけを単独で行うことは、理論上あり得ないです。
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