デザイン変更に伴い、表示が一部崩れています。

遺留分放棄の手続き|家庭裁判所に許可申立書を提出する

遺留分放棄の手続き
  • URLをコピーしました!

遺留分放棄に手続きが必要になるのは、生前に行う場合だけなのはご存知でしょうか。

相続開始後は何もしなければ、遺留分放棄となります。

遺留分を生前に放棄するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。家庭裁判所の許可を得なければ放棄することはできません。

今回の記事では、遺留分放棄の手続きについて説明しているので、許可申立書を提出する際の参考にしてください。

1.提出先の家庭裁判所を確認する

相続開始前の遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要となります。

第千四十九条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1049条)

許可申立書の提出先は決まっていますので、初めに確認しておいてください。

1-1.財産を残す人の住所地

遺留分放棄の許可申立書の提出先は、被相続人(財産を残す人)の住所地を管轄する家庭裁判所です。

第二百十六条 次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。
二 遺留分の放棄についての許可の審判事件 被相続人の住所地

出典:e-Govウェブサイト(家事事件手続法216条)

遺留分を放棄する人の住所地とは違うので、まずは財産を残す人の住所を確認してください。

1-2.申立てができるのは生存している間

家庭裁判所に申立てができるのは、被相続人(財産を残す人)が生存している間です。

亡くなった後は家庭裁判所での手続きは不要です。遺留分を請求しなければ、遺留分の放棄となります。

1-3.遺留分を放棄できる人は限られる

遺留分を放棄できるのは、遺留分を有する推定相続人です。

  • 配偶者
  • 子ども
  • 直系尊属(両親など)

兄弟姉妹は遺留分を有していないので、申立てをすることはできないです。

また、子どもが存在する場合は、直系尊属であっても遺留分の放棄はできません。
*直系尊属は推定相続人に該当しない。

 

2.提出に必要な費用と書類を準備する

家庭裁判所の窓口に行って、口頭で伝えても遺留分の放棄はできません。

手続きに必要な書類等を用意する必要があります。

  • 収入印紙
  • 連絡用の郵便切手
  • 戸籍謄本

2-1.収入印紙を申立書に貼る

収入印紙(800円)を申立書に貼付します。

収入印紙はコンビニや郵便局で購入することができます。

収入印紙の組合せ

コンビニでは200円の額面しか売っていないことが多いです。

郵便局で購入するなら、400円を2枚購入するのが分かりやすいです。

2-2.連絡用の郵便切手は家庭裁判所ごとに違う

家庭裁判所に提出する郵便切手が必要です。

家庭裁判所によって必要となる郵便切手が違いますので、管轄家庭裁判所に電話で確認してください。

たとえば、大阪家庭裁判所では84円切手×10枚となっています。

2-3.戸籍謄本は本籍地の役所で取得

戸籍謄本は以下を用意します。

  • 被相続人(財産を残す人)の戸籍謄本
  • 遺留分の放棄をする人の戸籍謄本

直系尊属が遺留分放棄をする場合は、子どもが存在しないことを証明するため、必要な戸籍謄本等が増えます。

戸籍謄本は本籍地の役所で取得できます。遠方の場合は郵送請求も可能です。

 

3.許可申立書には理由を記載する

遺留分放棄の許可申立書には、放棄する理由を記載します。

なぜなら、相続開始前の遺留分放棄は、合理的な理由が無ければ認められないからです。

家庭裁判所の判断基準は3つあります。

  • 本人の希望であること
  • 合理的な理由があること
  • 対価が支払われていること

本人の希望であるは当たり前なので、合理的な理由が一番重要になります。対価が支払われているは、合理的な理由の一部となります。

合理的とは、遺留分を生前に放棄することについて、家庭裁判所が納得できるかどうかです。

たとえば、「遺留分に相当する金銭を貰ったので遺留分を放棄します」は、合理的な理由になります。

それに対して、「財産はいらないので遺留分を放棄します」は、合理的な理由にならないでしょう。相続開始後に放棄すればいいからです。

 

4.遺留分放棄の審判結果と証明書

家庭裁判所から遺留分放棄の申立てに対して、許可または却下が郵送で通知されます。

被相続人(財産を残す側)が許可されたことを確認したいときは、遺留分放棄許可証明書を取得することも可能です。申立人に郵送された通知書を見せてもらえない場合や、証拠として手元に置いておきたい場合はご利用ください。

遺留分放棄許可証明書の交付は、審判を下した家庭裁判所に請求することができます。

 

5.さいごに

相続開始前の遺留分放棄は、相続対策をしている人以外はすることがないです。

なぜなら、遺留分放棄と相続対策はセットで行う必要があるからです。

遺留分を放棄しても相続人であることに変わりはないので、何もしなければ財産を相続します。
ですので、遺留分放棄だけを単独で行うことは、理論上あり得ないです。

遺留分放棄を生前にするには、合理的な理由が必要となります。理由が認められなければ、生前の放棄は却下されます。

遺留分放棄の許可申立書作成料金は下記よりご確認ください。

料金表を確認する