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遺留分放棄の撤回は原則として認められない|事情の変化が必要になる

遺留分放棄の撤回は難しい
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遺留分放棄をしたが撤回したくなる人もいます。ただし、気が変わったからといって、撤回することは認められません。

例外的に認められるのは、遺留分放棄の原因となった事情に変化があった場合です。

遺留分の放棄を撤回を検討されている人は、今回の記事を参考にしてください。

1.遺留分放棄の撤回は難しい

まず初めに知っておいてほしいのは、一度認められた遺留分放棄を撤回するのは難しいということです。

原則として、遺留分放棄の取消し・撤回は認められていません。

ただし、遺留分放棄の原因となった事情が変更したことを理由に、家庭裁判所に申立てをすることはできます。

1-1.家庭裁判所が遺留分放棄許可を取り消す

生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可を得ることで認められています。

(遺留分の放棄)
第千四十九条 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1049条)

ですので、一度認められた遺留分放棄を撤回するには、家庭裁判所が許可を取り消す必要があります。当事者同士の話し合いでは撤回の効力は発生しません。

1-2.相続開始後の撤回は混乱を招く

相続開始後に遺留分放棄の撤回をするのは難しいです。

相続が開始すると権利関係も確定するので、撤回を認めてしまうと権利関係に混乱が生じてしまうからです。

よほど特殊な事情が無ければ、家庭裁判所が取り消しを認めることはありません。

2.原因となった事情に変化は生じているか

そもそも生前の遺留分放棄は何らかの事情により、家庭裁判所に申立てがされているはずです。

家庭裁判所も申立ての際に事情を確認して、遺留分放棄の許可をしています。

撤回が認められるには遺留分放棄の原因となった事情に、変化が生じている必要があります。

2-1.変化が生じていなければ認められない

当たり前ですが、気が変わったから撤回したいでは認められないです。申立てをしても事情の変化がないことを理由に却下されます。

例えば、遺留分放棄をした時より相続財産が増えていても、著しく不当でなければ撤回は認められません。財産額に増減があるのは当然だからです。

2-2.変化が生じているかは家庭裁判所が判断する

遺留分放棄の原因となった事情に変化が生じているかは、家庭裁判所が判断します。

たとえ事情の変化があったとしても、家庭裁判所が取消しに値すると判断しなければ却下されます。

過去の撤回事例と共通する部分が多くても、個々のケースごとに判断するので認められない可能性はあります。

3.過去に認められた事情の変化

過去に遺留分放棄の撤回が認められたケースでは、どのような事情の変化があったのでしょうか。

参考になりそうな変化は2つあります。

  • 家業を継ぐ予定だったが継がなかった
  • 条件となる贈与がされなかった

3-1.家業を継ぐ予定だったが継がなくなった

親の家業を継ぐ予定の子どもがいると、その他の子どもに遺留分放棄をさせることがあります。

なぜかというと、相続開始後に遺留分侵害額請求をされると、家業に影響が出てしまうからです。

家業を継ぐことが前提になっているので、予定が変わり継がなくなれば事情の変化があったと言えます。

3-2.条件となる贈与がされなかった

生前に遺留分相当額の金銭を受け取ることで、遺留分放棄をすることもあります。

遺留分放棄の対価

ただし、金銭が分割払いになっている等の理由で、遺留分放棄前に全額を受け取っていない人もいます。

遺留分放棄後の金銭的事情の変化により支払いがなければ、遺留分放棄の前提となる原因に変化があったと言えます。

4.さいごに

家庭裁判所に遺留分放棄が認められると、後から撤回するのは非常に難しいです。原因となった事情に変化がなければ、認められることはありません。

事情の変化があった場合でも、当事者同士の話し合いでは撤回できません。家庭裁判所に許可を取り消してもらう必要があります。

遺留分放棄後に原因となる事情の変化があった場合は、専門家と相談してみましょう。