代理出産により子どもを授かると、養子縁組をする流れになるはずです。
なぜ養子縁組をする必要があるのかご存知でしょうか。ご存知なければ記事を参考にしてください。
代理出産の相続関係は複雑になりますので、一つ一つ確認していきましょう。
1.代理出産をした人が母親になる
代理出産と相続において一番重要な点は、代理出産をした人が母親になるということです。
卵子提供者ではなく出産した人を母親とするのが、過去の判例となっています。
つまり、代理出産をした人と子どもは、親子関係(相続関係)にあるということです。
代理出産をした人が亡くなれば子どもが相続人となりますし、逆に子どもが先に亡くなれば代理出産をした人が相続人になる可能性もあります。
2.認知した人が父親となる
母親が誰になるのかは分かったと思うのですが、父親が誰になるのかはご存知でしょうか。
結論からいうと、生まれてきた子どもを認知した人が父親となります。精子提供をした人が当然に父親となるわけではないです。
- 認知
- 婚姻届けを提出していない男女の間に生まれた子供と父親との間に、法的な親子関係を成立させる行為のこと
認知をすることにより父親となり、父親と子どもの間に相続関係が生じます。注意点は、認知をしなければ相続関係も生じないということです。
父親については認知をすることにより親子関係を生じさせることができます。母親(卵子提供者)については養子縁組で対応することになります。
3.普通養子縁組では何がダメなのか
生まれた子どもと母親(卵子提供者)が普通養子縁組をすることで、法律上の親子関係を生じさせることができます。
普通養子縁組であっても、養親と養子の相続関係は実親と実子と何も変わりません。養子の相続順位は第1位ですし、法定相続分も実子とまったく同じです。
特に問題がないようにも見えますが、実は大きな問題が残っています。それは、代理出産をした人と子どもの親子関係は、普通養子縁組をしても残っていることです。
3-1.代理出産をした人と子どもの関係は残る
普通養子縁組をしても、代理出産をした人と子どもの相続関係は残っています。
代理出産をした人が亡くなれば、子どもは第1順位の相続人になります。子どもが先に亡くなれば、代理出産をした人が相続人になる可能性もあります。
3-2.代理出産をした人に別の子どもがいる可能性
代理出産をした人に別の子どもがいれば、当然ですが異父兄弟(姉妹)ということです。
日本の法律では亡くなった人が日本国籍なら、日本の法律で相続人が決まります。
*被相続人=亡くなった人です。
異父兄弟(姉妹)であっても相続人となります。兄弟姉妹の相続順位は第3位と高くないですが、知っておかなければ相続に重大な影響を及ぼします。
4.特別養子縁組だと関係を断ち切れる
特別養子縁組が成立すると、実親およびその血族との親族関係は終了します。普通養子縁組では実親との関係は何も変わらないので、最大の違いと言えます。
実親(代理出産した人)が亡くなっても相続人になりませんし、子どもが亡くなっても実親(代理出産した人)が相続人になることもありません。
4-1.連れ子養子の場合は片方の実親だけ
連れ子の特別養子縁組は特別な事情が無ければ認められないのですが、代理出産は特別な事情に該当する可能性はあります。
*判断するのは家庭裁判所です。
つまり、父親との親子関係はそのままで、母親(代理出産した人)との関係だけを断ち切るということです。
5.事実婚や同性カップルでは認められない
事実婚の夫婦や同性カップルは、特別養子縁組を利用することが認められません。
なぜなら、特別養子縁組の成立には「配偶者がいること」も要件の1つとされているからです。
事実婚の夫婦や同性カップルが代理出産で子どもを授かると、父親は認知で配偶者は普通養子縁組という流れになると思います。
5-1.子ども自身の相続対策は必須
代理出産をした人との親子関係は存続しているので、子ども自身の相続対策は必須になります。
【3-2.代理出産をした人に別の子どもがいる可能性】でも説明したとおり、自分の認識していない相続人が登場する可能性は有るからです。
ただし、兄弟姉妹に関しては遺留分が無いので、遺言書をしっかりと作成しておけば対応することも可能です。
6.さいごに
さまざまな理由により代理出産で子どもを授かる人もいます。
代理出産に至る道のりは大変だと思いますが、相続についてもしっかりと確認をしておいてください。
- 代理出産した人が母親
- 認知した人が父親
- 普通養子縁組では相続関係は残る
- 特別養子縁組は法律上の夫婦のみ
相続関係は確認さえしておけば対応できることが多いです。
相続について少しでも疑問があれば、納得できるまで確認しておきましょう。