あなたが死後事務を委任しても、残念ながらトラブルが発生することもあります。家族の手間を省くために契約を結んでも、トラブルが起こっては意味がないです。
なぜトラブルが発生するかというと、2つの理由が考えられます
- 本人に確認することができない
- 家族の考えが違う
トラブルの理由が分かっていれば、防ぐことも可能なので参考にしてください。
1.本人に確認することができない
死後の事務なので契約の効力が発生したときには、本人はすでに亡くなっています。そのため、契約について本人に確認することはできません。
受任者(頼まれた人)以外の第3者が契約に対して疑問を持っても、本人の口から説明を聞くことは不可能です。
ですので、受任者と第3者がトラブルになりやすいのです。
「本当に契約があったのか」や「契約内容は合っているのか」等が、トラブルの原因として挙げられます。
1-1.口頭ではなく書面で作成
死後時委任契約は口頭でも契約は成立します。
ですが、トラブルを防ぐという意味でも、書面で契約書を作成しましょう。
死後事務の内容をしっかりと記載して、誰が読んでも分かるように作成してください。
万全を期すなら費用は発生しますが、公正証書での作成をお勧めします。士業(司法書士・行政書士等)に依頼する場合は、公正証書での作成でしか受けないはずです。
- 公正証書
- 公証役場にて公証人が作成する文書のこと
1-2.親族等に知らせておく
死後事務委任契約を親族に知らせておくことは、トラブルを防ぐためには重要です。
- 死後事務委任の二重契約を防ぐ
- 死後事務委任に反対する親族が分かる
死後事務委任の二重契約を防ぐ
親族が死後事務委任契約の存在を知らなければ、あなたが亡くなった後で死後事務委任契約を結ぶ可能性があります。
例えば、あなたが葬儀会社と契約していても、親族も別の葬儀会社と契約することがあります。キャンセル料等が発生すると、それだけで揉める理由となります。
あらかじめ死後事務委任契約を伝えておけば、二重契約になることは防ぐことができます。
死後事務委任に反対する親族が分かる
死後事務委任契約に反対する親族もいます。反対の理由は色々ありますが、金銭面で反対する人も多いです。
あらかじめ親族に知らせておくことで、誰が死後事務委任契約に反対するのかが分かります。
考えの違いについては、【2.家族の考えが違う】で説明しています。
2.家族の考えが違う
生前に自分の死後事務を頼んでおくことは、家族の手間を省くという利点もあります。
しかしながら、あなたの考えと家族の考えが一致している保障はないです。
考えの違いがトラブルを招くこともあります。
- 金銭の価値は人それぞれ
- 遺骨の行方
- 感情論が1番揉める
2-1.金銭の価値は人それぞれ
死後事務委任契約を第3者と結ぶ場合、必要な対価(報酬)が発生します。
あなたは納得して契約を結んでいると思いますが、相続人が報酬の金額に納得するかは別問題です。
なぜなら、死後事務委任契約を結んでいなければ、報酬分も相続財産となるからです。
たとえば、50万円を報酬として死後事務委任契約を結んでいるとします。相続人の立場からすると、相続財産が50万円減額される契約です。
金銭面での考え方の違いはトラブルになりやすいです。相続人等に死後事務委任契約のことを説明しておくことも重要です。
2-2.遺骨の行方
近年、遺骨を海や山に散骨することを希望している人が増えています。
ただし、相続人の中には遺骨は家族のお墓に入るのが、当たり前だという考え方の人もいます。
あらかじめ、散骨を希望して死後事務委任契約を結んでいても、家族が遺骨を渡さないというトラブルも起きます。
遺骨の一部はお墓に入れる等の妥協案も考えておいてください。
2-3.感情論が1番揉める
事実婚や同性婚では、死後事務で親族とトラブルになるケースは珍しくないです。
死亡診断書を誰が受け取るかや、遺品整理や形見分けなどトラブルの元はいくらでもあります。
生前から家族と関係が良好であれば、家族と死後事務で揉める可能性は低いです。それに対して、生前から関係に問題があれば揉める可能性も高いでしょう。
感情論なので防ぐのは難しいのですが、死後事務を弁護士等の第3者に頼むなどして、直接やり取りをしなくても済むようにする等が考えられます。
3.さいごに
死後事務委任契約を結んでいても、トラブルになる可能性はあります。
ただし、トラブルの原因をあらかじめ消しておくことで、可能性を下げることはできます。
契約は書面で作成するや家族に知らせておくことも、トラブルを防止する意味では重要です。
死後事務委任契約について相談する際に、トラブル防止についても相談してみてください。