成年後見の解除はできないが後見人の解任はできる

一度開始した後見は、本人を保護するためにも解除できません。

判断能力が低下したままの状態で、後見を途中で止めてしまうと保護にならないからです。

ですが、後見人が不正な行為をしている場合や、著しく不行跡であるなら解任することはできます。

今回の記事では、後見が解除できない理由と後見人の解任について説明しています。

1.成年後見は本人を保護する制度

成年後見人(保佐人・補助人)が選任されると、成年後見を途中で解除することはできません。

なぜなら、成年後見は判断能力が低下した人を保護する制度だからです。

本人の判断能力が依然として低下しているのに、成年後見を途中で解除するのは本人の保護になりません。

1-1.目的を達成しても終了しない

成年後見は何か目的があって申立てをすることが多いです。

  • 銀行口座の手続き
  • 不動産の売却
  • 介護施設への入所

ですが、当初の目的が達成できても、成年後見を解除することはできません。

本人を保護するのが成年後見制度なので、判断能力が低下している限り続きます。

1-2.申立人の希望が通らなくても続く

成年後見の申立てをしたが、希望が通らないこともあります。

  • 後見人に専門家が選任された
  • 本人のお金が使えない
  • 後見監督人が選任された

申立人の希望が通らなくても、成年後見を解除することはできません。本人のために成年後見制度は存在しています。

成年後見を申し立てる際は、必ずデメリットを確認しておいてください。

2.後見人の解任は法律に定めがある

成年後見の解除ではなく、後見人の解任であれば法律に定めがあります。

(後見人の解任)
第八百四十六条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法846条)

ただし、解任するには解任事由に該当する必要があります。

2-1.後見人の解任事由は3つ

後見人の解任事由は以下のとおりです。

  • 不正な行為
  • 著しい不行跡
  • その他後見の任務に適しない事由

①不正な行為

後見人の不正な行為とは、成年被後見人(本人)の財産を使い込んだり、自分の利益のために利用するなどです。

例えば、本人の財産を自分の借金返済に充てる行為です。

②著しい不行跡

後見人が著しく不行跡とは、後見人の品行や素行が著しく悪い場合です。

後見人の品行や素行が著しく悪いと、本人の財産管理にも危険を生じさせる恐れがあるからです。

③その他後見の任務に適しない事由

その他後見の任務に適しない事由です。

  • 後見人の権限乱用
  • 財産管理の不適当
  • 後見人の職務怠慢

上記のような事由が該当します。

2-2.家族の感情論では解任できない

家族が後見人を解任したい理由に、「後見人が気に入らない」があります。

  • 後見人の愛想が悪い
  • 後見人の話し方が気に入らない
  • 家族の希望を聞いてくれない

ですが、家族と後見人の相性が悪くても、解任事由には該当しません。後見人として誠実に職務をこなしている限り、家族の感情論では解任できません。

あくまでも、後見は判断能力が低下した人を保護する制度となります。

2-3.後見人は新しく選任される

後見人が解任されても、後見が終了するわけではありません。後見人が解任されると、新しい後見人が選任されます。

後見は本人の判断能力が低下している限り、本人のために続いていきます。

3.本人の判断能力が回復したら取消し

一度始まった後見を止めれるのは、本人の判断能力が回復した場合です。

(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法10条)

後見を開始するには判断能力の低下が要件となります。

判断能力が回復すれば後見の要件を満たさなくなるので、後見を取消すことができます。

ただし、判断能力の回復を証明するには、医師の診断が必要です。自己申告や家族の主張では、判断能力の回復は認められません。

将来的に医学が進歩して認知症などを治せるようになると、後見を取消す機会が増えるかもしれません。

4.さいごに

成年後見が開始されると、本人の判断能力が回復するまで終了することはありません。

なぜなら、成年後見は判断能力が低下した人を保護する制度だからです。判断能力が回復していないのに、途中で終了することは本人の保護になりません。

ただし、後見人が不正な行為をしている場合や、著しい不行跡な場合には解任することができます。

本人を保護するためにも、後見人を解任して新しい後見人を選任します。

家族のために成年後見を申し立てるときは、後見を途中で解除することはできないと知っておきましょう。

後見開始の申立てを検討されている場合は、以下のボタンより料金と流れについて確認することができます。

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