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遺言書は全部で7種類あるが利用するのは2種類

遺言書の種類
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遺言書は全部で7種類あるのですが、一般的に利用するのは2種類だけです。

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つについては、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

残りの5種類を作成することは無いと思いますが、知識として知りたい人もいます。

今回の記事では、遺言書の種類について説明しているので、興味があれば参考にしてください。

目次

1.遺言書は大きく2つに分かれる

遺言書の方式は普通方式特別方式

遺言書は大きく2つに分かれています。

  • 普通方式の遺言
  • 特別方式の遺言

普通方式の遺言が、自筆証書遺言や公正証書遺言のことです。

特別方式の遺言は、特別な事態を想定して決められている遺言書のことです。

そして、普通方式の遺言は3種類、特別方式の遺言は4種類と複数に分かれています。

遺言書は普通方式3種類と特別方式4種類を合わせて、全部で7種類存在します。

2.普通方式の遺言書は3種類

普通方式の遺言書は3種類

原則として、遺言書は普通方式で作成します。

そして、普通方式の遺言書は3種類あります。

以下は、民法の条文です。

(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法967条)
  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

それぞれ簡単に説明していきます。

2-1.自筆証書遺言は自分で作成

自筆証書遺言は自分で作成する遺言

普通方式の1つ目は、自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は遺言者本人が、自分で作成する遺言書となります。

特徴としては、遺言者が全文・日付・氏名を自分で書く必要があります。

以下は、民法の条文です。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法968条)

一つでも満たしていなければ、自筆証書遺言は無効となります。

手軽に書けるのはメリットですが、無効になる可能性も高いので対策を立てておきましょう。

また、法務局に保管していない自筆証書遺言は亡くなった後に、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

2-2.公正証書遺言は公証人が作成

公正証書遺言は公証人が作成する

普通方式の2つ目は、公正証書遺言です。

公正証書遺言は公証人が作成する遺言書となります。

自筆証書遺言との主な違いは、以下になります。

  • 公証人が作成
  • 証人が2人必要
  • 原本は公証役場で保管

公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるので、紛失や偽造の恐れはありません。

デメリットとしては、公証人手数料が発生するのと、証人を2人用意する必要があります。

3-3.秘密証書遺言は特殊な作成

秘密証書遺言は特殊な作成方法

普通方式の3つ目は、秘密証書遺言です。

秘密証書遺言は、遺言者本人が作成する遺言書となります。

簡単に説明すると、自分で作成した遺言書を封筒に入れて、公証役場で封筒に遺言書が入っていることを申述します。

自筆証書遺言との主な違いは、以下になります。

  • 遺言書の本文は自筆でなくとも大丈夫
  • 公証役場での手続きは必要
  • 証人が2人必要

秘密証書遺言も自筆証書遺言と同じく、亡くなった後に家庭裁判所での検認手続きが必要です。

秘密証書遺言は普通方式の1つですが、ほとんど作成されていません。

3.特別方式の遺言書は4種類

特別方式の遺言書は4種類

特別方式の遺言書は4種類あります。

  1. 一般危急時遺言
  2. 一般隔絶地遺言
  3. 船舶危急時遺言
  4. 船舶隔絶遺地言

特別方式の遺言は、特別な状態にのみ許されている作成方法です。

3-1.一般危急時遺言は病気等により死が迫っている状態

一般危急時遺言は特別方式の遺言

特別方式の1つ目は、一般危急時遺言(死亡の危急に迫った者の遺言)です。

病気等により死期が迫っている人が作成する遺言書となります。

以下は、民法の条文です。

(死亡の危急に迫った者の遺言)
第九百七十六条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法976条)

一般危急時遺言の主な特徴は、以下となります。

  • 証人が3人以上必要
  • 証人の1人が内容を筆記
  • 証人全員が署名捺印

一般危急時遺言の作成後、20日以内に家庭裁判所での確認が必要です。

3-2.一般隔絶地遺言は伝染病で隔離された場所にいる状態

一般隔絶地遺言は特別方式の遺言

特別方式の2つ目は、一般隔絶地遺言(伝染病隔離者の遺言)です。

伝染病で隔離された場所にいる人が作成する遺言書となります。

以下は、民法の条文です。

(伝染病隔離者の遺言)
第九百七十七条 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法977条)

一般隔絶地遺言の主な特徴は、以下となります。

  • 警察官1人と証人1人以上の立ち合いが必要
  • 遺言者と立会人全員の署名捺印が必要

家庭裁判所の確認は不要ですが、検認手続きは必要となります。

3-3.船舶危急時遺言は船舶が遭難した状態

船舶危急時遺言は特別方式の遺言

特別方式の3つ目は、船舶危急時遺言(船舶遭難者の遺言)です。

船舶が遭難したことにより、死期が迫っている人が作成する遺言書となります。

以下は、民法の条文です。

(船舶遭難者の遺言)
第九百七十九条 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人二人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(979条)

船舶危急時遺言の主な特徴は、以下になります。

  • 証人2人以上の立ち合い
  • 口頭で遺言できる
  • 証人が筆記して署名捺印

船舶危急時遺言の作成後、遅滞なく家庭裁判所での確認が必要です。

3-4.船舶隔絶地遺言は船舶に長期間乗船している状態

船舶隔絶地遺言は特別方式の遺言

特別方式の4つ目は、船舶隔絶地遺言(在船者の遺言)です。

船舶で働いている人が作成する遺言書となります。

以下は、民法の条文です。

(在船者の遺言)
第九百七十八条 船舶中に在る者は、船長又は事務員一人及び証人二人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法978条)

船舶隔絶地遺言の特徴は、以下になります。

  • 船長または事務員1人の立ち合い
  • 証人2人以上の立ち合い
  • 遺言者と立会人全員の署名捺印

家庭裁判所の確認は不要ですが、検認手続きは必要となります。

4.まとめ

遺言書は全部で7種類

今回の記事では「遺言書の種類」について説明しました。

遺言書の種類は全部で7種類あります。普通方式が3種類と特別方式が4種類です。

ただし、実際に作成する可能性が高いのは、普通方式の自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類となります。

あくまでも、法律上は7種類あるというだけです。

専門家に遺言書の相談をする際も、自筆証書遺言と公正証書遺言の説明しかされないと思います。

上記以外の5種類に興味があれば、専門家に訊ねてみましょう。

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