未成年者と養子縁組を結ぶ場合は、3つの要件を満たす必要があります。
- 配偶者がいるなら一緒に養子縁組
- 養子が15歳未満なら法定代理人の承諾
- 家庭裁判所の許可が必要
家庭裁判所の許可に関しては、養親と未成年者の関係によっては不要となります。
今回の記事では、未成年者との養子縁組について説明しているので、養子縁組を検討しているなら参考にしてください。
目次
1.未成年と養子縁組を結ぶには3つの要件がある
未成年と養子縁組を結ぶには、法律で定められた要件を満たす必要があります。
※未成年者とは18歳未満。
- 配偶者がいるなら一緒に養子縁組
- 養子が15歳未満なら法定代理人の承諾
- 家庭裁判所の許可が必要
上記をすべて満たさなければ、未成年を養子にすることはできません。
1-1.配偶者がいるなら一緒に未成年と養子縁組
1つ目の要件は、配偶者がいるなら一緒に養子縁組を結ぶです。
配偶者のいる人が未成年を養子にするなら、配偶者も一緒に未成年と養子縁組を結ぶ必要があります。
以下は、民法の条文です。
養親になる人が結婚しているなら、配偶者も未成年と養子縁組を結びます。
したがって、配偶者が養子縁組に賛成でなければ、未成年を養子にすることはできません。
例外は、配偶者が判断能力の低下等により、意思表示をすることができない場合です。
1-2.養子が15歳未満なら養子縁組は法定代理人が代諾
2つ目の要件は、養子が15歳未満なら養子縁組は法定代理人が代諾するです。
養子となる未成年の年齢が15歳未満なら、養子縁組は未成年の法定代理人が代わりに承諾します。
以下は、民法の条文です。
未成年者が自分で意思表示できる場合でも、年齢が15未満であれば法定代理人が代わりに承諾します。
つまり、未成年者(15歳未満)が養子縁組に賛成であっても、法定代理人が反対だと養子縁組はできません。
1-3.未成年の養子縁組には家庭裁判所の許可が必要
3つ目の要件は、未成年の養子縁組には家庭裁判所の許可が必要です。
未成年と養子縁組を結ぶには当事者の意思だけでなく、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
以下は、民法の条文です。
家庭裁判所の許可を得なければ、未成年との養子縁組は成立しません。
ただし、未成年者が自分または配偶者の直系卑属の場合は除きます。
2.未成年との養子縁組許可の申立て手続き
未成年と養子縁組を結ぶには、家庭裁判所に養子縁組許可の申立てが必要です。
養子縁組許可の申立て手続きについて、以下にまとめておきます。
2-1.養親が未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立て
家庭裁判所に養子縁組許可の申立てをするのは、養親となる人です。
そして、申立先は未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所になります。自分の住所地ではないので注意してください。
『裁判所のウェブサイト』にて管轄家庭裁判所を確認できます。
2-2.養子縁組許可の申立て費用は収入印紙と予納郵券
養子縁組許可の申立て費用は、申立手数料と予納郵券に分かれます。
申立手数料は収入印紙で納める
養子縁組許可の申立手数料は800円。
ただし、申立手数料は現金ではなく収入印紙で納めます。
収入印紙を800円分購入して、申立書の右上に貼付して提出します。
関連記事を読む『収入印紙800円分を購入する【家庭裁判所申立書に貼付】』
予納郵券は家庭裁判所ごとに違う
家庭裁判所との連絡用に予納郵券を提出します。
予納郵券は家庭裁判所ごとに金額と内訳が違うので、必ず管轄家庭裁判所に確認してください。
2-3.養子縁組許可の申立てに必要な書類
養子縁組許可の申立てに必要な書類は、申立書と戸籍謄本になります。
- 養親の戸籍謄本
- 未成年者の戸籍謄本
未成年者が15歳未満なら、法定代理人の戸籍謄本も必要です。
申立書は家庭裁判所の窓口で取得できますし、裁判所ウェブサイトからダウンロードも可能です。
『裁判所ウェブサイト』から申立書をダウンロードできます。
3.未成年との養子縁組でも家庭裁判所の許可が不要なケース
未成年者と養子縁組を結ぶ場合でも、家庭裁判所の許可が不要なケースもあります。
以下は、民法の条文です。
自己または配偶者の直系卑属を養子にするとは、孫を養子にする場合や配偶者の連れ子を養子にする場合です。
3-1.祖父母が未成年の孫と養子縁組
祖父母が未成年の孫を養子にする場合は、家庭裁判所の許可は不要になります。
なぜなら、孫は祖父母の直系卑属に該当するので、民法798条ただし書きで除外されているからです。
未成年の孫が15歳以上であれば、当事者が養子縁組届を提出するだけで成立します。
関連記事を読む『孫と養子縁組を結ぶなら法定相続分の変更に注意』
3-2.配偶者の連れ子(未成年)と養子縁組
配偶者の連れ子(未成年)を養子にする場合は、家庭裁判所の許可は不要になります。
なぜかというと、連れ子は配偶者の直系卑属に該当するので、民法798条ただし書きで除外されているからです。
配偶者の連れ子が15歳未満であれば、配偶者の代諾で養子縁組を成立させることができます。
4.未成年と養子縁組をする際の注意点
未成年と養子縁組を結ぶなら、注意点についても知っておきましょう。
- 家庭裁判所の許可を得た後で届出
- 未成年の甥姪なら家庭裁判所の許可
それぞれ説明していきます。
4-1.未成年との養子縁組許可を得ても届出は必要
家庭裁判所から未成年との養子縁組許可を得ても、市役所等への養子縁組届は必要です。
あくまでも、養子縁組の許可を得ているだけなので、届出がなければ養子縁組は成立していません。
家庭裁判所の許可だけ貰って、養子縁組届の提出を忘れないように気を付けてください。
4-2.未成年の甥姪を養子にするなら家庭裁判所の許可
未成年の孫を養子にするなら家庭裁判所の許可は不要です。
それに対して、未成年の甥姪を養子にする場合は、原則どおり家庭裁判所の許可が必要になります。
同じ親族であっても孫と甥姪では許可の有無が違うので、養子縁組をする際は注意してください。
5.さいごに
未成年を養子にする場合、3つの要件を満たす必要があります。
- 配偶者がいるなら一緒に養子縁組
- 養子が15歳未満なら法定代理人の承諾
- 家庭裁判所の許可が必要
配偶者のいる人が未成年を養子にするなら、配偶者も一緒に養子縁組をします。
未成年を養子にする場合、原則として家庭裁判所の許可が必要になります。
例外は、孫(曾孫)を養子にする場合や、配偶者の連れ子を養子にする場合です。
家庭裁判所の許可を得ても、市役所等に養子縁組届は忘れずに提出してください。