相続登記は相続人が行方不明でもできる!単独所有にする方法も説明

相続人が行方不明の相続登記
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相続人の中に行方不明者がいても、法定相続分による相続登記は可能です。相続人が単独で申請できます。

一方、不動産を単独所有にしたい場合は、別の方法を選ぶ必要があります。

  • 不在者財産管理人
  • 失踪宣告
  • 所在等不明共有者持分取得

選ぶ方法によって、手間や費用が違うので、条件等を含めて確認しておいてください。

今回の記事では、相続人が行方不明の相続登記について説明しているので、しっかりと読み込んでおきましょう。

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目次

1.相続人が行方不明でも相続登記は可能

相続人の中に行方不明者がいても、法定相続分による相続登記は可能です。

  • 不動産は法定相続分で共有状態
  • 行方不明の相続人も登記される
  • 登記された自分の持分は処分できる

1-1.不動産は法定相続分で共有状態

被相続人に関する遺産分割協議が成立するまで、不動産は相続人全員で遺産共有です。
※遺言書がある場合は除く。

遺産共有

相続発生から遺産分割完了するまでは法定相続分で共有

遺産共有の割合は法定相続分なので、相続登記も法定相続分の割合になります。

被相続人 |父親
相続人  |長男・二男・三男(行方不明)
法定相続分|各3分の1
相続財産 |不動産

相続人である三男が行方不明なので、不動産は各3分の1で共有になっています。

長男や二男は法定相続分による相続登記が可能です。

相続人の中に行方不明者がいるなら、不動産は相続人全員で遺産共有になるので、法定相続分による相続登記は可能です。

法定相続分による相続登記については、下記の記事で詳しく説明しています。

1-2.行方不明の相続人も登記される

法定相続分による相続登記を申請する場合、自分の持分だけでなく行方不明者の持分も登記されます。

以下は、登記先例です。

共同相続人の一人の持分のみについては、その相続登記をすることはできない。

出典:法務省民事局長回答(昭和30年10月15日民事甲第2216号)

例えば、相続人が長男・二男・三男(行方不明)の場合、三男の持分も登記されます。

以下は、相続登記後の記載例です。

行方不明者を含めた法定相続分による相続登記後の登記簿

法定相続分による相続登記を申請する場合は、行方不明者も忘れずに記載してください。

申請書に行方不明者が記載されていないと、相続登記はできないので注意してください。

1-3.登記された自分の持分は処分できる

相続登記された自分の持分は、自由に処分(売買・贈与)できます。

したがって、自分の持分だけ処分したいなら、法定相続分による相続登記をした後で、売買(贈与)すれば大丈夫です。

STEP
相続発生

相続人全員で遺産分割協議するまで、不動産は相続人全員の共有になる。

STEP
法定相続分で相続登記

法定相続分での相続登記は、行方不明者がいても申請可能。

STEP
持分移転登記

自分の持分は、自由に処分(売買・贈与)できます。

自分の持分だけ処分したい人は、法定相続分による相続登記後に、持分移転登記を申請してください。

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2.相続人が行方不明でも不動産を単独所有にしたい

相続人に行方不明者がいる場合に単独所有する方法を表した図

相続人の中に行方不明者がいて、かつ、不動産を単独所有にしたい場合は、法定相続分による相続登記では解決できません。その他の方法を選ぶ必要があります。

  • 不在者財産管理人を選任して遺産分割協議
  • 失踪宣告により行方不明者を死亡とみなす
  • 所在等不明共有者持分取得を利用

単独所有にする方法を、一つずつ説明していきます。

2-1.不在者財産管理人を選任して遺産分割協議

1つ目の方法は、不在者財産管理人を選任して遺産分割協議により単独所有にするです。

不在者財産管理人

行方不明者の財産を管理する人。財産には被相続人の相続財産も含まれる。

選任された不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、相続人と遺産分割協議をします。

ただし、不動産を単独所有にする場合、行方不明者の法定相続分を確保する必要があります。行方不明だからといって、取得分をゼロにするのは認められません。

一般的には、相続財産に預貯金があるなら、行方不明者に法定相続分を取得させる。不動産しかなければ、単独所有にする人が代償金を支払います。

不在者財産管理人を選任すれば、遺産分割協議により不動産を単独所有にできます。

2-2.失踪宣告により行方不明者を死亡とみなす

2つ目の方法は、失踪宣告により行方不明者を死亡とみなして単独所有にするです。

失踪宣告

行方不明者を死亡とみなす手続き。

行方不明者の失踪期間が7年以上であれば、利害関係人の申立てにより生死不明者は死亡とみなされます。
※特別失踪は除きます。

死亡とみなされる日や子の有無によって、数次相続人や代襲相続人が遺産分割協議の参加者になります。

【行方不明者の死亡日が被相続人よりも後】

被相続人|父親(令和5年9月20日死亡)
相続人 |長男・二男・三男(行方不明)
失踪宣告|令和6年11月22日に死亡とみなす

行方不明者である三男の死亡日は父親よりも後なので、三男の相続人が数次相続人として遺産分割協議の参加者になります。

【行方不明者の死亡日が被相続人よりも前】

被相続人|父親(令和5年9月20日死亡)
相続人 |長男・二男・三男(行方不明)
失踪宣告|令和3年6月13日に死亡とみなす

行方不明者である三男の死亡日は父親よりも前なので、三男に子がいれば代襲相続人として遺産分割協議の参加者になります。

失踪宣告により行方不明者を死亡とみなして、遺産分割協議の参加者を変更すれば、不動産を単独所有にできます。

2-3.所在等不明共有者持分取得を利用

3つ目の方法は、所在等不明共有者持分取得を利用して単独所有にするです。

所在等不明共有者持分取得

持分相当額の金銭を支払って、行方不明共有者の持分を取得する手続き。

相続による共有であっても、相続開始から10年経過していれば、持分相当額を支払って行方不明者の持分を取得できます。

被相続人 |父親(平成25年9月20日死亡)
相続人  |長男・二男(行方不明)
不動産価格|600万円

長男は二男の持分相当額である300万円を支払えば、二男が行方不明でも不動産を単独所有にできます。

新しい制度なので知らない人も多いですが、金銭を支払えば不在者財産管理人を選任しなくても、不動産の単独所有は可能です。

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3.相続人が行方不明の場合は何を選べば良いのか?

相続人が行方不明の場合のフローチャート

相続人が行方不明の場合、失踪宣告できるかどうかを確認します。

そして、失踪宣告できなければ、不在者財産管理人または所在等不明共有者持分取得を検討します。

3-1.失踪宣告が選べるなら費用は一番安い

行方不明の相続人に対して、失踪宣告しても問題ないなら、費用が一番安いのでお勧めです。
※予納金や供託金が存在しないから。

問題が無いかは、以下の3点で判断します。

  • 生死不明が7年以上
  • 利害関係人に該当する
  • 相続財産の内容

行方不明者の生死不明が7年以上

まずは、行方不明者の生死不明が7年以上あるか確認してください。
※特別失踪は除外しています。

行方不明者の生存が最後に確認できた日から7年以上経過していなければ、失踪宣告は認められません。

もし7年経っていなければ、不在者財産管理人や所在等不明共有者持分取得を検討します。
※7年待つという選択もある。

行方不明者の生死不明が7年以上であれば、次に申立人をチェックします。

利害関係人が申立人になってくれる

行方不明者の生死不明が7年以上であっても、利害関係人が申立てをしなければ、失踪宣告は認められません。

以下が、失踪宣告の主な利害関係人です。

  • 行方不明者の配偶者
  • 行方不明者の推定相続人
  • その他法律上の利害関係を有する人

不動産の共有者というだけでは、失踪宣告の利害関係人に該当しないので注意してください。

申立人が失踪宣告に協力してくれるなら、相続人になっても大丈夫か確認します。

相続財産の内容に問題が無い

不動産の問題を解決するのに失踪宣告を利用する場合、行方不明者の財産にも注意してください。

なぜなら、失踪宣告により相続が発生するので、行方不明者の財産はすべて相続人に引き継がれるからです。

例えば、行方不明者が借金を残して姿を隠している場合、失踪宣告により相続人に借金が移ります。もちろん、相続放棄すれば借金は引き継ぎませんが、不動産の権利も引き継げないです。

推定相続人が失踪宣告する場合、行方不明者の財産にも注意してください。

3-2.預貯金等の遺産分割には不在者財産管理人

失踪宣告が選べない場合、不動産以外の相続財産があるか確認してください。

もし預貯金(定期預金)が含まれているなら、不在者財産管理人が必要になるからです。

預貯金(定期預金)の相続手続きには、相続人全員(行方不明者含む)の署名捺印(実印)が必要になるので、不在者財産管理人を選任しなければ、相続手続きができません。

不在者財産管理人(行方不明者の代理人)と一緒に、相続手続きを進めてください。

3-3.不動産だけ解決なら所在等不明共有者持分取得

被相続人の相続財産が不動産だけなら、所在等不明共有者持分取得で解決できます。

ただし、不動産が遺産共有の場合なので、相続開始から10年経過が条件です。10年未満の場合は、不在者財産管理人を選任するか10年経過するまで待つかの2択になります。

被相続人|父親
相続人 |長男・二男(行方不明)
相続財産|不動産のみ

父親の死亡日から10年経過しているなら、所在等不明共有者持分取得を利用して、不動産を長男の単独所有にできます。

失踪宣告が選べない場合、不動産だけ解決するなら所在等不明共有者持分取得で大丈夫です。

4.相続人が行方不明なら生前に相続登記の対策

相続人に行方不明者がいる場合の対策図

もし相続が発生する前に記事を読んでいるなら、生前に相続登記の対策をしておいてください。

生前に対策をする方が、失踪宣告や不在者財産管理人よりも楽だからです。

4-1.遺言書で不動産の取得者を決めておく

遺言書の有無と遺産分割協議の関係を表した図

被相続人が亡くなった後に、不動産を取得する人が決まっているなら、遺言書を作成してください。

遺言書で不動産の取得者を決めておけば、遺産分割協議が不要になるからです。相続人に行方不明者がいても、相続登記を申請して不動産名義を変更できます。

被相続人|父親
相続人 |長男・二男(行方不明)
相続財産|不動産
遺言書 |不動産は長男が相続する

相続人である二男が行方不明でも、長男は遺言書により不動産を相続します。

そして、二男の協力が無くても、単独で相続登記を申請可能です。

不動産の取得者が決まっているなら、遺言書を作成してください。相続人が行方不明であっても、遺言書で対策は可能です。

遺言書で不動産の取得者を決める方が、失踪宣告や不在者財産管理人よりも手間がかかりません。

遺言書による相続登記に関しては、下記の記事で詳しく説明しています。

4-2.不動産を生前に売買・贈与しておく

不動産の有無と相続登記の関係を表した図

相続が発生した後に不動産を処分する予定なら、生前に売買・贈与できないか検討しましょう。

なぜなら、生前に不動産を処分しておけば、相続発生後に不動産で悩む必要がないからです。

被相続人|父親
相続人 |長男・二男(行方不明)
相続財産|不動産(雑種地)

父親が亡くなった後に不動産を処分する予定だったが、二男が行方不明なので生前に処分した。

不動産の処分が生前であれば、二男が行方不明でも問題ない。

生前に不動産が処分できるなら、相続発生後に不動産で悩む必要はありません。

もちろん、不動産以外の財産(定期預金等)があるなら、遺言書を作成しておいてください。

5.まとめ

今回の記事では、「相続人が行方不明の相続登記」について説明しました。

相続人の中に行方不明者がいても、法定相続分での相続登記はできます。保存行為として相続人の1人が単独で申請可能です。

登記された持分は処分(贈与・売買)も可能なので、自分の持分だけ処分したいなら法定相続分での相続登記で解決できます。

一方、不動産を単独所有したい場合は、別の方法を検討する必要があります。

  • 行方不明者に対する失踪宣告
  • 行方不明者のために不在者財産管理人
  • 所在等不明共有者持分取得

失踪宣告して問題ないなら、費用は一番かからないのでお勧めです。

失踪宣告できない場合は、不在者財産管理人または所在等不明共有者持分取得で解決します。

もし相続が発生する前なら、遺言書を作成する等の対策を取ってください。生前に対策を取る方が、費用面でも得になります。

相続人が行方不明の相続登記に関するQ&A

法定相続分で相続登記するのに、他の相続人の同意は必要ですか?

他の相続人の同意は不要です。

不在者財産管理人と遺産分割協議する場合、行方不明者の取得分をゼロにできませんか?

原則として無理です。法定相続分を確保されます。

所在等不明共有者持分取得で支払う持分相当額はいくらですか?

不動産の時価に対する持分割合です。

不動産会社の査定価格などで時価を証明します。

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