亡くなった人にクレジットカード債務があっても、相続放棄した人は支払う義務がありません。リボ払いの残額やキャッシングの借入分も含めてです。
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ただし、カード会社への意思表示では成立せず、家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。提出期間は3ヶ月以内なので注意してください。
相続放棄が受理された後は、受理通知書のコピーをカード会社に送ってあげましょう。送る義務はありませんが、余計な手間を省くためにも送ってあげた方が良いです。
3ヶ月経過してからクレジットカード債務に気づいた場合でも、特別な事情があれば相続放棄できる可能性はあります。
亡くなった人にクレジットカード債務があるなら、今回の記事を参考に相続放棄の判断をしてください。
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1.クレジットカード債務も相続の対象

亡くなった人がクレジットカードを使用していた場合、債務の相続に注意してください。
なぜなら、クレジットカード債務も相続財産に含まれるからです。
- 支払日前の利用分や滞納分も相続財産
- 分割払いやリボ払いの残額も債務
- キャッシングによる借入には注意
1-1.支払期日前の利用分や滞納分も相続財産
相続人は亡くなった人の権利義務をすべて引き継ぎます。
以下は、民法の条文です。
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
一切の権利義務なので、亡くなった人がクレジットカードを使用していた場合、支払日前の利用分や滞納分の支払義務も相続人が引き継ぎます。
- 支払日前の利用分
-
亡くなった時点で支払期日が到来していない利用分
- 滞納分
-
亡くなった時点で支払期日を経過している利用分
【事例】
被相続人|A
死亡日 |令和6年2月14日
相続財産|カード利用分(1月・2月)
支払期日|翌月27日払い
Aが亡くなった場合、1月と2月のクレジットカード利用分は、相続人が支払います。
日本人のクレジットカード所有率は80%以上と言われているので、亡くなった人にクレジットカード債務があっても不思議はありません。
※預貯金の方が多い人を含む。
相続が発生した場合、必ずクレジットカードの有無を確認してください。
1-2.分割払いやリボ払いの残債は高額な可能性
亡くなった人が分割払いやリボ払いを利用して商品を購入していた場合、負債は高額な可能性があります。
- 分割払い
-
クレジットカードの利用代金を複数回に分けて支払う方法
- リボ払い
-
クレジットカードの使用回数や金額に関わらず毎月一定額を支払う方法
【事例】
被相続人|A
リボ払い|毎月2万円払い
リボ残額|95万円
Aが亡くなった場合、リボ払いの残額95万円は相続財産となり、相続人が支払い義務を引き継ぎます。
分割払いやリボ払いの残額も相続財産(負債)なので、相続人が引き継いで支払います。
亡くなった人がリボ払いを使用していると、予想以上に負債が多い可能性もあるので注意してください。
1-3.キャッシングによる借り入れには注意
亡くなった人がクレジットカードを所有していた場合、キャッシングによる借入にも注意してください。
- キャッシング
-
クレジットカードに付帯するキャッシング機能による借り入れ
【事例】
被相続人 |A
カード利用分|5万円
キャッシング|80万円
Aが亡くなった場合、カード利用分だけでなく、キャッシングによる借入分も、相続人が支払い義務を引き継ぎます。
普段、クレジットカードで買い物をしていなくても、キャッシングは利用している人もいます。
キャッシングの残額は高額な可能性があるので、必ず確認しておいてください。
2.クレジットカード債務も相続放棄できる

前章では、クレジットカード債務も相続財産なので、相続人が支払い義務を引き継ぐと説明しました。
ただし、相続放棄した人はクレジットカード債務を引き継ぎません。
- 相続放棄した人は相続人ではない
- クレジットカードが理由でも問題ない
- 負債の金額が少なくても認められる
2-1.相続放棄した人は相続人ではない
亡くなった人にクレジットカード債務があっても、相続放棄した人に支払い義務はありません。
なぜなら、相続放棄した人は相続人ではないからです。
以下は、民法の条文。
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
初めから相続人ではないので、相続財産(債務を含む)を引き継ぎません。
亡くなった人にクレジットカード債務があっても、相続放棄すれば支払う必要はないです。
2-2.クレジットカードが理由でも問題ない
亡くなった人にクレジットカード債務があっても、相続放棄は問題なく認められます。
なぜなら、放棄の理由は自由だからです。
- 負債の方が多い
- 亡くなった人と疎遠
- 不動産が不要
たとえクレジットカード債務以外に負債がなくても、結論は同じです。
相続したくないのであれば、相続放棄の手続きをしてください。
関連記事を読む『相続放棄の理由は自由!関わりたくない場合の書き方も説明』
2-3.債務額が少なくても認められる
クレジットカード債務が少額であっても、相続放棄は認められます。
なぜなら、債務の額は条件に含まれていないからです。
- 相続の開始を知った日から3ヶ月以内
- 相続財産を消費(処分)していない
クレジットカード債務の額がいくらであっても、上記の条件を満たしていれば、相続放棄は認められます。
条件については、下記の記事で詳しく説明しているので参考にしてください。
関連記事を読む『【相続放棄の条件は2つだけ】片方ではなく両方満たす必要がある』
2-4.債務だけでなくプラスの財産も引き継げない
相続放棄するとクレジットカード債務だけでなく、プラスの財産(預貯金や不動産)も引き継げません。
なぜなら、債務を放棄する手続きではなく、相続を放棄する手続きだからです。
預貯金の額がクレジットカード債務よりも多いなら、相続したうえで支払うという選択肢もあります。
※プラスが多くても放棄するのは自由。
相続放棄を検討しているなら、プラスの財産も相続できない点に注意してください。
2-5.後から財産が見つかっても撤回できない
クレジットカード債務を理由に相続放棄した後で、プラスの財産が見つかっても、相続放棄は撤回できません。
- 相続放棄の撤回
-
家庭裁判所に申述書が受理された後に効力を失くす
以下は、民法の条文です。
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
例えば、亡くなった人にクレジットカード債務(50万円)があったので相続放棄した。ところが、知らなかった定期預金(500万円)が後から見つかった。
後から見つかったプラスの財産が多くても、相続放棄の撤回は認められません。
相続放棄の申述書を提出する前に、本当にプラスの財産が無いのか確認しておいてください。
関連記事を読む『相続放棄の撤回は認められない!事情に関わらず禁止されている』
3.クレジットカードと相続放棄の手続き

クレジットカードと相続放棄の手続きについて説明します。
- 家庭裁判所に申述書を提出
- 相続の開始を知った日から3ヶ月以内
- 債務額に関わらず申立手数料は800円
- 必要な戸籍等は亡くなった人により違う
3-1.家庭裁判所に申述書を提出
相続放棄は家庭裁判所に申述書を提出しなければ認められません。
- 相続人同士での話し合い
- クレジットカード会社への意思表示
クレジットカード会社に意思表示をしても、家庭裁判所に申述書を提出していなければ、相続放棄の効力は発生しません。
以下は、よくある間違えです。
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父親とは縁を切っているので相続放棄します



分かりました
債権者(カード会社)が分かったのは、「相続放棄の手続きを今からする」という部分です。
勘違いして電話等で意思表示だけしていると、相続したとみなされて債務を請求されます。
クレジットカード債務を相続放棄するなら、必ず申述書を家庭裁判所に提出してください。
関連記事を読む『【相続放棄の手続きは家庭裁判所】その他の方法では成立しない』
3-2.相続の開始を知った日から3ヶ月以内
クレジットカード債務を相続放棄したいなら、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述書を提出してください。
申述書を提出せずに3ヶ月経過すると、単純承認したとみなされ相続放棄できないからです。
- 単純承認
-
亡くなった人の権利義務をすべて引き継ぐ
原則として、相続の開始を知った日は、以下のどちらかになります。
- 亡くなったことを知った日
- 先順位相続人の相続放棄を知った日
相続の開始を知っているのに放置していると、クレジットカード債務の相続が確定するので、絶対に放置しないよう注意してください。
関連記事を読む『【相続の開始を知った日】相続放棄はいつからできるのか徹底解説』
3-3.債務額に関わらず申立手数料は800円
相続放棄の申立手数料は、クレジットカード債務の額に関わらず800円です。
リボ払いやキャッシングの残債が高額であっても、手数料の額は増えないので安心してください。
ただし、申立手数料は現金ではなく、収入印紙(800円分)で納めます。
申立てには予納郵券も必要になるので、郵便局で一緒に購入するのが楽でしょう。
収入印紙と予納郵券については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『相続放棄の収入印紙と予納郵券を図を用いて説明』
3-4.必要な戸籍等は亡くなった人により違う
クレジットカード債務が原因で相続放棄する場合でも、戸籍等は用意する必要があります。
ただし、必要な戸籍等は亡くなった人により違います。
以下は、基本となる戸籍等です。
- 被相続人の戸籍(死亡記載)
- 被相続人の住民票
- 相続人の戸籍(相続放棄する人)
相続人が親や兄弟姉妹であれば、上記だけでなく追加の戸籍も必要になります。
相続放棄の戸籍については、下記の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。
関連記事を読む『相続放棄には戸籍謄本が必要!誰がするかで枚数が違う』
4.相続放棄とクレジットカード会社
相続放棄とクレジットカード会社の関係についても、複数のポイントがあるので説明していきます。
- カード会社は調べずに書面を送付
- 送られてきた書面で相続の開始を知った
- 被相続人の情報は教えてもらえない
- カード会社に相続放棄を証明する場合
- 書面を送る義務はないが送った方が良い
- 各カード会社で相続放棄は共有されない
4-1.カード会社は調べずに書面を送付
クレジットカード会社が被相続人の死亡を知った場合、相続人に対して書面を送付してきます。
ただし、カード会社は書面を送付する前に、相続放棄の有無を確認しません。
カード会社が死亡を知った時期によっては、相続放棄している人にも書面は届きます。
知らずに送付しているだけなので、慌てずに相続放棄している旨を説明しましょう。
4-2.送られてきた書面で相続の開始を知った
亡くなった人と相続人が疎遠な場合、クレジットカード会社からの書面で相続の開始を知る人もいます。
- 亡くなったことを知った
- 先順位相続人の相続放棄を知った
クレジットカード会社からの書面で相続の開始を知った場合、書面のコピーを申述書に添付して家庭裁判所に提出します。
送付された書面は重要なので、紛失しないように保管しておいてください。
4-3.被相続人の情報は教えてもらえない
亡くなった人と相続人が疎遠だと、最後の住所や本籍が分からない場合も多いです。
相続放棄するには住民票や戸籍(除籍・原戸籍)を取得する必要があるので、クレジットカード会社に情報を聞こうとする人もいます。
ですが、被相続人の情報は教えてもらえません。
クレジットカード会社は債権者なので、相続放棄を手伝うような行為はできないからです。
※相続放棄されると債権が回収できない。
亡くなった人の住所や本籍が分からないと、準備に時間がかかるので早めに取り掛かってください。
4-4.カード会社に相続放棄を証明する場合
カード会社に相続放棄を証明する場合、以下の2点に注意してください。
- 受理通知書のコピーを渡す
- 受理証明書でなくても問題ない
受理通知書のコピーを渡す
相続放棄の申述が受理されると、家庭裁判所から受理通知書が送付されます。
そして、カード会社に相続放棄を証明する場合、受理通知書のコピーを渡せば問題ありません。
原本は一度しか発行されませんし、カード会社が複数の可能性もあるので、コピーを渡すようにしてください。
関連記事を読む『【相続放棄申述受理通知書】再発行できないのでコピーを渡そう』
受理証明書でなくても問題ない
カード会社からの書面に「受理証明書のコピー」を返送してくださいと記載されていても、通知書のコピーで問題ありません。
なぜなら、受理証明書と受理通知書の記載内容は、ほぼ同じだからです。
実際、私が依頼を受けたケースでは、すべて受理通知書のコピーを渡すように説明しています。
※何も問題は起こっていません。
もちろん、受理証明書を取得してコピーを返送しても問題はありません。
関連記事を読む『相続放棄申述受理証明書が必要になる場面は限られる』
4-5.書面を送る義務はないが送った方が良い
クレジットカード会社が受理通知書のコピーを要求しても、書面を送る義務はありません。
※債権者は相続放棄の有無を確認できる。
ですが、余計な手間を避けるためにも、書面は送った方が良いでしょう。
クレジットカード会社によっては、相続放棄の確認をせずに何回も書面を送るケースもあるからです。
受理通知書のコピーを送付しておけば、クレジットカード会社からの書面は止まるので、できる限り送ってあげましょう。
4-6.各カード会社で相続放棄は共有されない
亡くなった人が複数のクレジットカードを所有していた場合、1社に相続放棄の証明をしても、別の会社からの書面は止まりません。
なぜなら、各カード会社で相続放棄の情報は共有されないからです。
【事例】
被相続人 |父親
カード債務 |A社50万円、B社70万円
相続放棄した人がA社に受理通知書のコピーを送付しても、B社に相続放棄の情報は伝わりません。
クレジットカード会社が複数なら、相続放棄の証明も複数必要になるので、勘違いしないよう注意してください。
5.相続放棄とクレジットカードの支払い


相続放棄を検討しているなら、クレジットカード債務の支払いは安易にしないでください。
なぜなら、カード会社への支払いが、単純承認とみなされる可能性があるからです。
- 相続財産から支払うと処分行為
- 自分の財産から支払うのは自由
5-1.相続財産から支払うと処分行為
相続財産からクレジットカード債務を支払うと、処分行為により単純承認とみなされる可能性があります。
単純承認と断言できないのは、「処分行為」または「保存行為」のどちらに該当するか、事例によって見解が分かれているからです。
相続財産からの支払いが処分行為なら単純承認とみなされますし、保存行為なら単純承認とはみなされません。
ただし、相続放棄を検討しているなら、安易に相続財産から支払って、自分の身を危うくするのは避けた方が良いです。
関連記事を読む『相続放棄は保存行為をしても認められるが何もしない方が安全』
5-2.自分の財産から支払うのは自由
相続放棄すると相続人ではありませんが、道義的な理由等で自分の財産からクレジットカード債務を支払う人はいます。
そして、亡くなった人の債務を、自分の財産から支払っても単純承認とはみなされません。
自分の財産を使っているだけなので、相続財産の消費(処分)に該当しないからです。
相続放棄するとクレジットカード債務を支払う義務はありませんが、どうしても支払いたい場合は自分の財産で支払ってください。
6.クレジットカードと共同相続人の関係


クレジットカード債務の相続放棄は、共同相続人にも関係します。
- 法定相続分が変更すると負担割合も変更
- 先順位が全員相続放棄すると後順位に移る
6-1.法定相続分が変更すると負担割合も変更
一部の相続人だけ相続放棄すると、法定相続分の割合が変更します。
その結果、クレジットカード債務の負担割合も変更になるので、把握していた負債額と変わる可能性があります。
【事例】
被相続人 |父親
相続人 |長男・二男・長女・二女
カード債務|120万円
法定相続分|各4分の1
カード会社から届いた書面に、相続人の負担額は30万円と書かれていても、他の相続人が相続放棄すると負担額は変わります。
相続 | 相続分 | 負担額 |
---|---|---|
全員相続 | 4分の1 | 30万円 |
1人相続放棄 | 3分の1 | 40万円 |
2人相続放棄 | 2分の1 | 60万円 |
3人相続放棄 | 1分の1 | 120万円 |
債権者(クレジットカード会社含む)から書面が届いた場合は、個別の負担額ではなく、債務の総額を必ず確認してください。
個別の負担額だけで相続を判断すると、失敗する可能性もあるからです。
共同相続人に連絡が取れるなら、相続放棄の有無を確認した方が良いでしょう。
6-2.先順位が全員相続放棄すると後順位に移る
先順位相続人が全員相続放棄すると、クレジットカード債務は後順位相続人に移ります。
【事例】
被相続人 |父親
先順位 |長男・二男・三男
後順位 |父親の兄・父親の妹
カード債務|100万円
先順位相続人である長男・二男・三男が全員相続放棄すると、カード債務(100万円)は後順位相続人である父親の兄弟姉妹に移ります。
後順位相続人と交流があるなら、クレジットカード債務の存在と相続放棄する旨を伝えておいた方が良いでしょう。
急にクレジットカード会社から書面が届くと、驚いて先順位相続人に電話してくる人もいるからです。
また、前もって相続放棄する旨を知っていれば、戸籍等の準備もしやすくなります。
※後順位相続人は必要な戸籍が多い。
関連記事を読む『相続放棄すると次順位の相続人に負債等が移ってしまう』
7.3ヶ月経過してからクレジットカード債務に気づいた


3ヶ月経過してからクレジットカード債務に気づいた場合、諦める前に以下の文章を読んでください。
原則として、相続放棄できる期間は、相続の開始(死亡または先順位の相続放棄)を知った日から3ヶ月以内です。
ただし、クレジットカード債務に気づけなかった事情があれば、3ヶ月経過していても相続放棄は認められる可能性があります。
- 亡くなった人と疎遠だった
- 相続財産は無いと思っていた
- 債務は無いと聞いていた
実際に私が受けた事例では、亡くなった人は生活保護費を受給していたので、相続財産は存在しないと思っていたら、3ヶ月経過後にクレジットカード会社から督促状が届いたケースがあります。
※相続放棄は認められました。
クレジットカード債務に気づけなかった事情があるなら、諦めるのではなく専門家に相談してください。
関連記事を読む『3カ月経過後の相続放棄』
8.相続放棄とクレジットカードで間違えやすい点
相続放棄とクレジットカードで間違えやすい点を説明していきます。
- 家族カードの負債は本契約者が支払う
- 相続放棄しても自分の信用情報に影響はない
- クレジットカードは相続財産に含まれない
- カード債務の額が不明でも手続き可能
8-1.家族カードの負債は本契約者が支払う
亡くなった人が家族カードを使用していた場合、相続放棄に関わらず本契約者は支払う必要があります。
なぜなら、家族カードの使用分は、本契約者に支払い義務があるからです。
家族カードの使用分は相続の対象ではなく、本契約者の負債になるので、相続放棄とは関係ありません。
当然ですが、家族カードの使用分を支払っても、単純承認ではないので安心してください。
8-2.相続放棄しても自分の信用情報に影響はない
亡くなった人の相続を放棄しても、自分の信用情報に影響はありません。
- 信用情報
-
クレジットカードやローン契約等に関する情報のこと
相続放棄すると何も引き継がないので、クレジットカード債務がいくらであっても、自分の信用情報には記録されないです。
相続放棄が自分のクレジットカードに影響するか心配する人もいますが、相続人ではないので何の影響もありません。
8-3.クレジットカードは相続財産に含まれない
亡くなった人のクレジットカード債務は相続財産ですが、クレジットカード自体は相続財産に含まれません。
なぜなら、契約者が亡くなると、カード契約は終了するからです。
以下は、楽天カードの会員規約です。
第19条(カード利用の停止、会員資格取消し) (省略) 3.当社は、会員が次の各号のいずれかの事由に該当した又は当社が該当したと判断した場合、会員資格を取消すことができ、加盟店等に当該カードの無効を通知又は登録することがあります。 (省略) (12)会員が死亡した場合または会員の親族等から会員が死亡した旨の連絡があった場合。
一般的にクレジットカードの会員規約や利用規約には、会員が死亡すると会員資格を喪失すると明記されています。
したがって、相続放棄ではなく単純承認を選んでも、亡くなった人のクレジットカードは使用できないので注意してください。
8-4.カードの債務額が不明でも手続きは可能
クレジットカードの債務額が分からなくても、相続放棄の手続きは可能なので安心してください。
なぜかというと、相続を放棄するのであって、個別の財産(負債)を放棄する手続きではないからです。
【事例】
被相続人|父親
相続人 |子ども
相続財産|クレジットカード債務
父親にクレジットカードの滞納があるのは知っているが、いくら滞納しているかは知らない。
ですが、相続財産(負債額)を知っているかと、相続放棄できるかとは無関係なので、問題なく手続きできます。
クレジットカードの債務額に関わらず相続放棄するなら、わざわざ調べなくても問題はありません。
関連記事を読む『相続放棄は財産が不明でも可能なので無理に探す必要はない』
9.まとめ
今回の記事では、相続放棄とクレジットカードについて説明しました。
- クレジットカード債務も相続財産
- 相続放棄すると相続財産を引き継がない
- 家庭裁判所に申述書を3ヶ月以内に提出
- カード会社には受理通知書のコピーを送付
- 相続財産からカード債務を支払わない
- 先順位が相続放棄すると後順位に債務が移る
クレジットカード債務も相続財産なので、相続放棄した人は引き継ぎません。
ただし、家庭裁判所に申述書を3ヶ月以内に提出する必要があります。
カード会社には受理通知書のコピーを送付すれば大丈夫なので、わざわざ受理証明書を取得しないでも問題ありません。
相続財産からカード債務を支払うと、単純承認の恐れがあるので止めてください。
先順位相続人が全員相続放棄すると、クレジットカード債務は後順位相続人に移ります。交流があるなら知らせておきましょう。
相続放棄とクレジットカードに関するQ&A
- クレジットカード債務が少ないので、他の相続人は相続を選びます。
私だけ相続放棄を選べますか? -
相続放棄の個別の手続きなので、1人だけ相続放棄するのも自由です。
- クレジットカード債務を調査した後でも、相続放棄はできますか?
-
相続財産を調査しても単純承認とはみなされません。
ただし、期間経過には注意してください。 - 相続人が未成年者でもクレジットカード債務を相続しますか?
-
相続人に年齢制限はないので、未成年者も相続放棄が必要です。
- クレジットカード債務よりも多い預貯金が見つかりました。相続放棄の撤回はできますか?
-
撤回は法律で禁止されているので認められません。