亡くなった人がNHK受信料を滞納している場合、相続放棄しなければ相続人が支払い義務を引き継ぎます。
NHK受信料の滞納も債務なので、相続財産に含まれるからです。
相続放棄するのであれば、NHK受信料は支払う必要がありません。相続財産から支払うと、単純承認とみなされる可能性があるので、注意してください。
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1.NHK受信料の滞納分も相続放棄できる
亡くなった人の家にテレビが設置されていれば、NHKの受信料にも注意してください。
なぜなら、受信料の滞納があれば、相続債務となり相続の対象となるからです。
1-1.受信料の滞納分は相続人が引き継ぐ
亡くなった人がNHK受信料を滞納していれば、法律により相続人が引き継ぎます。
以下は、民法の条文です。
相続人は亡くなった人の権利義務をすべて引き継ぐので、NHK受信料の滞納分も引き継ぎます。
たとえ離れて暮らしていたとしても、相続するので注意してください。
関連記事を読む『相続放棄すれば借金を返す必要はない!金額が少額でも認められる』
1-2.相続放棄すると相続債務も引き継がない
相続人が相続放棄すると、初めから相続人ではなかったとみなされます。
以下は、民法の条文です。
つまり、亡くなった人がNHK受信料を滞納していたとしても、相続人ではないので支払う必要はありません。
NHK受信料の滞納分を相続したくなければ、相続放棄の手続きを済ませましょう。
ただし、相続の開始を知った日から3ヶ月以内なので、期間経過には注意してください。
関連記事を読む『相続放棄の期間は3ヶ月以内|相続の開始を知った日が重要』
2.NHK受信料に後から気付いた場合
相続の開始を知った日から3ヶ月経過すると、単純承認したとみなされ、相続放棄できなくなります。
- 単純承認
-
すべての権利義務を引き継ぐ
では、3ヶ月経過してからNHK受信料の滞納に気付いた場合、相続放棄は絶対に無理なのでしょうか。
結論から言えば、事情によっては相続放棄できます。
- 受信料の滞納に気付けなかった
- その他の財産も特に存在しなかった
受信料の滞納に気付いておらず、かつ、その他の財産も特に存在しなければ、相続の開始を知ったには該当していません。
【事例】
被相続人|父親
相続人 |子ども
関係性 |ほとんど交流は無かった
相続財産|数百円
父親が亡くなったことは知っていたが、口座の残高も数百円しかなく、財産は特に無かった。
ところが、死亡から半年後に、NHK受信料を滞納している事実に気付いた。
相続財産(受信料の滞納)の存在に気付くことは難しいので、滞納に気付いた日が相続の開始を知った日です。
受信料の滞納に気付いた日から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述書を提出してください。
関連記事を読む『相続放棄は後から借金に気付いても認められるのか?』
3.NHK受信料を支払った後に相続放棄
NHK受信料の滞納分を支払った後に、高額な借金の存在に気付いた場合、相続放棄できるのかについても説明していきます。
上記のケースで問題になるのは、受信料の滞納分をどこから支払ったかです。
- 相続財産から支払った
- 自分の財産から支払った
どちらに該当するかで、相続放棄できるか結論が変わります。
3-1.滞納分を相続財産から支払うと単純承認
NHK受信料の滞納分を相続財産(亡くなった人の財産)から支払うと、単純承認とみなされる可能性があります。
なぜなら、亡くなった人の財産から、受信料の滞納分を支払うかどうかは、相続人が判断するからです。相続放棄する人(相続放棄した人)が判断することではありません。
自分の判断で勝手に相続財産から支払うと、単純承認とみなされ相続放棄できない恐れがあります。
相続放棄を検討しているなら、相続財産から支払うのは止めておきましょう。
3-2.滞納分を自分の財産から支払うのは問題ない
NHK受信料の滞納分を自分の財産から支払っても、単純承認とはみなされません。
なぜなら、相続財産を使っていないからです。
どうしても、NHK受信料の滞納分を支払いたいなら、自分の財産から支払ってください。
自分の財産から支払っても、単純承認とはみなされないので、相続放棄できます。
4.NHK受信料と相続放棄の注意点
最後に、NHK受信料と相続放棄の注意点を4つ説明します。
- 受信料の滞納分だけ放棄はできない
- NHK受信料の返還金は受け取るな
- 受信料の滞納分は次順位に移る
- 相続放棄しても配偶者は連帯納付
それぞれ説明していきます。
4-1.滞納分だけ選んで放棄はできない
NHK受信料の滞納分を放棄する場合、その他の財産も放棄することになります。
相続放棄は相続を放棄する手続きなので、財産の一部だけ選んで放棄はできないからです。
【事例】
被相続人|父親
相続人 |子ども
相続財産|受信料の滞納分(5万円)
預貯金(50万円)
NHK受信料の滞納分を支払うのが嫌なので相続放棄すると、預貯金も相続できません。
相続放棄を検討しているなら、他の財産にも注意してください。
関連記事を読む『財産の一部だけ相続放棄はできない!取捨選択は認められない』
4-2.NHK受信料の返還金は受け取るな
亡くなった人が受信料を年払いしていた場合、受信料の返還金が発生します。
※継続して契約する場合は除く。
ただし、相続放棄する予定なら、返還金は受け取らないでください。
返還金を受け取る権利があるのは相続人だからです。相続人としての権利を行使すると、単純承認とみなされ相続放棄できなくなります。
4-3.受信料の滞納分は次順位に移る
先順位の相続人が全員相続放棄すると、次順位の相続人に権利・義務が移ります。
つまり、NHK受信料の滞納分も、次順位の相続人に移ってしまいます。
次順位の相続人が相続を選ぶなら別ですが、支払うつもりがなければ、相続放棄が必要です。
相続放棄による順位変更については、下記の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『相続放棄すると次順位の相続人に負債等が移ってしまう』
4-4.相続放棄しても配偶者は支払い義務
相続放棄すると受信料の滞納分があっても、相続人として支払う義務はありません。
ただし、亡くなった人の配偶者は支払う義務があります。
以下は、民法の条文です。
NHKの受信契約も民法761条が適用されるので、相続放棄しても配偶者としての責任が残ります。
ちなみに、公共料金に関しても同じ結論になるので、配偶者は注意してください。
関連記事を読む『相続放棄は公共料金を解約・支払いしても可能なのか?』
5.まとめ
今回の記事では「NHK受信料の滞納と相続放棄」について説明しました。
NHK受信料の滞納分も相続財産なので、相続人が返済義務を引き継ぎます。相続したくないのであれば、3ヶ月以内に相続放棄してください。
受信料の滞納に3ヶ月経過してから気付いた場合、事情によっては相続放棄できます。
逆に、滞納している受信料を支払った後に相続放棄する場合は、どこから支払ったかで結論が違います。
- 相続財産 |相続放棄できない
- 自分の財産|相続放棄できる
相続放棄を検討しているなら、相続財産は使用しないでください。