亡くなった人の相続人が複数人いる場合、相続放棄で知っておいた方が良いポイントは4つあります。
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- 手続きは相続人それぞれ必要
- 手続期間(3ヶ月)は個別に判断
- 同じ戸籍等は省略できる
- 専門家への依頼はまとめてが得
相続人が複数人なら手続きは各自必要です。代表者が1人でするわけではありません。
3ヶ月の期間も相続人ごとに判断するので、全員が同じとは限らないです。
同じ戸籍は1枚で大丈夫なので、複数人なら省略できる戸籍もあります。
相続放棄を専門家に依頼するなら、複数人まとめてが得です。
今回の記事では、4つのポイントを説明しているので、確認しておいてください。
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1.複数人が相続放棄でも手続きは各自必要

相続人が複数人なら、相続放棄の手続きは各自必要となります。
相続または相続放棄の判断は、各相続人が個別にするからです。
1-1.相続放棄申述書は1人ずつ作成
相続放棄するには、家庭裁判所に申述書の提出が必要です。
ただし、相続人が複数人であっても、申述書は1人ずつ作成します。
以下は、申述書作成の注意点です。
- 各相続人が署名捺印
- 収入印紙は1人800円分
申述書には各相続人が署名捺印
相続放棄の申述書は1人ずつ作成するので、署名捺印もそれぞれ必要です。
代表者がまとめて代筆などせず、自分で申述書に署名してください。
申述書に貼る収入印紙は1人800円分
相続放棄するには手数料(800円)を納める必要があります。
ただし、現金ではなく収入印紙で納めます。
申述書は1人ずつ作成するので、手数料も1人分を貼ってください。勘違いして複数人分を貼らないよう注意しましょう。
関連記事を読む『相続放棄の収入印紙と予納郵券を図を用いて説明』
1-2.複数人分をまとめて提出しても大丈夫
作成した相続放棄申述書を、まとめて家庭裁判所に提出するのは問題ありません。
代表者が家庭裁判所の窓口で提出するや、まとめて郵送するでも大丈夫です。
ちなみに、代表者が窓口で提出する場合でも、委任状等は必要ありません。代理人ではなく使者になるからです。
※相続人以外が提出しても大丈夫。
2.相続放棄の期間は複数人でも個々に判断

相続放棄の期間は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。
勘違いしやすいのですが、知った日は個々に判断します。全員が同じ日になるとは限りません。
2-1.相続の開始を知った日は個々に判断
相続放棄は個々の手続きなので、相続の開始を知った日も個々に判断します。
あくまでも、自分が相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。申述書にも自分が知った日を記載してください。
相続放棄を複数人が行う場合、知った日が別々であっても問題ありません。
関連記事を読む『相続放棄の期間は3ヶ月以内|相続の開始を知った日が重要』
2-2.連絡が取れない相続人がいても期間経過
他の相続人と相続放棄について話し合いをするなら、期間経過に注意してください。
なぜなら、話し合いが終わる前に3ヶ月経過すると、単純承認とみなされ相続放棄できないからです。
【失敗例】
被相続人|父親
相続人 |長女・二女・三女
相続財産|負債の方が多い
父親と娘たちは疎遠だったが、長女は相続の開始(死亡)を知っていた。
長女は二女や三女と話し合いをしたうえで、相続放棄の手続きを全員でするという考えだった。
ただし、二女や三女の連絡先が分からず、調べている間に3ヶ月経過。
長女は相続放棄できませんが、二女や三女は知った日から3ヶ月以内なら相続放棄できます。
相続放棄は個別の手続きなので、他の相続人に連絡が付かなくても、3ヶ月経過すると単純承認とみなされます。
相続放棄すると決めているなら、3ヶ月経過する前に手続きをしてください。
関連記事を読む『相続放棄が認められない|単純承認とみなされる3つの行為』
3.複数人が相続放棄なら戸籍の省略可能

相続人が複数人で相続放棄する場合、省略できる戸籍があります。
なぜなら、同じ戸籍等は1枚で大丈夫だからです。
6. 申述に必要な書類 (1) 相続放棄の申述書(8の書式及び記載例をご利用ください。) (2) 標準的な申立添付書類 ※ 同じ書類は1通で足ります。 ※ 同一の被相続人についての相続の承認・放棄の期間伸長事件又は相続放棄申述受理事件が先行している場合,その事件で提出済みのものは不要です。
意外と気付いていない人も多いので、しっかりと確認しておきましょう。
3-1.同じ戸籍等は1枚だけで大丈夫
複数人の相続人が相続放棄する場合、共通する戸籍等は1枚で大丈夫です。
【事例】
被相続人|父親
相続人 |長男・二男・三男
戸籍情報|三男は父親と同じ戸籍
相続放棄する際に必要な戸籍等は以下になります。
- 父親の死亡戸籍
※三男の戸籍を兼ねる - 父親の住民票
- 長男の戸籍
- 二男の戸籍
3人が相続放棄する場合でも4枚で済みます。
代表者が戸籍等を一式取得すれば、他の相続人は自分の戸籍を取得するだけです。
ちなみに、兄弟姉妹や甥姪が相続放棄する場合は、必要な戸籍も多くなるので、省略した方が手続きも楽になります。
関連記事を読む『相続放棄には戸籍謄本が必要!誰がするかで枚数が違う』
3-2.同じ戸籍を提出しても問題はない
複数人の相続人が、それぞれ同じ戸籍を提出しても問題はありません。
あくまでも、省略できるというだけなので、省略するかは相続人の自由です。
実際、相続放棄を各自でするケースでは、それぞれが戸籍を取得して提出しています。
同じ戸籍を提出したからといって、家庭裁判所は申述を却下しないので安心してください。
4.相続放棄を複数人まとめて依頼

相続放棄を専門家(司法書士・弁護士)に依頼する場合、複数人まとめての方が得になります。
なぜなら、2人目以降の料金を、割引にしている事務所が多いからです。
4-1.2人目以降は割引にする事務所が多い
ほとんどの事務所では、2人目以降の料金を割引にしています。
なぜなら、2人目以降は戸籍の取得や申述書の作成が楽になるからです。
参考までに、当事務所の料金を載せておきます。
相続人 | 1人目 | 2人目以降 |
---|---|---|
子ども | 2万9,000円 | 2万5,000円 |
孫 | 3万1,000円 | |
父母 | 3万2,000円 | |
祖父母 | 3万3,000円 | |
兄弟 姉妹 | 3万4,000円 | |
甥姪 | 3万6,000円 |
料金には戸籍の発行手数料も含まれているので、2人目以降は割引になっています。
複数人で相続放棄するなら、まとめて依頼した方が得になるでしょう。
もちろん、事務所によって料金は違うので、しっかりと確認したうえで依頼してください。
関連記事を読む『相続放棄の料金はいくら?事務所により値段が違うので注意』
4-2.専門家への依頼は相続人ごとに必要
専門家にまとめて依頼する場合でも、依頼は相続人ごとに必要となります。
あくまでも、個別の手続きなので、委任状も個別に必要だからです。
ただし、料金をまとめて支払うのは問題ありません。相続人が複数人だと代表者が支払うケースも多いです。
5.まとめ
今回の記事では「複数人の相続放棄」について説明しました。
複数人が相続放棄する場合、知っておくべきポイントは以下の4つです。
- 手続きは個別に必要
- 知った日も個別に判断
- 同じ戸籍は省略できる
- 依頼はまとめてが得
相続放棄は個別の手続きなので、複数人がする場合でも1人ずつ必要です。
相続の開始を知った日も、相続人ごとに判断します。他の相続人と期間が同じとは限らないので、3ヶ月の期間経過には十分に注意してください。
複数人が相続放棄するなら、同じ戸籍は省略しても問題ありません。もちろん、添付しても結果には影響しないです。
司法書士に相続放棄を依頼するなら、まとめての方が料金は得になります。2人目以降は割引にしているからです。
相続放棄を複数人で検討しているなら、お気軽にお問い合わせください。
複数人の相続放棄に関するQ&A
- 相続人が複数人でも、1人だけ相続放棄できますか?
-
できます。1人だけ相続放棄しても大丈夫です。
- 他の相続人が全員相続放棄しても、1人だけ相続できますか?
-
できます。1人だけ相続するのも自由です。