戸籍上の性別を変更するには、家庭裁判所の手続きが必要です。
ただし、性別変更には6つの要件があり、すべて満たす必要があります。
どれか一つでも満たしていなければ、性別変更は認められません。
今回の記事では、性別変更の要件について説明しているので、性別変更を検討されている人は参考にしてください。
目次
- 2人以上の医師から性同一性障害であると診断
- 性別変更できるのは18歳以上
- 婚姻中は性別変更できない
- 子どもが未成年だと性別変更できない
- 生殖機能が残っていると性別変更できない
- 生殖腺を除去している
- 生殖腺の機能を永続的に欠く状態とは
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えている
- まとめ
1.2人以上の医師から性同一性障害であると診断
性別変更の要件1つ目は、2人以上の医師により性同一性障害であると診断されているです。
以下は、法律の条文です。
性別変更ができるのは、「性同一性障害者」と診断されている人です。
性同一性障害者と診断されるには、少なくとも2人以上の医師の診断結果が一致する必要があります。
2人以上必要なのは、医師により判断基準に差があり、間違った診断をする可能性もあるからです。
*過去には間違って性別変更をされた人もいたそうです。
2.性別変更できるのは18歳以上
性別変更の要件2つ目は、年齢が18歳以上です。
以下は、法律の条文です。
日本では満18歳が成年年齢とされており、性別変更という重大な判断は未成年には認められていません。
仮に法定代理人(親権者等)の同意があっても、18歳未満の性別変更は認められません。
司法書士から一言令和4年4月1日に成人年齢が18歳に引き下がったので、性別変更の要件も18歳以上になります。
3.婚姻中は性別変更できない
性別変更の要件3つ目は、現に婚姻していないです。
以下は、法律の条文です。
現に婚姻している人が性別変更すると、同性婚になるので認められていません。
現に婚姻をしていないなので、過去に結婚していても問題ありません。事実婚(内縁関係)は法律上の婚姻ではないので、手続きを進めることが可能です。
当然ですが、性別変更後に婚姻することはできます。
4.子どもが未成年だと性別変更できない
性別変更の要件4つ目は、現に未成年の子どもがいないです。
以下は、法律の条文です。
現に未成年の子どもがいないなので、成年の子どもがいても問題ありません。
性別変更後に養子縁組をして、未成年の子どもを受け入れることは可能です。
5.生殖機能が残っていると性別変更できない
性別変更の要件5つ目は、生殖腺がない又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあるです。
以下は、法律の条文です。
性別変更後に生殖機能が残っていると、子どもが生まれる可能性があるので、性別変更の要件に加えられています。
例えば、女性から男性に性別変更した後で妊娠すると、男性と男性の間に子どもが生まれます。
司法書士から一言令和5年10月25日、最高裁が違憲と判断したので、法改正される可能性が高いです。
生殖腺を除去している
男性から女性(MtF)なら睾丸の摘出、女性から男性(FtM)なら卵巣・子宮を摘出となります。
生殖線の機能を永続的に欠く状態
女性は卵巣の機能が停止すると生殖能力がなくなります。つまり、生殖腺の機能を永続的に欠く状態といえます。
6.他の性別の性器の部分に近似する外観を備えている
性別変更の要件6つ目は、他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていることです。
以下は、法律の条文です。
公衆浴場(銭湯)などで社会的な混乱を招かないため、性別変更の要件に加えられています。
外観を備えているかを家庭裁判所でチェックするわけではなく、医師の診断書への記載で確認します。
7.まとめ
今回の記事では「性別変更の要件」について説明しました。
性別変更するには、6つの要件をすべて満たす必要があります。
- 2人以上の医師により性同一性障害であると診断されている
- 18歳以上である
- 現に婚姻をしていない
- 現に未成年の子どもがいない
- 生殖腺がない又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えている
ただし、それぞれの要件には批判もあり、法改正により変更する可能性もあります。性別変更の手続きをする前に、現時点での法律を確認しておいてください。