特定遺贈と包括遺贈の違いを5つの項目で比較

特定遺贈と包括遺贈は、同じ遺贈であっても違いがあります。

どちらが優れているではなく、特定遺贈と包括遺贈のどちらにもメリット・デメリットがあります。

5つの項目で2つの遺贈を比較しているので、遺贈をする際の参考にしてください。

1.遺贈する財産

1つ目の違いは遺贈する財産です。

特定遺贈と包括遺贈では、遺言書に記載する財産に違いがあります。

遺贈する財産を特定しているのが特定遺贈で、遺贈する財産の割合を指定しているのが包括遺贈です。

1-1.特定の財産を遺贈する

特定遺贈では遺贈する財産を具体的に指定しています。遺贈する財産は遺言書を見れば分かります。

例えば、「所在地〇〇の建物を遺贈する」や「100万円を遺贈する」等が特定遺贈になります。

気を付ける点としては、遺言書に財産を書き忘れると遺贈できません。遺言書に建物は記載していたが、土地は記載するのを忘れていた等が考えられます。

1-2.財産を割合で遺贈する

包括遺贈では遺贈する財産を割合で指定しています。遺贈する財産は遺言書を見ても分かりません。

例えば、「遺産の2分の1を遺贈する」や「全財産を遺贈する」等が包括遺贈になります。
*全財産とは割合1分の1のことです。

一部包括遺贈の場合、具体的に何を受け取るかは遺産分割協議で決めます。

 

2.マイナス財産の引継ぎ

2つ目の違いはマイナス財産の引継ぎです。

遺言者の財産には「マイナス財産」も含まれます。それにより特定遺贈と包括遺贈で違いが生まれます。

特定遺贈の受遺者は特定の財産を受け取るので、マイナス財産を引き継ぐことはありません。
*負担付遺贈等は除く。

一方、包括遺贈の受遺者は遺言者の財産を割合で受け取るので、自動的にマイナス財産も引き継ぐことになります。

例えば、遺産の2分の1を遺贈するであれば、マイナス財産も2分の1引き継ぐことになります。

包括遺贈を考えている場合は、マイナス財産の確認もしておいてください。

 

3.遺贈放棄の方法

3つ目の違いは遺贈放棄の方法です。

遺言書は亡くなった人の意思表示ですが、受贈者(受取人)の意思は確認していないことも多く、財産によっては不要な場合もあります。

遺贈を放棄することはできるのですが、特定遺贈と包括遺贈では遺贈放棄の方法にも違いがあります。

3-1.特定遺贈の放棄は定めなし

特定遺贈を放棄する場合は、法律上特に定めはありません。

(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法986条)

特定遺贈の放棄は口頭でも効力が発生します。
ですが、実務上はトラブルを防止するために、内容証明郵便を遺贈義務者に送ることが多いです。

3-2.包括遺贈の放棄は家庭裁判所

包括受遺者は相続人と同じ扱いとなります。

(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。

出典:e-Govウェブサイト(民法990条)

相続人と同じ扱いになるので、包括遺贈を放棄する場合は、家庭裁判所の手続きが必要となります。口頭では効力は発生しないので、放棄する場合は気を付けてください。

包括遺贈を知ってから3ヶ月以内となります。

 

4.遺産分割協議への参加

4つ目の違いは遺産分割協議への参加です。

特定遺贈の受遺者は特定の財産を受け取るだけなので、遺産分割協議に参加することはありません。

それに対して、包括遺贈の受遺者は相続人と同一の権利義務を有するので、相続人と一緒に遺産分割協議に参加します。
*全部包括遺贈であれば遺産分割協議は不要です。

包括受遺者も遺産分割協議に参加

遺言者の遺産から具体的に何を受け取るかは、遺産分割協議で決めることになります。全員の同意が必要になるので、相続人と包括受遺者が揉めると遺産分割協議が終了しません。

相続人が遺贈に対して好意的でなければ、特定遺贈にした方が安全です。

 

5.不動産取得税の発生

5つ目の違いは不動産取得税の発生です。

遺贈する財産に不動産があると、特定遺贈と包括遺贈で不動産取得税の発生に違いがあります。

不動産取得税
不動産を取得した際に発生する税金のこと

特定遺贈で不動産を取得した場合は、受取人が第3者(相続人以外)であれば不動産取得税が発生します。

それに対して、包括遺贈で不動産を取得した場合は、誰が受取人であっても不動産取得税は発生しません。

不動産取得税の発生
相続人に遺贈第3者に遺贈
特定遺贈非課税課税
包括遺贈非課税非課税

不動産を第3者に特定遺贈するのであれば、不動産取得税が発生することを受遺者に伝えておいてください。

遺贈と不動産取得税の関係については、下記の記事で詳しく説明しています。

 

6.さいごに

同じ遺贈であっても、特定遺贈と包括遺贈には違いがあります。

主に以下の5つです。

  • 遺贈する財産
  • マイナス財産の引継ぎ
  • 遺贈放棄の方法
  • 遺産分割協議への参加
  • 不動産取得税の発生
2つの遺贈比較
項目特定遺贈包括遺贈
遺贈する財産特定している割合で指定
マイナス財産引き継がない
*負担付遺贈等は除く
引き継ぐ
遺贈放棄の方法定めなし家庭裁判所
での手続き
遺産分割協議不参加参加
不動産取得税第3者は発生発生しない

遺贈する財産や法定相続人の有無等によって、特定遺贈と包括遺贈のどちらを選ぶ方が良いのか変わります。

遺言書で遺贈する場合は、できる限り専門家に確認をしてもらった方が安全です。

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