遺産分割協議は債務不履行を原因に解除できない

遺産分割協議で決めた負担を履行しなくても、遺産分割協議を解除することはできません。

遺産分割協議は成立しているので、債務不履行は当事者間の問題となるからです。話し合いなのか裁判なのか、解決方法も当事者が決めます。

遺産分割協議の内容で債務負担を定めるなら、債務不履行のリスクに注意してください。

今回の記事では、遺産分割協議と債務不履行による解除について説明しているので、遺産分割協議の参考にしてください。

1.遺産分割協議で負担した債務の不履行では解除できない

一般的な契約では、当事者の一方が債務を履行しない場合、相手方は契約を解除することができます。

ですが、相続人の1人が遺産分割協議で負担した債務を履行しなくても、他の相続人は遺産分割協議を解除できません。

以下は、判例です。

共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が右協議において負担した債務を履行しないときであつても、その債権を有する相続人は、民法五四一条によつて右協議を解除することができない。

出典:裁判所ウェブサイト(平成元年2月9日最高裁判所第一小法廷判決)

たとえ債務負担が遺産分割協議の重要な要素だったとしても、債務不履行を原因に遺産分割協議は解除できません。

1-1.遺産分割協議の成立後は相続人同士の問題

遺産分割協議の成立後は、債務の不履行についても相続人同士の問題となります。

債務の不履行を話し合いで解決するのか、あるいは訴訟で解決するのかも当事者の自由です。

遺産分割自体は終了しているので、債務の不履行は当事者の問題として解決を目指すことになります。

 

2.遺産分割協議と債務不履行の具体例4選

遺産分割協議と債務不履行の具体例を4つ紹介します。

これから遺産分割協議をするのであれば、下記に該当しないように注意してください。

2-1.遺産分割の条件である負担を履行しない

遺産分割協議と債務不履行の具体例1つ目は、遺産分割の条件である負担を履行しないです。

何かを負担する条件付きで、相続財産を多く取得することは珍しくありません。

例えば、父親が亡くなった際の遺産分割協議で、母親と同居するという条件付きで相続財産を多く取得するケースです。

本来であれば、遺産分割協議終了後に母親と同居するのですが、忙しい等の理由を述べ同居を先延ばしにします。

結局、他の相続人が同居するか、母親は一人暮らしをすることになります。他の相続人が約束が違うと怒っても、遺産分割協議を解除することはできません。

2-2.代償分割の対価である金銭の債務不履行

遺産分割協議と債務不履行の具体例2つ目は、代償分割の対価である金銭の債務不履行です。

相続財産が不動産しかなければ、遺産分割の方法として代償分割をすることもあります。

代償分割
相続財産を取得する代わりに代償金(代償物)を支払う分割方法

例えば、相続人がAとBの2人で不動産をAが取得して、代償としてAからBに金銭を支払うケースです。

不動産を取得する代わりに金銭を支払う

本来であれば、遺産分割協議終了後に代償金を支払うのですが、いつまで経っても振り込みがありません。

結局、相続人Aが支払ってくれるのを待つか、あるいは相続人Aを相手に訴訟をすることになります。

代償分割をするのであれば、債務不履行のリスクを知っておいてください。

2-3.遺産分割で決めた相続債務の履行をしない

遺産分割協議と債務不履行の具体例3つ目は、遺産分割で決めた相続債務の履行をしないです。

遺産分割協議の中で、相続債務の負担者を決めることもあります。

例えば、相続人がA・B・Cの3人で、相続債務を含めてAが相続財産を取得するとしたケースです。

Aが相続債務を支払っている限り問題は起こりません。ですが、Aが支払いを滞ると、相続債権者はBとCにも請求をしてきます。

なぜなら、遺産分割協議の中で相続債務の負担者を決めても、相続債権者には対抗できないからです。相続債権者は法定相続分の割合にしたがって、BとCにも相続債務を請求できます。

Aが相続債務を支払わないからといって、遺産分割協議を解除することはできません。

2-4.遺産分割で決めた葬儀費用を支払ってくれない

遺産分割協議の中で、葬儀費用の負担者(負担割合)を決めることもあります。

ただし、他の相続人が葬儀費用を支払わなくても、遺産分割協議を解除することはできません。

遺産分割は終了しているので、葬儀費用は相続人同士の問題となります。話し合いや訴訟等で解決を目指します。

葬儀費用は相続で揉めやすいので、遺産分割協議で話し合うなら注意してください。

 

3.遺産分割協議を合意解除することはできる

遺産分割協議は債務不履行を原因に解除できません。

ただし、相続人全員が合意するのであれば、遺産分割協議を合意解除することはできます。

気を付ける点としては、遺産分割協議をやり直しても、税法上は相続とは扱われない点です。

簡単に言えば、所有権移転に対して贈与税等の税金が課税されます。合意解除により不動産の所有者が代わるなら、税金の発生に注意してください。

遺産分割協議のやり直しについては、下記の記事を参考にしてください。

 

4.さいごに

遺産分割協議で債務負担を決めていても、債務不履行を原因に解除することはできません。

  • 遺産分割で定めた負担を履行しない
  • 遺産分割で定めた代償金を支払わない
  • 遺産分割で定めた相続債務を支払わない

遺産分割協議成立後は、当事者の問題として債務不履行の解決を目指します。

債務不履行を話し合いで解決するのか、それとも訴訟で解決するのかは当事者の自由です。

遺産分割協議の内容で債務負担を定めるなら、債務不履行のリスクに注意してください。

みかち司法書士事務所は相続を専門にしております。相続について悩みや疑問があれば、お気軽にお問い合わせください。

相続に関する記事も複数ありますので、悩みを解決するための参考にしてください。

記事の探し方

下記から相談用LINEに登録できます。

質問・相談

電話やメールよりも簡単に質問がしたい場合はご利用ください。

相続のご質問お待ちしています
📞06-6643-9269

受付時間8:00~20:00
司法書士の小嶋(こじま)が担当します

面談等で電話に出れない場合は、折り返し連絡いたします。

みかち司法書士事務所の相談は初回無料です。お気軽にお問い合わせください。

\悩みの50%は相談で解決できる/無料相談の内容を確認する

申込フォームは24時間対応ですのでご希望の時間をご記入ください。折り返しご連絡いたします。

\問い合わせは無料/問い合わせをする

>相続専門の司法書士事務所

相続専門の司法書士事務所

相続に関する悩みや疑問があれば、お気軽にお問い合わせください。
遺言書に関すること。
相続登記に関すること。
相続手続に関すること。
相続放棄に関すること。
後見に関すること。
事実婚や同性カップルの相続対策。

CTR IMG