遺留分は不動産評価の方法により金額が変わる

遺留分の不動産評価
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相続財産に不動産があると、遺留分計算で間違えやすいと言われています。

不動産の評価方法は複数ありますが、遺留分計算で用いるのは時価評価です。不動産を相続発生時の時価で評価し遺留分の計算をします。

あなたが遺留分を請求する側、あるいは請求される側のどちらであっても、不動産の評価方法は重要になります。

1.不動産の評価方法は複数ある

不動産の評価額を決める方法は複数あります。

主に以下の4つがあります。

  • 固定資産税評価額
  • 路線価
  • 地価公示価格
  • 時価評価(取引価格)

不動産の評価額は評価方法により違いが生まれます。

1-1.固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算する際に基準とされる価格のことです。

不動産を固定資産税評価額で評価するのは、相続では一番有名な方法だと思います。なぜなら、相続登記の登録免許税や相続税の計算でも利用することになるからです。

確認方法は複数ある

固定資産税評価額を確認する方法です。

  • 固定資産税評価証明書(役所で入手)
  • 課税明細書(市町村から送付される)
  • 固定資産課税台帳(役所で確認)

ちなみに、固定資産税評価証明書は相続登記をする際にも必要となります。

公示価格の7割程度

固定資産税評価額は一般的に時価よりも安いです。地価公示価格のおよそ7割程度と言われています。

1-2.路線価

路線価とは、相続税や贈与税の計算をする際の基準価格です。国税庁が設定している土地の1㎡当たりの価格となります。

国税庁のホームページで確認できる

路線価は『国税庁のホームページ』で確認することができます。興味がありましたら一度確認してみてください。

公示価格の8割程度

路線価も一般的に時価より安く、地価公示価格の8割程度と言われています。

1-3.地価公示価格

地価公示価格とは、国土交通省の土地鑑定委員会が公示している価格です。

2人以上の不動産鑑定士による鑑定評価を、土地鑑定委員会が審査したうえで公示されているので、時価に近い価格と言われています。

国土交通省のホームページで確認できる

地価公示価格は『国土交通省のホームページ』で確認することができます。

都道府県地価調査も同じページで確認することができるので、固定資産税評価額や路線価と比べてみてはどうでしょうか。

すべての土地は評価していない

地価公示価格は時価に近いので参考になるのですが、すべての土地を評価しているわけではありません。

また、公示されている土地であっても、土地の価格が変動していると時価と誤差が生じます。

1-4.時価評価(取引価格)

時価評価とは、不動産の実際の取引価格のことです。いくらで売れるかで不動産を評価しています。

特定の人にだけ売れる価格ではなく、一般的に売買が成立する価格です。

 

2.遺留分の計算は時価評価

遺留分を算出する際の財産評価は時価により行います。
ですので、不動産も時価評価により価格を判断することになります。

勘違いして固定資産税評価額や路線価で計算してしまうと、遺留分の金額も変わってしまいます。

2-1.時価を調べる方法

時価を調べる方法に決まりは無いのですが、いくつか方法があります。

  • 不動産業者の見積もり
  • 不動産鑑定士の鑑定
  • 固定資産税評価額等を基に推定

不動産業者の見積もり

不動産業者に見積もりを出してもらい、時価を調べる方法です。

注意点としては、1社ではなく数社から見積もりを貰うようにしましょう。複数取得して平均額を時価の目安とするのが良いと思います。

不動産鑑定士の鑑定

不動産鑑定士に不動産を鑑定してもらい、時価を調べる方法です。

注意点としては、相続人同士で揉めた場合の調停や訴訟では、あなたが依頼した不動産鑑定士の鑑定結果は採用されません。裁判所が選任した不動産鑑定士が鑑定するので、鑑定費用が2回発生することになります。

鑑定費用は高額(数十万円)になるので、自分で依頼する必要性は少ないと思います。

固定資産税評価額等を基に推定

固定資産税評価額は公示価格の7割程度なので、割り戻した額を時価と推定する方法です。

公示価格=時価とします。
公示価格×0.7=固定資産税評価額とします。
固定資産税評価額÷0.7=公示価格=時価となります。

2-2.当事者の合意で時価を決める

それぞれが独自に時価を調べると収集が付かなくなり、調停や訴訟で遺留分を争う可能性が高くなります。

ですので、当事者同士で時価の評価方法を決めて、評価額に折り合いをつけることも多いです。

 

3.相続発生時の時価で評価する

遺留分を計算する際の時価は、相続発生時期を基準として判断します。つまり、不動産の評価額は相続発生時の時価となります。

相続開始後に不動産の価格が変動したとしても、遺留分を計算する際には相続発生時の価格を使います。

3-1.不動産が生前に贈与されている

不動産が生前に贈与されていても、相続発生時の時価評価で判断します。

不動産は相続発生時で判断する

不動産の価格が変動している場合は、遺留分計算で間違えやすくなるので注意しましょう。

 

4.さいごに

亡くなった人の財産に不動産があると、遺留分の計算を間違いやすくなります。

なぜなら、不動産の評価方法は複数あり、評価方法によって不動産の価格に差が生まれるからです。

  • 固定資産税評価額
  • 路線価
  • 地価公示価格
  • 時価評価

遺留分を計算する際の評価方法は、相続開始時の時価評価です。相続発生時の一般的な取引価格を用いて遺留分の計算をします。

相手側が遺留分の計算をしている際は、どの評価方法を用いて計算しているかを確認してください。固定資産税評価額や路線価で計算していると、不動産の評価額は低くなりやすいです。

不動産の評価額によっては請求できる金額にも差が生まれるので、しっかりと確認して計算しておきましょう。