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法定相続人の第2順位は親ではなく直系尊属!祖父母も含む

法定相続人の第2順位は直系尊属
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親を法定相続人の第2順位だと思っている人もいますが、厳密には違います。

法定相続人の第2順位は「直系尊属」です。

同じだと思われたかも知れませんが、直系尊属には祖父母や曽祖父母も含まれます。

ただし、近い親等の直系尊属が相続人になるので、結果として親が相続人になっているケースが多いです。

今回の記事では、法定相続人の第2順位について説明しているので、相続人を確認する際の参考にしてください。

1.法定相続人の第2順位は直系尊属

血族相続人の第2位は直系尊属

まずは、法定相続人の第2順位は直系尊属である点から説明します。

間違えている人も多いのですが、法定相続人の第2順位は親ではありません。

以下は、民法の条文です。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹

出典:e-Govウェブサイト(民法889条)

亡くなった人に子ども(孫)がいなければ、直系尊属が相続人となります。

1-1.直系尊属には親だけでなく祖父母も含む

法定相続人の第2順位は「直系尊属」です。

直系尊属
父母や祖父母など自分より前の世代で直系の親族のこと

直系尊属

上記の図に記載されている直系尊属は、亡くなった人の相続人になる可能性があります。
※曾祖父母より上の世代は現実的に難しい。

ただし、すべての直系尊属が相続人ではありません。

1-2.法定相続人になる可能性が高いのは親

異なった親等の直系尊属が健在なら、近い親等の直系尊属が相続人となります。

以下は、亡くなった人からの親等です。

  1. 親   :1親等
  2. 祖父母 :2親等
  3. 曾祖父母:3親等

以下は、直系尊属を確認する際の順番を表した図です。

近い親等の直系尊属から確認していく

亡くなった人の年齢によりますが、親と祖父母の生死を確認するのが基本となります。亡くなった人が若ければ、曾祖父母も念のために確認します。

直系尊属で生存している可能性が一番高いのは親なので、法定相続人の第2順位を親と間違える人も多いのでしょう。

 

2.養親も第2順位の法定相続人となる

一般的に、養子縁組を結ぶ場合、養親が先に亡くなるケースを想定しているはずです。

しかし、想定に反して、養子が先になくなるケースもあります。

養子に子ども(第1順位)がいれば別ですが、子どもがいなければ、養親も直系尊属(第2順位)として法定相続人です。

以下の2つは、間違えやすいので注意してください。

  • 実親が健在でも養親は相続人
  • 養親と祖父母なら養親が相続人

それぞれ説明していきます。

2-1.実親が健在でも養親は直系尊属として相続人

実親と養親が共に健在なら、両方とも直系尊属として相続人です。

実親を優先するという規定はないので、養親も含めて共同相続人となります。

亡くなった人が遺言書を残していなければ、実親と養親が遺産分割協議の参加者です。間違えて養親を除外しないように、気を付けてください。

2-2.養親と祖父母なら養親の方が近い親等

亡くなった人の相続人が直系尊属になる場合、養親と祖父母が健在であれば、養親が相続人となります。

なぜなら、養親は1親等で、祖父母は2親等だからです。

たとえ祖父母が健在であっても、養親の方が近い親等なので、養親が直系尊属として相続します。

 

3.祖父母が法定相続人になるケースは2つ

祖父母が法定相続人になるケースは2つあります。

  • 親が全員亡くなっている
  • 親が全員相続放棄している

祖父母が健在なら、上記に該当しないか確認してください。

3-1.親が全員亡くなっていると祖父母が相続人

親(養親含む)が全員亡くなっていると、祖父母が相続人となります。

分かりやすいケースなのですが、法定相続人の第2順位を「親」だと思っていると、祖父母の戸籍チェックを忘れてしまいます。

相続人を戸籍で確認する際は、親だけでなく祖父母の戸籍も確認してください。

3-2.親が全員相続放棄すると祖父母が相続人

親(養親含む)が全員相続放棄すると、祖父母が相続人となります。

なぜなら、親は相続放棄により、初めから相続人ではないとみなされるからです。

親は初めから相続人ではないので、祖父母が健在であれば直系尊属として相続人になります。

借金等が原因で親が相続放棄しているなら、祖父母の相続放棄を忘れないように注意してください。

 

4.直系尊属の法定相続分は配偶者の有無で違う

直系尊属の法定相続分は、亡くなった人に配偶者がいるかどうかで変わります。

  • 配偶者がいる :3分の1
  • 配偶者がいない:1分の1

それぞれ説明していきます。

4-1.配偶者がいるなら直系尊属は3分の1

まずは、配偶者と直系尊属が相続人の場合です。

直系尊属の法定相続分は「3分の1」となります。

以下は、民法の条文です。

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
(省略)
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法900条)

配偶者の方が法定相続分は多いです。

【例題1】
配偶者と母親が相続人の場合。

配偶者と母親の相続分割合

直系尊属は母親1人なので、母親の相続分は3分の1です。

【例題2】
配偶者、父親、母親が相続人の場合。

配偶者と父親と母親の相続分割合

直系尊属は父親と母親の2人なので、相続分は各6分の1です。

亡くなった人の配偶者が健在であれば、直系尊属の相続分は3分の1なので気を付けてください。

4-2.配偶者がいないなら直系尊属の人数で等分

次に、直系尊属だけで相続する場合です。

直系尊属の法定相続分は、人数で等分した割合になります。

【例題1】
父親と母親が相続人の場合。

父親と母親の相続分割合

直系尊属は2人なので、相続分は各2分の1です。

【例題2】
父親、母親、養親が相続人の場合。

父親と母親と養親の相続分割合

直系尊属は3人なので、相続分は各3分の1です。

相続人が直系尊属だけであれば、人数が何人であっても等分した割合になります。

 

5.直系尊属が相続人なら遺留分に注意

直系尊属が相続人の場合、遺留分にも注意してください。

なぜかというと、配偶者や第3者に全財産を渡そうとしても、直系尊属は遺留分を請求できるからです。

例えば、お世話になった第3者に全財産を遺贈しても、直系尊属は第3者に遺留分を請求できます。

直系尊属は受遺者に遺留分を請求できる

遺留分を請求するかは直系尊属の自由ですが、請求する権利があることは知っておいてください。

請求できる遺留分の割合については、下記の記事で詳しく説明しています。

 

6.まとめ

今回の記事では「法定相続人の第2順位は直系尊属」について説明しました。

法定相続人の第2順位は、「親」ではなく「直系尊属」です。

ただし、異なる親等の直系尊属が存在する場合は、近い親等の直系尊属が相続人となります。

親が健在であれば親が相続人ですし、親が亡くなっていても祖父母が健在であれば祖父母が相続人です。

直系尊属の法定相続分は、配偶者の有無により違います。

  • 配偶者がいる :3分の1
  • 配偶者がいない:1分の1

亡くなった人に配偶者がいる場合、直系尊属の法定相続分は3分の1です。

法定相続人の第2順位は間違えやすいので、相続人を確認する際は十分に注意してください。

 

法定相続人は直系尊属に関するQ&A

Q.子どもと親が同時に死亡した場合、祖父母は子どもの相続人になりますか?
A.子どもが死亡した時点で親も死亡しているので、祖父母が相続人です。
Q.親と祖父母が相続放棄しましたが、曾祖母に相続が移るのでしょうか?
A.曾祖母が健在であれば相続人となります。