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同性パートナーへの遺贈|記載に気を付けないとトラブル発生

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同性パートナーに財産を残す方法として、遺言書で遺贈するのは一般的です。
けれども、遺贈には2種類あることはご存知でしょうか

特定遺贈と包括遺贈ホウカツイゾウの2種類です。遺贈する側からすると同じですが、貰う側(同性パートナー)からすると違います。場合によっては、トラブルを招くことになります。

特定遺贈と包括遺贈の違いについて知っておくと、無用なトラブルを避けることができます。

目次

  1. 遺贈とは
  2. 特定遺贈
    1. 不動産取得税が発生する
  3. 包括遺贈
    1. 一部包括遺贈
    2. 遺留分を意識して失敗する
  4. まとめ

 

1.遺贈とは

あなたが亡くなったときに遺言書によって、財産を無償で同性パートナーに譲ることを遺贈といいます。

同性カップルにとって遺贈は重要です。
なぜなら、正しく書かれた遺言書は、法定相続よりも優先されるからです。
遺言書の記載は法定相続よりも優先される
遺贈を受ける人(同性パートナー)を受遺者ジュイシャといいますので、覚えておくと他の記事も理解しやすいです。

遺贈の効力が発生するのは、あなたが亡くなった瞬間からです。
検認手続きが終了していなくても、効力自体は発生しています。

遺言書の記載により、特定遺贈と包括遺贈に分かれます。
負担付遺贈や条件付き遺贈等もありますが、同性パートナーへの遺贈では関係する可能性が低いです。

 

2.特定遺贈

特定遺贈とは財産を具体的に特定して、同性パートナーに遺贈することです。

誰が遺言書を読んでも、同じ判断ができるように記載します
以下のように具体的に記載して遺贈します。

  • 「〇〇銀行」「〇〇支店」「普通預金」「口座番号〇〇」の預貯金を遺贈する。
  • 〇〇株式会社の株式を100株遺贈する。
  • 1,000万円を遺贈する。

不動産の場合は登記簿を取り寄せて、不動産登記簿と同じように記載します。
住所表記と登記簿上の表記は違いますので、記載する際には注意が必要です。

同性パートナーに特定の財産を残したい場合は、遺言書に上記のように具体的に記載します。
*財産目録を作成する場合は、別の記載方法です。

2‐1.不動産取得税が発生する

不動産取得税とは、不動産を取得した際に同性パートナーが課税される税金です。
遺贈の種類により課税の有無に違いがあります。

不動産を特定遺贈で取得すると、不動産取得税が発生します。
一方、包括遺贈で取得した場合は発生しないので、不動産を遺贈する場合には注意が必要です。

同性パートナーに不動産を残される場合は『同性カップルと不動産|買うのも大変だが残すのも大変』を確認しておいてください。

 

3.包括遺贈

包括遺贈とは財産を特定せずに、財産の全部または一部を遺贈するなど割合で指定していることです。

包括遺贈は2つに分けることができます。

  • 財産を全部遺贈する(全部包括遺贈)
  • 財産の2分の1を遺贈する(一部包括遺贈)

全部包括遺贈とは、文字どおり全財産を遺贈することです。
同性パートナーに全財産を残す場合の記載方法です。

3‐1.一部包括遺贈

トラブルを招くのは一部包括遺贈です
なぜなら、財産を特定するために、相続人と同性パートナーで遺産分割協議が必要だからです。

同性パートナーに対して相続人が好印象を持っていれば別ですが、カミングアウトの有無や同性愛に対する理解によっては、遺産分割協議で揉めることになります。
結果として、弁護士を雇うことになり、余計な費用が発生することにもなります。

遺産分割協議については『同性パートナーが遺産分割協議|相続対策を間違えると強制参加』も読んでおいてください。

3‐2.遺留分を意識して失敗する

一部包括遺贈になってしまう原因の一つは、遺留分を意識し過ぎるからです。

親の遺留分は3分の1
親の遺留分は3分の1なので、同性パートナーに3分の2を遺贈するなら遺留分侵害になりません。
そのため、割合指定で遺贈してしまう人がいます。

割合指定なら遺留分侵害にはならないですが、遺産分割協議が必要になります。

現実的には遺言書を書いている時点で、遺留分を正確に把握することはできません。
絶対に残したい財産があるなら、特定遺贈で記載してください。

遺留分侵害額請求は現金請求権なので、支払いに充てる現金を用意しているなら、遺留分を過度に意識する必要はないです。

 

4.まとめ

遺贈は大きく分けると、特定遺贈と包括遺贈の2種類です。
同性パートナーに対する同じ遺贈ですが、その後の手続きが違ってきます。

同性カップルが注意するのは、一部包括遺贈です。

一部包括遺贈の場合は、相続人と遺産分割協議が必要です。
残されたパートナーと家族が、具体的な相続財産の分け方について話し合いをします。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判で決着を付けることになります。
弁護士を雇うには費用も発生するので、余計な出費となります。

無用なトラブルを避けるためにも、遺贈は特定遺贈か全部包括遺贈にするべきです

相続に関して考えることは多岐にわたるので、悩みがあれば気兼ねなくご相談ください。