LGBT・同性カップルに知っておいてほしいのは、現時点の相続ルールでは相続対策をしない限り、同性パートナーに財産を残すことができないことです。
なぜなら、同性婚が法律上は認められていないので、配偶者という肩書を手に入れることができないからです。
日本の相続ルールは、配偶者を優遇するように設定されています。たとえ別居生活が何十年続いていても、配偶者なら無条件で相続人になれます。
一方、同性カップルは何十年一緒に暮らしても、相続対策をしない限り1円も受け取ることができないです。
いつの日か相続ルールも変わるときが来るはずですが、現時点においては対策をすることが必須です。相続対策は複数あり優先順位や費用も違うので、まずは知ることが第一歩だと思います。
代表的な対策について、簡単にですが説明をしております。興味を持った箇所があれば、詳しい説明の記事をお読みください。
1.遺言書を作成する
同性婚・異性婚・事実婚を問わず相続対策の基本です。
あなたの財産を誰に残すかは、あなたの自由です。
したがって、正しい遺言書を作成すれば、同性パートナーに財産を残すことができます。
*意思表示が遺言書の作成です。
遺言書が無い場合は、法律に従って法定相続人が相続します。
一番有名で法律上認められている相続対策ですが、遺言書を書いていない同性カップルも多いです。
なぜなら、遺言書は年を取ってから書くものだという、間違った認識を持たれているからです。
あなたがいつ亡くなるのかは誰にも分かりません。書こうと思っている間に亡くなる人は多いです。
最初に説明しているとおり、対策をしていない限り同性パートナーは1円も受け取ることができません。
遺言書を書くタイミングをアドバイスするなら、あなた名義の財産で同性パートナーに残したい物があるかどうかです。
10代や20代なら自分名義の財産も少ないでしょう。30代や40代である程度の財産があるなら、書くタイミングとして早すぎるわけではないです。60代や70代で書いていない人は、今すぐにでも書くべきです。
自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶべきかは、【同性カップルが選ぶ遺言書】で説明しています。
遺言書の作成を検討されている場合は、以下のボタンより料金と流れについて確認することができます。
2.生前贈与をする
同性カップルにとっても、生前贈与は相続対策として役立ちます。
なぜ、生前贈与を使うかというと、亡くなる前に贈与すれば相続ルールは関係ないからです。
極端な話をすれば、全財産を生前贈与すれば相続財産もないので、同性パートナーが相続人でなくても問題ないです。
ただし、亡くなる直前の贈与は相続ルールが適用されたり、贈与税が高額になったりするので現実的ではないです。
生前贈与は上手く利用すれば、確実に同性パートナーに財産を移すことができます。
生前贈与の注意点については、【同性婚と生前贈与】で説明しています。
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3.信託契約を結ぶ
比較的新しい方法ですが、同性カップル間で信託契約を結ぶ方法もあります。
詳しい説明は別記事でしますが、あなたの財産を信託財産にすることにより、相続ルールではなく信託ルールで財産を残すことができます。信託契約で信託財産の帰属先を同性パートナーにしておけば、信託ルールに従って財産は移動します。
信託契約の欠点は内容が複雑になるのと、すべての同性カップルにメリットがあるわけではないです。別の対策をとる方が効果的な場合もあります。
専門家に相談される際に、聞いてみることをお勧めします。
信託契約に興味がありましたら【同性婚と信託契約】も、お読みください。
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4.生命保険金の受取人に指定する
生命保険金の受取人に同性パートナーを指定することで、結果として財産を残すことができます
生命保険金は相続財産には含まれないので、相続人であるかは関係ないです。同性パートナー個人の権利として受け取ります。
現金を残しておくと相続財産ですが、生命保険料に使っておくと生命保険金として同性パートナーに残すことができます。
生命保険契約のデメリットとしては、生命保険金の非課税枠が使えないので相続税が発生しやすくなります。
生命保険金を受け取った場合は、相続税の課税対象者となります。
配偶者・子ども等が生命保険金を受けとった場合は、非課税枠の適用があります。一方、同性パートナーが受け取ると、全額が相続税の計算に組み込まれます。
生命保険を検討されている方は【同性婚と生命保険】で確認ください。
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5.養子縁組を結ぶ
同性カップルの相続対策として有名なのではないでしょうか。
養子縁組を結ぶと親子になるので、相続人の肩書を得ることができます。養子または養親として、相続ルールで財産を引き継ぎます
養子の相続順位は実子と同じで、第1順位となるので確実に相続できます。
一番簡単ですがリスクもあるので、特に若いカップルにはお勧めしないです。ただし、2人で話し合ったうえで、親子になることを選ぶのであればメリットは十分あります。
安易に採用するには重すぎる選択になるので、必ずメリットとリスクについて説明を受けてください。
相続対策としての養子縁組については【同性カップルと養子縁組】を、必ずお読みください。
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6.任意後見契約を結ぶ
相続対策ではないのですが、同性カップルにとって任意後見契約も重要なので記事を追加しました。
任意後見契約とは簡単に説明すると、あなたの判断能力が低下したら後見人になってもらう契約です。
渋谷区でパートナーシップ証明書を取得する場合や、住宅ローンを契約する場合等に必要になることもあります。
同性パートナーを後見人にしたい場合は、必ず任意後見契約を結んでおいてください。
詳しい説明は【同性婚と任意後見】にてご確認ください。
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任意後見契約をご検討されている場合は、下記ボタンより料金と流れについて確認できます。
まとめ
同性カップルの相続対策と任意後見について、簡単にですが説明しました。
- 遺言書を作成
- 生前に贈与
- 信託契約を締結
- 生命保険金の受取人に指定
- 養子縁組を結ぶ
- 任意後見契約を結ぶ
今回取り上げた6つは聞いたこともあると思いますので、興味を持った箇所があれば詳しい記事も読んでおいてください。
当事務所では同性婚の相続についての記事を複数作成しております。多岐にわたり色々ありますので、興味が湧きましたら一度ご確認ください。
記事一覧は『カテゴリー同性婚』から閲覧可能です。
記事を読んで疑問に思われた箇所や分かりにくい説明がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
令和4年2月22日に相談用のLINEを別に作りました。
電話では聞きにくいや面と向かって話すのは抵抗がある人、簡単に質問がしたい人などはご利用ください。
申込フォームは24時間対応ですのでご希望の時間をご記入ください。折り返しご連絡いたします。
Q&A
同性婚に関する質問の答えです。
- Q.同性婚はできるようになりますか?
- A.どんな形になるのかは不明ですが、いつかできると思います。
理由としては、日本は他の国に合わせる傾向があるので、世界の国々が法改正を進めると日本も取り入れると思うからです。 - Q.相続対策は同性婚が認められると不要になりますか?
- A.残念ながら同性婚が認められても相続対策は必要です。
なぜなら、異性婚でも相続対策をしていないと、死後に相続争いが起っているからです。 - Q.相続対策の優先順位が知りたいです。
- A.まずは、誰が法定相続人になるのか調べましょう。
- Q.遺言書は公正証書にしないとダメですか?
- A.遺言書の効力は自筆も公正証書も同じです。
公正証書の方が裁判で争った際に、証拠として有利になるだけです。
したがって、争う可能性が無い場合等は、無理をして公正証書にしなくてもいいと思います。 - Q.同性婚の記事が多いのは何故ですか?
- A.理由は2つあります。
①事務所を開業して一番初めに電話をかけてくれたのが、同性婚の相続で悩んでいた人だからです。
自分の未熟な文章でも読んでくれたことが嬉しかったので、同性婚の相続に関する記事を多めに書いています。
②同性婚の相続で悩んでいても、面と向かって相談することに抵抗がある人もいます。
ですので、会わなくても多少の手助けにはなると思い、同性婚の相続に関する記事を色々書いています。
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